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2022年6月実施第1回東大本番レベル模試 スタッフによる所感【古漢】

古文 全体概観:標準


「狭衣物語」からの出題でした。リード文に状況が書かれていたことに加え、登場人物も少なかったので大体の内容は掴みやすかったのではないでしょうか。また、内容説明では具体的に補うポイントが指摘されていたので、記述しやすかったと思います。普段から文章の主体を補ったりしながら正確に文章を読む事を心掛けましょう。もちろん重要単語の暗記も大切です。
以下、問題番号は文系用の問題に準拠します。
(1)やや易
イ、キの問題は重要単語についての知識があれば解答できます。エの問題は文脈から、「堰く」(堰き止める)が涙を堪えるという意味だと理解できますが、「潮垂る」など比喩的に涙についての表現になる単語があることを知っていると解答しやすかったように思います。ただ、まずは重要単語の意味を暗記することを優先しましょう。
(2)標準
重要単語を暗記していれば、直訳を作るのは難しくはないと思います。そして、直前の部分とリード文を参考にすると、この傍線部が姫について述べた部分だとわかると思うので、あとは自然な現代語訳に工夫すれば解答できたでしょう。古文では、傍線部のみで意味がわからないときは、傍線の直前・直後やリード文を参考にすると良いと思います。
(3)標準
「物思ふ」は頻繁に出てくる表現なので意味を覚えておくといいと思います。前問と同様、直訳はできると思いますが、リード文や傍線以前の文章から思い悩むは恋に思い悩むだと分かるので、その部分も補って書けると良いでしょう。
(4)標準〜やや難
敬語や係結びに注目すると中将が宮に求めていることがわかります。「あはれ」の意味が愛情だとわかれば、意味は掴めるはずです。ただ、直訳では不自然な部分や、言葉足らずな部分(「かかる心」、「あはれを添へる」など)は工夫して答案を作らなければならなかったので、そこが難しかったでしょう。文脈だけでなく文法や形式も考慮して回答を作成できるといいと思います。
(5)やや易
答えが冒頭にあったので探せなかった人もいたかもしれませんが、冒頭に「うつぶし伏したまへる」とあるのでそこを参考にすると解答できます。

漢文 全体概観:標準


「東莱博議」からの出題でした。読みやすい文章なのでここで点を稼げるとよかったです。内容説明・理由説明の問題では、問われている部分はどこかを見極め、過不足ない解答を作成することが求められます。以下、問題番号は文系用の問題に準拠します。
(一) 標準
短い傍線部の現代語訳の問題です。bは確実に正解したい問題です。cは「未嘗」を上手に訳せたかがポイントです。fが少し難しかったと思われます。「孰か…連体形+や」が「誰が…か」という疑問の意味であること、また「使之然」の部分が使役であることを理解した上で自然な日本語で訳せると良いでしょう。
(二)やや易
内容説明問題です。長い文で送り仮名も省かれていますが前文と対句であることがわかれば、一文を順番に訳せば良いので難しい問題ではなかったと思います。「天下」には「世間の人」という意味があるので知らなかった人はこれを機に覚えましょう。
(三)標準
内容説明問題です。「も亦」は前段落の「木」の件を受けているので、解答には「『木』が『春気』や『秋気』の訪れで変化すること」と「『言葉』が『気』の加わり方で変化すること」が同じであるということを盛り込めば良いでしょう。
(四)標準
内容説明問題です。「何によって『一言移』か」はこれまでの文脈から「気」であるとわかると思います。「霄壌」が「天と地」であることは注釈からわかるので、それが「天と地ほど違ったものになる」という例えとして用いられていることがわかれば解けた問題です。
(五)やや易
本文全体から「言」と「気」がキーワードであるとわかります。本文で、大事なのは「言」ではなく「気」だと述べられている事が読み取れれば、gに「気」、hに「言」を入れる事ができるでしょう。本番では確実にとりたい問題です。

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