京極夏彦邸で作家の皆さんにマーダーミステリーで遊んでもらいましたの巻

1月下旬、関東某所。
toshinthepumpこと各務都心は、えげつない緊張のもと、駅に降り立った。

まずは『ゲームの王国』『嘘と正典』で知られるSF作家、小川哲さんと合流。日頃からオンラインゲームなどで仲良くしてもらっているが、今日の本題はネトゲオフではない。

「いやー緊張しますね」とそわそわしながらも、すぐに『鹿男あをによし』『プリンセス・トヨトミ』の作者、万城目学さんと合流。マクドナルドを食べながらの雑談となるが、その後の予定のことで僕はだいぶ上の空でした。

続いて、『夜は短し歩けよ乙女』『太陽の塔』などで知られる森見登美彦さん、『蹴りたい背中』『インストール』などを書かれた綿矢りささん、そして新潮社で編集業をやられている照山さんと合流。すでにそうそうたるなんて表現では済まされないようなメンバーが向かうのは、京極夏彦邸

タクシーに乗り、まずは仕事場へ……
恐る恐る門を開け、お邪魔させてもらうと、目についたのは、本、本、本。
あらゆるところに本。どんなところにも本。左右前後上下すべてに、本。
貧弱な想像力でダークソウル3の大書庫を思い起こしていると、奥から現れたのが、『魍魎の匣』『嗤う伊右衛門』などを書かれた、自分が大好きな作家――京極夏彦さん!

「いろいろと聞いています。よろしくお願いします」

恐縮です、すら言えたか怪しいくらい震える一言を頂きつつ、そのまま仕事場ツアーを続行。大量の書籍に囲まれながら、あーとかうーとかすげーとかかっけーとかしか言えない自分。年に1000冊は増えていると言われ、自分が人生で読んだ本を一年で超えていくその読書マニアっぷりにただただ驚く。

そして、二分ほど移動し、ゲームスペースとなるソフト館へ。
ここでも少し探検させてもらい、一般文芸コーナーや、DVDシアターなどを見学。そのラインナップに、小川氏の「俺、ここに一か月閉じ込められても全然余裕ですね」という言葉に頷くばかり。

全員がラウンジへと移動し終え、モニターに妖怪の画像ギャラリーが流れる中、遂にマーダーミステリーへ……

まずは、マーダーミステリーについて簡単にご説明。
現在流行している新しい形のアナログゲームで、六名から一〇名ほどの参加者が、用意されたミステリー風のシナリオやキャラクター設定を読み込み、事件の容疑者となって犯人を当てていく、嘘と欺瞞がたっぷりの推理&議論ゲームだ。人狼やTRPGなどに近いかもしれない。

各務都心として、現在「探偵シド・アップダイク」シリーズを発表しており、「Case.00 超能力研究所」はウェブで無料公開中、「Case.01 スローターズ パレス」はamazonなどでパッケージ販売をしている。今回この豪華メンバーに遊んでいただくシナリオは、最新作「Case.02 カラミティトルーパーズ」である。


【カラミティトルーパーズ:ストーリー】
核ミサイルによって大荒野と化したアメリカ。
列車庫に住むカラミティトルーパーズという部族は、西方の覇権を牛耳っていた。

そんな最中、トルーパーズの食堂両で武器商人の死体が発見される。
集められたのは、部族内で最強と目されている六人の戦士たち。

――容疑者、全員、ならず者。
本格オープンワールド・ミステリー


まずはシナリオをご説明。皆さん、がっつり聞き込んでくださっている様子。そして、キャラクターを選んでいただくフェイズに。

最初に、綿矢さんがセレクトしたのが、"トリガー・ハッピー"だーしー。二丁拳銃を携えて元気に戦場を駆け巡る女の子。

続いて、森見さんが"アングリー・ジャイアント"サーストン。常にブチギレており、人骨で作られた棍棒を振り回す大男。物腰が穏やかな森見さんが自己紹介すると、ちょっと弱そうな印象。

小川さんが、"クライ・ベイビー"ヴェダー。涼し気なイケメンで、トルーパーズの頭脳をしている。頬に涙のタトゥーを施している。

万城目さんが、"ファニー・フェイス"スペンサー。何かと「ガム食べる?」と聞いてくる変人。のっけからひょうきんな台詞回しで、かなり役に入り込んでいただいている様子。もしくは、関西人として地を出しているのかもしれない。

そして、照山さんが"ラブ・シック"コートニー。愛に生き、愛に死ぬ予定の女。関節技で戦う。

万城目さんの「京極さん、このキャラクターがいいんじゃないですか。謎の男だし」という言葉で、京極さんは"ヘイト・コントローラー"魔巣KISSを選択。仮面を被り、あらゆる物を憎んでいる謎の男で、そのままプレイしても充分ロールできているのではないかという雰囲気。

ついにゲームスタート……となりますが、詳しい内容はネタバレとなるので、申し訳ないけれどほぼ割愛!
印象に残ったシーンを少しだけ紹介。

●京極魔巣KISSの「何かしたかもしれないよ?」という地なのか演技なのかわからない言葉に翻弄される面々。

●激詰めされて困惑する森見サーストン。

●「犯人じゃないよ、全然」という綿矢だーしーのあたふたっぷり。

●とにかく飄々と話を進めるも、普通に疑われる万城目スペンサー。

●情報を整理し続ける小川ヴェダーと、照山コートニー。しかし、そこで「魔巣KISS、空飛べるんじゃないですか?」という万城目スペンサーのぶっ飛んだ推理が。京極魔巣KISSもそれを一切否定しないので、一挙に渾沌へ。

言葉のプロフェッショナルが集った卓ならではの、疑惑に満ちた数時間も、あっという間に終了。真相を公開し、感想戦へ。

皆さんから「面白かった」というこれ以上ない言葉を頂き、光栄のあまりその後の打ち上げで体調を崩しかけている都心であった。

最後に集合写真を撮っていただき、解散へ。人生でも一度や二度あるかないかといった、信じられないほど夢に詰まった一日でございました。
皆さま、本当にありがとうございました。

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ご興味を持っていただけましたら、下記のツイプラよりご連絡ください!

https://twipla.jp/events/429321

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