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「若きの日に旅をせずば、老いての日に、何をか語る」サイゴン川の眺め


Hotel Majestic からの眺め1992年


ベトナム・サイゴン川。1992年の写真。
マジェスティクホテルからの眺め。
サイゴン川が大きくUの字にカーブするところ。

僕は、幸運にもまだ対岸の景色が激変する前、92年にマジェスティクからこの風景を眺め、しっかりと心に焼き付ける事ができた。

この風景を愛した有名な作家が三人いる。
開高健 近藤紘一 沢木耕太郎。

■開高健『ベトナム戦記』から引用
最前線はどこですか、どこですかと聞いて、そのたびにたしなめられた。全土が最前線だというのがこの国の戦争の特長である。ベン・キャットも最前線ならサイゴンのマジェスティック・ホテルだって最前線である。いつフッとばされるかわからないのである。

■近藤紘一『サイゴンのいちばん長い日』から引用
さえぎるものもない窓の向こうの広がりは、今と同じように光とのどかな色彩にあふれている。

あの夏の朝、私は幸福だった。

かたわらには前の妻がおり、そして私たちの目の前には、二年間の外国での自由な時間があった。

妻の死後一年余りして、風の吹き回しで再びこのサイゴンに戻った時、妻と共に川向こうの風景を眺めたあの夏の朝は、やはり、自分とこの土地との将来の結びつきを予告する宿命的なひとときであったのか、と思った。

■沢木耕太郎『一号線を北上せよ。』から引用
私は、近藤さんがそのようにまで言う、マジェスティックからの風景をどうしても見てみたかった。
そこで、ホーチミンに行くと決めたとき、まずマジェスティックに予約を入れたのだ。
私はそのミス・サイゴンを呑みながらサイゴン河に映るネオンのゆらめきに見入っていた。
暗い夜の中に、わずかな華やぎを見せているこのマジェスティックからの風景には、見ている者の心に静かに深く沁み入ってくるものがあった。

マジェスティクホテルとサイゴンリバー

         ——✈︎——

「若きの日に旅をせずば、老いての日に何をか語る」

よかった…旅に出る決心をして。

92年の君。大丈夫だよ。旅立ちなさい。
知らない土地に旅立つ不安はいっぱいあるだろう。しかも、ベトナムは共産主義国。心配いらない。
大丈夫。旅に出なさい。

何かが君を待っている。誰かが君を待っている。

未来の君は、あの時見たもの、感じた事を、今も心にしっかり覚えているし、その事を思い出して幸せを感じたりして、君のことを感謝してるから。
誇りにさえ思ってるから。
旅に出る決心をした君を感謝してるから。

写真を眺めながら92年当時の自分に感謝している、僕がいる。

「若きの日に旅をせずば、老いての日に何をか語る」

この言葉に出会えた事にも、心から感謝している。

by Hotel Majestic Saigon web site
サイゴン川

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