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第2回東大本番レベル模試 世界史所感

第1問:やや易

今回の大論述は、史料を用いない、指定語句のみが与えられた問題でした。「やや易」とした理由は、問題文を読みながら(もしくは問題文を読み終わってすぐに)答案に盛り込む要素を箇条書きでき、加えて、それらをつなげていけば一応それなりの論述になってしまうからです。実際、解答・解説を読んでもらったらわかると思いますが、模範解答の要素のなかに特別に難しい項目はなく、教科書に書いてあることがほとんどではないでしょうか。よってこの問題で問われていることは、「18世紀後半~1820年代の大西洋沿岸の情勢を、イギリスと関連づけながら整理できているかどうか」だけだと言ってしまっても差し支えないのではと私は思います。また論述の構成についても、北米・仏・南米といったように地域ごとに順々に述べていけば十分なので、過去問演習をすでに進めている人にとってはやりやすかったのではないでしょうか。

唯一引っかかってしまう(もしくは沼にはまってしまう)蓋然性が高いところとしては、指定語句の「英仏通商条約(1786年)」が挙げられます。この条約が初見という人もそれなりにいると予想していますが、問題の(注)に貿易自由化とあることと、1786年当時イギリスで産業革命が進展していたという知識から、「英から仏に工業製品流出&仏国内産業打撃→仏経済行き詰まり→第三身分の不満増大」のようにつなげていけるとよいと思います。

今回答案を作る中で知識があやふやなところを少しでもみつけたら、せっかくの機会ですから教科書などを使って18世紀後半~19世紀の大西洋沿岸諸国を復習して、得意な分野にしてしまいましょう。

第2問:やや易

いずれの問題も、難易度の高い知識は要求しておらず、いかに自分の言葉で限られた字数内で説明できるかを問うものだと思います。そのため、今回問題を見たときに、「ああ○○か~、知っているのだけれど上手く説明できないな」という状態になった人も一定数いるでしょう。

そんなときは、日頃の学習の中で、インプットばかりするのではなく、適時アウトプットの時間も取るといいでしょう。教科書・参考書をみないで自分の知識だけで世界史のノートをつくってみたり、テーマを一つ決めてお風呂に入りながら講義風にしゃべってみたりするのも一つの手段だと思います。

東大の世界史は、今回の第2問のように、自分の知識をうまく整理して説明する力が相当求められる問題なので、本番までの約半年間、ぜひアウトプットに積極的に取り組んでもらえたらと思います。

なお、問(3)(b)のポルトガルについての問題についてですが、東南アジアは意外と復習がおろそかになりがちだと(個人的には)思っているので、この機会に東南アジアの知識を整理し直してみるといいかもしれません。

第3問:易

満点を目指してほしい難易度でした。本番では、正答率が低い難しい問題を正解するよりも、正答率の高い平均的な問題を正解するほうに価値があります。今回間違えた問題があった人は、その背景知識も一緒に復習するようにしましょう。

(3):王朝ごとにどのような名称だったかを整理するといいかもしれません。
(4):10問のなかで一番難しいのではないでしょうか。しかしながら、教科書に載っているレベルなのでぜひ押さえておきたい単語です。ついでにバイキングがどのようにヨーロッパを移動したのか、一度整理してみましょう。
(7):時期的に近い天津条約の内容と比較してみましょう。

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