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【住めば都】三鷹寮の真実


はじめに


 こんにちは。お待たせしました(?)note初登場、文科三類2年の坂本です。私はまだまだ夏休みを満喫中ですが、高校生の皆さんはもう新学期が始まってしまったのでしょうか。大変ですね。頑張ってください。
さて、今回はタイトルのとおり我が愛しの三鷹寮について書こうと思います。はじめての記事のテーマが三鷹寮なのは少々複雑ですが、「刑務所」「監獄」などというデマがあふれる中で三鷹寮の真実を一人でも多くの方々に知っていただきたく一肌脱ぐことにしました。三鷹寮の先輩であり、数学の真髄で激辛添削をされることでおなじみの塩野さんの記事もあわせてご覧ください。

そもそも三鷹寮とは


 正式名称は「三鷹国際学生宿舎」、駒場キャンパスに通う学生のため1993年から1995年にかけて三鷹に建てられた宿舎であり、大学によれば「低廉な宿舎費で快適な居住空間を提供」しているそうです(下記サイトより引用)。

実際に、家賃にあたる寄宿料は月額4,700円、基本月額経費も月額8,850円(いずれも2024年9月現在)と東京都内、そして令和時代とは思えない金額で、「快適」かどうかは意見が分かれますが、「低廉」なのは紛れもない事実です。

三鷹寮の良い点


 以下三鷹寮の良い点を紹介します。良い点は数えきれないほどあるのですがここでは断腸の思いで6つだけお伝えします。決して6つだけしかないというわけではありません。決して。
①安い
 三鷹寮最大のメリット。基本的な金額については先ほど書いた通りであり、光熱費水道代と合わせても一カ月あたり1万5000円程度です。なんて親孝行なんでしょう。
②ゴミ出しが24時間できる
 いきなりスケールダウンしましたが、これも非常に重要です。私のような注意力不足の人間にとって曜日に縛られないというのはとてもありがたいことです。
③防音性が高い
 これも地味ですが重要。鉄筋コンクリート造なのでなんと楽器もOK(ただし早朝・深夜はNG)。
④ほぼ確実に入居できる
 上述のサイトによれば倍率は約1.2倍とされていますがこれは盛っていると思います。結構空き部屋も多いです(入居はしたものの耐えきれなくて亡命したのかも・・・)。
⑤事務員・警備員の方々が優しい&すごい
 三鷹寮の中には共用棟という建物がありそこには事務員の方々(平日のみ)や警備員の方々がいらっしゃいます。皆さんとても優しく頼りになります。部屋の鍵を大学に忘れてしまったとき深夜でも対応していただいたり、傘が敷地内で盗まれたとき代わりの傘を頂いたり(ちなみにまだ解決していません!青ジャージの男、今すぐ返せ!)しました。また、事務員の方々は英語だけでなく中国語もペラペラです。うらやましい。
⑥会話のネタになる
 これは本当にありがたいです。東大生はもちろん、三鷹寮の存在を知らない人にも家賃を言うだけでウケるので便利です。

