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愛着が湧く家とは

愛着が湧く家ってどんな家だろう。

どういう人が愛着を持って暮らしているだろう。

設計者なら全員(たぶん)心を込めて、プランを考えたり図面を書いてて、それこそ施主家族が笑顔になっている事を思い浮かべたり。様々な妄想をしているから愛着は物凄いあると思う。

引渡し後の施主、それまでのやり取りを思い返してみると、うっすらと見えてきたことがある。

楽しそうに暮らしている施主

・図面をよく見ている
打合せ時から図面の内容についての話が多くこだわりが強い。即ち図面をみる能力が付く。イメージがより具体化され、自分の生活と照らし合わせるようになる。
我々は素人なので図面読めませんから!と思っている人は、我々の業界の笑い話で出る施主の決まり文句です。
一生に一度の家を口だけじゃなくちゃんと思っている人は図面を見ます。

・暮らしを考えられる
暮らしを考えられる人は今の生活が見えている人で、暮らしが上手な人ともいう。
最低限こうなってれば後は工夫して生活する。でもここだけはこうしたい。
このくらいの気持ちで居た方が柔軟に暮らせる。

・便利さを追わない
今の生活の嫌なところを解消するために家を作る人が居る。
ヒアリングしていると数々出てくる今の家に対する不満の数々。不便な所を解消するのも大事なことだけど、ライフスタイルの変化に伴う不満は流石に難しいのでは無いだろうか。
また、便利な物と思って手に入れたものはそのうち必ず不便なものになる。人は不便なものを見つける能力に優れている。
今ある最新のiPhoneだって、新しい服だって、流行りの食べ物だって、やがて過去の物になって、より優れた物が欲しくなるのだから。

・新しい価値観を受け入れる
今のキッチンが左側にシンクがあるから、L型キッチンだから、収納の大きさがこれだからピッタリ納まる棚に設計して、服が何着あるから幅を計算して。こんな要望をされる人が居るが、本当にそれでいいんですか。って言う話をする。
シンクの位置が変わったって体は慣れる。よほどの理由がない限りは収納はフレキシブルに対応出来る方が良い。服だって持つ枚数は変わる。
先々を見据えて、どんと構えるくらいが後々後悔しない。今の暮らしが永遠に続くわけでは無いのだから。物がしまえなくなったら捨てましょう。全ての物を毎日使うわけでは無いのだから。


・建築家に任せる。
結局これが一番大事だと思う。
自分の先入観がすごい凝り固まっている人。
例えば、天井が高くて、南側に大きな開口部があって開放感溢れる家がいい!思っている人が多いけれど、住み始めたら外からの視線が気になる。暑い。って事で大開口にカーテン。外なんて見えないカーテンがよくみえよく見える家になる。
閉じていても豊かに暮らせる家を目指す方が遥かにいいと思う。
施主の思いを実現することが設計士の仕事だと思っている人も多いけれど、それを上回るような、新しい価値観を提案するのが私の仕事であると思っている。
こればっかりは、それを求めて居ない人も居るので対話がとても重要ではあるが。

愛着を湧く家が一番大事。

これらの事を考えてある程度、建築家にお任せしている人は、いつも嬉しそうに生活をしている。家に愛着がある人だ。私が設計した家でも施主から数年後に嬉しそうに気に入っている所を教えてくださる人が居る。愛着を持って暮らして居てくださって嬉しい。

一生に1度の大きな買物だからと、気が張ってしまう気持ちもわかる。
でもちょっと落ち着いて。
せっかく自分が信用してこの人にお願いしたいと思ったのだから。
設計士の力を引出そうと思うくらい大きく構えて居ると、最終的にいい家が出来ると思います。

我々は、施主に言われるがまま図面を書いているのが一番楽ですから。
(私はしたことありませんが。笑)

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