見出し画像

健康&適正な体重を保つ為の食事Step3-8 ~健康の為に知っておきたい油の基礎知識~

 こんばんわ。

炭水化物、たんぱく質ときて、本日は三大栄養素の残りの1つである脂質についてお話していきたいと思います。

以前から脂質の重要性は、美容系のメディアを中心に語られてきましたが、最近では、女優の松本まりかさんがTVなどでオイルをドパドパ入れている姿を見て、影響を受けている方も多いのではないでしょうか?

しかし、女優さんは健康や栄養の専門家ではありませんので、そのまま真似をしてしまうのは、ちょっと待った!です。

脂質とは&脂質の役割

 いつの頃からか、脂質というと悪者の様に扱われがちですが、効率の良いエネルギー貯蔵体というだけではなく、私達を形作っている細胞膜の成分であったり、ホルモンの合成や神経伝達脂溶性ビタミンの吸収を促進したり、抗酸化物質などにも関係しており、脂質はとても重要な栄養素の1つ。

画像1

ちなみに、脂質は定義的に言うと、水に溶けにくく、有機溶媒に溶けやすい有機化合物。などと言われますが、飢餓に備える様に、摂取した炭水化物を体内で貯蔵できる様に、濃縮したものが脂質と考える事ができます。

脂質の種類と分類

脂質は主に、「中性脂肪」と「コレステロール」に分類されます。

そして中性脂肪は、「グリセリン」と「脂肪酸」に分類され、生物が体内に貯蔵している脂質のほとんどは脂肪酸です。脂肪酸は、「炭素鎖」と呼ばれる炭素が繋がった鎖によって出来ていて、この脂肪酸の種類によって、脂質の構造が変わります。

脂質の分類表

《脂質の分類》

①二重結合の有無による分類

二重結合の有無で、飽和脂肪酸か不飽和脂肪酸かが決まり、植物や魚に含まれるのが不飽和脂肪酸(α-リノレン酸、リノール酸、オレイン酸など)であり、おもに動物に含まれるのが飽和脂肪酸(ステアリン酸)です。

②繋がる炭素数の長さ
脂肪酸を構成する炭素鎖の長さによって、以下の様に短鎖か中鎖か長鎖かに分けられます。

長鎖脂肪酸:炭素数が13以上:エゴマ油、アマニ油など

中鎖脂肪酸:炭素数が7~12:ココナッツオイル、MCTオイルなど

短鎖脂肪酸:炭素数が6以下:酢、乳製品など

③二重結合の位置(オメガ位)やCH3(メチル基)による分類
端のメチル基から数えて、何番目に二重結合がきているかで、オメガ位が決まります。これがいわゆる、オメガ3とかオメガ6、オメガ9とか言われるものですね!

オメガ3系:α-リノレン酸、EPA、DHAなど

オメガ6系:リノール酸

オメガ9系:オレイン酸

なぜアマニ油などのオメガ3系の油が注目されているのか?

 昔は一般家庭にある油と言えば、サラダ油か胡麻油くらいだったかと思いますが、近年、油の種類にも注目が集まり、ココナッツオイルやエゴマ油、アマニ油など、実に多くの商品が販売されていますよね。

その火付け役ともいえるのが、アマニ油(フラックスシードオイル)かと思いますが、なぜアマニ油が注目をされたのでしょうか?

画像3

アマニ油は、アマ科の植物の種子から抽出された油のことで、不飽和脂肪酸であり、αリノレン酸を含むオメガ3の脂肪酸です。

このオメガ3系脂肪酸に含まれるαリノレン酸は、トロンボキサンA3やロイコトリエン6といった、非炎症性のエイコサノイドを作り出すなど、抗炎症作用を持っているんですね。

また、魚介類には、EPAやDHAなどのオメガ3系脂肪酸が多く含まれ、心疾患などによる死亡リスクを下げてくれることが考えられます。厚生労働省の「eJIM」においても、以下の記載があります。

海産物(魚や甲殻類)を多く含む食事と心疾患に関する研究結果によると、週に一回以上海産物を食べる人は、極稀にしか食べないあるいは全く食べない人と比較して心疾患が原因で死亡する可能性が低いようです。 「アメリカ人のための食生活の指針、2010」(英語PDF)は、海産物からオメガ3脂肪酸などの種々の栄養素を得られるため、成人は週に8オンス(約224g)以上の種々の海産物を取ることを新たに推奨しています。(幼児に対する推奨量はより少量であり、妊婦や母乳育児をしている女性に対しては特別の推奨量があります。ヒント4を参照してください)~https://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/communication/c03/05.html~より引用

画像4

オメガ6系の脂肪酸の過剰摂取は炎症を引き起こす

それに対して、グレープシードオイル、大豆油、コーン油など、日常的に炒め物や揚げ物に使う油に含まれていることが多く、私達が日頃摂取することの多いオメガ6系の脂肪酸の過剰な摂取は、炎症を引き起こすことが考えられます。

価格が安いため、ファストフードやチェーン店のお弁当屋さん等、様々な場所で使われています。

画像5

これらに含まれるリノール酸は、1980年代には「血液をサラサラにしてくれる」など、健康に良いとされていましたが、最近になり、リノール酸は、痒みや痛みを引き起こす物質プロスタグランジン、さらには炎症を促進するロイコトリエン等、炎症物質を作り出すことがわかってきたんですね。


リノール酸は、体内で作ることができない必須脂肪酸なので、外部から摂取する必要があるのですが、私たちはあまりにも多くのリノール酸を摂取し、炎症体質になっていると考えられます。

意識的にお魚を食べよう

先述の様に、オメガ6系の油が悪い訳ではなく、オメガ3系の油に対して、オメガ6系の油を摂り過ぎている事が良くないんですね!

そして、日頃から意識をしないと、ついついオメガ6系の油の割合が多くなってしまうので、意識的にお魚を食べるなどして、オメガ3系の油を摂る事が重要です。

実際、数字で見てみても、国民1人あたりの肉類と魚の1年間あたりの消費量では、2010年に肉類が魚類を上回って以降、日本人の魚の摂取量は減るばかりです。

~水産庁 水産物消費の動向より~

また、2013年以降は米よりもパンの消費の方が上回ったままですので、パンを摂る事が多いと、知らない間にオメガ6系の油の摂取割合も増える事が考えられますが、今後は益々パンと肉の消費が増えそうですよね。

画像6

その為、日頃から意識的にお魚を摂る様に心掛けるのが始めの1歩ですが、魚料理は生ごみも出るし、面倒くさい!という方がほとんどかと思います。

そこで、サバ缶などをはじめとした魚の缶詰を上手く活用するのがおススメです!

本日のまとめと実践

・脂質は、効率の良いエネルギー貯蔵体というだけではなく、細胞膜の成分や、ホルモン合成や神経伝達脂溶性ビタミンの吸収を促進に関わるなど脂質はとても重要な栄養素の1つ

・オメガ3系とオメガ6系の割合が重要で、オメガ3系の油を意識的に摂る事が大切

・オメガ6の割合が増えると、炎症反応などを引き起こす事が考えられる

・オメガ3系の油は、お魚に多く含まれる為、日頃からお魚を摂る事が大切。1日に1食はお魚を食べたいですね!

・サバ缶をはじめとした、魚の缶詰を上手く活用しよう。

参考書籍&資料など

・栄養コンシェルジュ協会テキスト

・川合智氏分子栄養学研修テキスト

・千野ひとみ氏分子栄養学研修資料

・うつ抜け食事術

・栄養学の基本がわかる辞典

・リハベーシック 生化学・栄養学など


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?