初めと終わりはセット

幸せを満喫している。 
ああ、幸せ。
打ち合わせが上手くいった後の、この気持ちを表すのにふさわしい言葉の持ち合わせがない。

生まれてきて、いろんな経験をして、今の仕事に出会えて本当に良かった。コロナの影響をモロに受けて仕事はほとんど無いし、この先も今の仕事が続けられる可能性は低いけれど、それでもこの思いは格別だ。
この仕事だから得られる思いを今は存分に味わおう。

私の仕事は研修講師。
相手の要望を聞きながら、私が持ち得る能力を総動員して研修内容の吟味を重ねていく。打ち合わせでは、テーマは既に決まっているけれど、まだ形になっていないものを見えるようにしていくことが重要だ。

研修を依頼した意図は?
欲しい変化は? 
それはなぜ?
話を進めていくうちに、相手の態度に微妙に表れてくるものがある。それが何からくるのか観察しながらスクリーニングをしていく。相手もまだ気づいていないが、微妙に態度に表れる部分が、実は研修を依頼した肝だったりする。そこを見えるようにするのだ。相手の言葉と私の言葉を丁寧に重ねて、掘って、取り出して、合意していく。
研修で伝えることも好きだが、実はこの作業の方がたまらなく好きだ。

でも、コロナになってから毎回思う。
きっとこの仕事で最後、これで最後と。


コロナ前も真摯に仕事に向き合ってきた。依頼がある限り、この仕事を続けたいと思ってきた。しかし、悲しいかな、終わりが見えてきているのも事実だ。それが実力なのも事実。

仕事がなくなっても、私は生きていけるかな。
生きているだけの私になってしまわないかな。
こんな幸せな時間を失っても、私は私でいられるのかな。

そう思うと涙が出るけど、今の私は幸せなのです。
悲しいけれど幸せ。不思議な感覚だ。

初めと終わりはセットだもんね、仕方ない。  
だからこそ、いつ終わってもいいと思える仕事の向き合い方を続けてこられた。これなら上等だ。

これを言葉で表すなら、やっぱり「幸せ」でいいんだよね。