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いけばなお稽古日記 ~作品の”伸び”について~

こんにちわ。
いつもありがとうございます。
初めに自己紹介が入りますので、ご存じの方はそこを飛ばして読み始めていただけると幸いです。
奈良市にあります”奈良きもの芸術学校さま”で、授業としていけばなの指導を月に2回行っています。
本記事は、そちらでの6月10日のお稽古の備忘録です。

簡単に自己紹介

初めまして!
ご覧いただきありがとうございます。
田中俊行と申します。
私は金融業界出身で現在日本文化に携わる仕事をしています。
元々、実家がいけばなに携わる仕事をしていたのと、大学時代の専攻が美学だったこともあり、回りまわって現在は仕事の6割くらいを日本文化に関係する仕事をしています。
残りの4割は公益社団法人の運営とその1事業として補助金申請や経営計画立案など中小企業者様向けの経営に関するコンサルティング業務を行っています。
金融業界時代は証券業界に所属していました。
主には資産規模で5億以上の地域の富裕層をターゲットとして、金融だけでなく不動産などの金融以外の資産管理の助言を行っていました。
そのあと、自分自身が所属する日本では会員数最大、歴史は最古の流派である池坊華道会に所属し、2年間中で会員管理や、全国のいけばな教室のサポートを行っていました。
noteをやり始めようと思ったのは、以下の理由からです。
①日本の生活文化についてもっと多くの方に知識として知ってもらいたいということ、②日本は経済活動を中心に戦後復興を成し遂げてきたために、現在あまりにも文化的な教養の無い人が多いと感じるために多くの方々へメッセージとして届けたい、この2点です。
私自身、SDGsをEducate、いわゆるSDGsを教育するESD(ESDはこちらへ)ということに関心を持っていてそれに個人や公益社団法人の理事として取り組んでいます。
古くから日本の生活文化の中には、SDGsの持続可能性という言葉が無意識ながらに取り込まれていることを1つの研究材料として私自身がとらえる中で、日本の文化の独自性についてより知ってもらいたいと思ったのが日本文化の発信活動をはじめたきっかけです。
グローバルな舞台でも、AI化が進む中でも、より国民性や個性といったそれぞれが持つ多様性が大切にされる時代になっていくことと感じています。
それぞれが持つ独自の個性やその集まりであるその国の持つ文化が、世界平和の礎となるようにと思っています。
いけばなの先生をしている手前、いけばなに関することが中心になるかと思いますが、皆様の生活の中での参考になれば幸いです。

今回のお稽古は

自由花でした。
使用した草花は、フトイ、シャクヤク、向日葵、ギボウシの葉でした。

本日の作品について

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シャクヤクを主役にしています。
〈ポイント〉
通常は、写真の花の器は比較的小さめなので、あまり大きく生けすぎるのはお勧めしていません。
ただ、今回のようにフトイを大きく長く使うこともあります。
フトイを大きく使うことで、作品全体に”伸び”が出ます。
”伸び”がでることによって、作品全体に生命感と躍動感が生まれます。
そういった効果を狙ったものになっています。
また主役よりも脇役が大きくなったり長くなったりすると、主役がぼやけることもあります。
ただ、今回は色の強いシャクヤクが主役なのと、主役よりも大きく使っているのが線の細いフトイなので、その2つを見合わせても、シャクヤクの方が主役のように力強く見えるのでこれはこれで問題ないかと思います。

”伸び”について

私は参考として、他流派さんの書籍も読むことがあります。
奈良県内に家元本部があるいけばなの流派さんの奥義書ともいわれる非売品の本の中にもこの”伸び”という文言が出てきます。
作品全体がまとまりすぎる、ぎこちない、かたくみえる、そのような時は”のび”が足りない。
上記のような内容ですが、”のび”というのは抽象的な表現なので、もう少し具体的に言うとどういえばいいのでしょうか?
これは、個人的な認識ではありますが、上下における空間の粗密のことを言い表すのだと思います。

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上と下だと上の方が伸びがあります。
下は花全体にリズム感はあるのですが、伸びがあるかといわれると、うーんっとなってしまっています。
上の絵は中段の辺りに花がかたまり、上段に1本だけ抜きんでるように配置されています。
これが上下の粗密になります。
花の密集しているところ(=中段)と花の配置が粗くポツンとしているところ(=上段)のことを言っています。
伸びがあると作品自体に勢いや弾みがでて、生命感が増す効果があります。

”伸び”の作例について

それではいくつか”伸び”の例を見ていきましょう。

これは”伸び”を意識して手直しをした作品です。

これは私の自作ですが、ボケの伸びやかさを出したくて極端に使用しました。

終わりに

作品の出来において”のび”は大事なポイントを占めます。
そもそも、いけばなは生きている植物を使用するわけなので、その生命のもつ美しさを自然のうちに引き出すことが最も重要なことです。

今回もご高覧頂き、ありがとうございました。
引き続きよろしくお願いします。


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