三鷹寮の最悪な点

 
 思いつく限りの最悪な点を挙げます。
①駅から遠い
 住所は三鷹市新川6-22-20。Google Mapで見れば一目瞭然ですが完全に鉄道の空白地帯。ちなみに最寄り駅は京王井の頭線三鷹台駅で、徒歩38分。
②ユニット
 三鷹寮に住んでいると言うと必ず聞かれるのが「シャワーとトイレが一緒って本当なの?」や「シャワーを浴びると便器が濡れるって本当なの?」という質問。前者はまあ本当、後者は棟によるというのが答えです。いかに限られたスペースに多くの学生を収容するのか、この問いに対して東京大学は非常に頭が良いので画期的な答えを出しました。それが「シャワーとトイレを同じ空間に設置する」ということです。イメージとしてはユニットバスから浴槽を引き圧縮したものと言えば分かりやすいでしょうか。そのため私は「ユニットバス」-「バス」でユニットと呼んでいます。しかし、そのままではシャワーを浴びる際に便器が濡れてしまいます。東京大学は非常に頭が良いのでこの難問に対しても解決策を考えました。それが可動式洗面台です。これに関してはぜひ画像検索をしてください。洗面台が回転することにより便器をガードできるのです。しかしこの可動式洗面台はC棟~E棟にしかありません。東京大学はお茶目なのでA棟B棟にはそういった設備がなく、本当に便器の上にシャワーが付いています。どの棟に住むことになるか
は完全ランダムですから、まさに「棟ガチャ」です。ある意味で親ガチャよりも残酷と言えるでしょう。ちなみに私はC棟を引き当てた勝者です。ただし、可動式洗面台があってもなくても便器の奥の床までシャワーが届かないという構造的な欠陥があり一般的な方法では掃除ができません。私は初めての掃除でバス〇ジックリンを使ったあとシャワーで流すことができず詰みかけました。
③断熱性がない
 とにかく断熱性がないため夏は暑く冬は寒いです。ちなみに窓にプチプチを貼ると断熱性が上がり過ごしやすくなるので非常におすすめです。
④日光が入らない(これは部屋による)
 日光はうつ病予防などたくさんの効果がありますが、少なくとも私の部屋には日光がほとんど入りません。日光ガチャの敗者です。
⑤空調が前時代的
 なんとリモコンがありません。壁につまみがついていてそれをひねるしかないのです。温度設定やタイマー設定などあろうはずがありません。ですから熱帯夜は地獄です。寝る前に消して灼熱を味わうか、ずっとつけっぱなしで電気代の上昇と引き換えに極寒を味わうか。私は後者です。
⑥家賃の支払い方法が前時代的
 現代では振り込みや口座振替が一般的だと思いますが、三鷹寮にそのようなシステムは搭載されていません。なんと支払い方法は現金のみ。共用棟に設置されているプリペイ機という最新鋭の機械にチャージしてそこから家賃(寄宿費)や光熱費水道代が引き落とされるシステムです。家賃の引き落としは毎月頭なので定期的にチャージする必要があるのですが、プリペイ機は三鷹寮敷地内にしかないため長期休みなどで月をまたいで帰省などをする場合は事前に大量に入金しておかないと大変なことになります。引き落としの瞬間に残金がマイナスになり電気水道などすべてが止まるそうです。ちなみに領収書はチャージの時しか発行できないため、家賃の領収書はありませんし、リアルタイムで引き落とされる光熱費水道代などの記録も不可能です。
⑦パノプティコン
 Google Mapで見れば一目瞭然ですが各棟が放射状に建てられています。これはジェレミー・ベンサムが設計したパノプティコンという刑務所の構造に類似しており、囚人の監視に最適な設計です。このような構造はミシェル・フーコーによれば近代の管理システムの起源だそうです。
参考:

https://www.p.u-tokyo.ac.jp/lab/ichikawa/johoka/2003/group1/hajimeni1.htm

 ちなみに雪が降ると完全に刑務所と化します。

網走刑務所ではなく三鷹寮です(筆者撮影)

三鷹寮の悪い点(まだまし)

 先程は擁護のしようがないものを紹介しましたが、次は人により意見が分かれるレベルのまだましな悪い点をご紹介します。
①自然豊か
 これは有名ですが非常に虫が多いです。私が実際に観測したのはGや蛾、トンボ、クモなどですがこれも棟ガチャで、A棟では梅雨時にヤスデが大量発生しドアを貫通して部屋まで侵入し、E棟では一年中Gが大量に棲息し廊下や駐輪場に転がっているそうです。ちなみに私は「比較的」虫が少ないC棟、そして2階に住んでいるので圧倒的勝者です。一方で、自然を見ればリラックスできますし、春は桜や菜の花が非常にきれいです。

いずれも筆者撮影

②部屋が狭い
 キッチンやユニット全部込みで13平米(約8畳)。厚生労働省の「住生活基本計画における居住面積水準」によれば、「世帯人数に応じて、健康で文化的な住生活の基本として必要不可欠な住宅面積に関する水準」である「最低居住面積水準」は、単身者で25平米だそうです。繰り返しますが三鷹寮の部屋は13平米です。ただし部屋が狭い分床掃除がわずかに楽になったり移動時間がわずかに減ったりという利点があるのでまだましとしました。
③友人を呼べない
 三鷹寮では居住者以外は居室に入れてはいけないことになっています。「利用の手引き」には「面会は、宿舎事務室で手続きの上、ラウンジを利用してください。面会者を居室に入れることはできません。」「面会者が三鷹国際学生宿舎に宿泊することはできません。」と記載されています。現実には居室に入れてもほぼ確実にばれないのですが、上述の通り部屋が狭いですし誰もわざわざ駒場キャンパスから1時間かけてまで三鷹寮に来てくれないです(私にはそもそも友人が・・・)。ただ人を呼ぶ機会がゼロなので掃除をサボっても問題ないという利点があります。

おわりに

 以上三鷹寮についてつらつらと書いてきましたが、結論はコスパ最高、住めば都です。例えば駒場キャンパスの近くに住もうとすると家賃は9万円以上だと思いますがこれは三鷹寮の10倍です。どんなに三鷹寮に悪い点があっても一般の物件の10分の1よりは価値があるでしょう。さらにその分贅沢ができると考えれば案外トータルの幸福度は変わらないかもしれません。予約すれば宿舎見学も可能ですので私の書いてきたことが真実かどうか、ご自分の目で確かめてみてはいかがでしょうか。

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