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YouTubeだけで動画を投稿する人に【Sony a7SIII】は本当におすすめなのか解説します。

お疲れ様です。Toshikiです。
さて、待ちに待ったSonyの新型カメラ【α7SIII】が先月発表されました。
以前のモデル【a7SII】から
今回のアップデートまで約5年の年月を掛けた動画を専門とするミラーレスカメラ。

僕自身もずっと待ち望んでいたカメラです。
発売後すぐではありませんが
来年には導入予定のカメラとなっております。

ここからが本日の本題ですが
「YouTubeで動画を投稿するだけの人にこのカメラはどうなのか?」という疑問です。

YouTubeで動画を投稿するだけの人はおそらく「バリアングルモニター(自撮り液晶)が付いてる!」という部分だけを見て、
それ以外の深いスペックまでは理解しておらず「YouTuber向けのハイエンドカメラだ!」と騒いでしまうでしょう。

少しお待ちください。
ボディーだけで40万円近くの大金をかけて買うカメラです。
決してこれは「YouTuberだけに作られたのではなく」
「ターゲット層の一部にYouTuberがいた」というのが正確な考え方です。

YouTubeなどの動画サイトが需要性を拡大した
今だからこそ意識して作られている事は間違いないでしょう。

しかしバリアングルの液晶が付いてるだけのカメラなら
LUMIX GH4/GH5、Canon EOS RP、Sony ZV1/a6400以降のシリーズなど「市場では40万円以下で既に優秀なカメラが多く用意されています。」

今回のnoteでは
「Sony a7SIIIは実際どの様なユーザー層におすすめなのか?」
YouTubeの投稿者でもあり、映像の仕事に関わっている僕の個人的な考えをまとめたnoteとなっております。

購入などに関しては自由ですが
少しでも参考になれば幸いです。

Sony a7SIIIを試しにいく

今回のnoteを書くにあたって
「全く使ってもいないユーザーの意見なんて聞いても仕方ねーよ!」
と言われるとなんだか本末転倒(?)なので
a7SIIIの実機を写真専門カメラマンの友人と二人で触りに行きました。

Sonyストア銀座店

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Sonyのカメラやテレビなどの新製品発表後、
発売前の実機を置いていますので購入前などにテストしてみたい人は是非行ってみてください。
αシリーズの所有者ならセンサーのクリーニングなどサポートも手厚くやっていただけます。

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やっぱり新製品は興奮する。(笑)

友人と僕でテスト時間は僅か10分。
この短い時間では全ての機能を深く知る事が出来ませんでしたので
このnoteではいろいろなサイトからの情報も交えてお話しさせていただきます。

結論

「マジでヤバイ動画性能極振りカメラです。」
Sonyは今回「ユーザーの意見に耳を傾け最高品質の4K動画を撮影する為に全力を使った」と周りが言っていましたが改めてその性能を確認できた気がします。

個人的な感想ですがFS7/FX9と呼ばれるSonyが販売している業務用カメラの持っている機能の一部を厳選して小型化のミラーレスに入れたと考えています。

さて、本題ですが
YouTubeやSNSでの動画投稿がメインの人達にこのカメラはどうなのか?

個人的な答えは
「凄まじくオーバースペックすぎる為、全ての機能を使わない/扱いきれない。」とお伝えしておきます。

これは今回発表されたa7SIIIで最も注目されている目玉機能なのですが

内部録画 4K 60p まで 10bit 4:2:2で可能
HDMI経由 4K 16bit RAW
4K 120fps RAW動画撮影(Cfxpressカード必要)
FHD 240fps(Cfxpressカードが必要)
15ストップ以上のダイナミックレンジ

上記の性能を読んだ時
「どれも何を言っているのか、わからない」又は
「どこで使うの?」との回答が出る場合
現段階ではa7SIIIの性能をMaxで使う事が予定されていない人に当てはまると思います。

お題から逸れてしまうので
bitやRAW動画などについての説明をここでは省略させていただきます。

「そういうのは買ってから考えて調べて覚えるんだよ!」
ここまで読んでいて思った方がいると思います。

一応お伝えしておきますが「買うな!」とは言っていませんし、
ここから先も言いません。

しかし使用目的が「YouTubeで自分を発信する為の活動だけで使うカメラ」と決まっている人にとって
このカメラは値段も含めて少しオーバースペックです。

「登録者数の多い投稿者や自分の尊敬するインフルエンサーが『これがYouTuberの為のカメラ!』と言っていた...だから買う必要が有るかも…」
と正確な情報が定かでない状態で現在購入を迷っている方は一旦踏み止まっても良いと思います。

①パソコンのスペック整えないとやばい

今回はテストの際に自分の持ち込んだメモリーカードに映像ファイルを保存する事ができました。テストの為に持ち帰って、自分が使っている編集環境でレンダリング速度などを検証する流れです。

その時撮影した4K 60p 10bit の映像を
「MacBook Pro 16インチ フルカスタムモデル」
に入れた
僕のパソコンの状態です。

はい(笑)
発表前の製品スペックがリークされた段階で予想はしていました。
そして実際に製品のサンプルが渡されていた
海外レビュアー達の動画を発表後に僕は全て見たのですが、
全員が共通して言っていた事をまとめると

10bit 4K 120fps の動画をパソコンに取り込むだけで、フルスペックMacBook Pro 16インチはファンが回転し続ける。
iMac(Proではない)のフルスペックでも処理に多少の時間がかかる。
16bit RAWはまだ市場のレコーダーに対応していないから今回は撮影できていないけどおそらくもっとヤバイ処理時間が必要になる。

と皆さんこの様なコメントをされてます。

ちなみにこの「4K 120fps」という撮影は通常のSDメモリーカードで記録ができません。
今回からCFexpress Type Aと呼ばれる新しい規格のメモリーカードが必要になります。

80GBは 2万4000円前後
160GBは 5万円前後です。

4K 120fpsの機能を使うならこのカードは必須で初期購入予算の視野に入れる必要が出てきます。ボディーと合わせて実質45万以上の出費が決定。
デュアルスロットなので2枚買う人は50万円超え!(お財布ぴえん。)

個人的な予想ですがおそらく80GBでは全然足りないと思います。
先ほど僕のツイートにも書きましたが
4K 60p 10bitの動画が「49秒で容量が1GBを超えているんですよ。」
ハイフレームレートの場合さらにデータ情報が多い為、おそらくすぐにいっぱいになるかも・・・

そして編集ソフトにインポートするとあれだけPCの内部ファンが回転する状態。

数世代前のパソコンをお持ちの方では
扱いが難しくなると考えて、良いかもしれません。

バキバキにGPUやRAMを高性能マザーボードに載せてカスタムしているデスクトップWindowsならおそらく余裕かもしれませんがMacユーザーの多くは苦戦を強いられると考えています。

今使い慣れている環境を1台のカメラの為に変えていく必要がある。
そう考えるとライトな動画投稿者などには少しデメリットが大きいかもしれません。

今回テストができたおかげで僕自身も今のMacをベースに
他にどの様な周辺機器を揃える必要があるかの検討がしやすくなりました。
やっぱり購入前のテストは大事です。

②SNSでは使用頻度が高くない機能も多い

4K 120fps/ FHD 240fps
トークチュートリアルが専門のYouTuber達だと
使う人はそこまでいないと考えれます。

ハイフレームレートは本来、主に激しい動きを記録して
スローモーションにする為に使われる事が多く

アクション、ダンス系、スポーツ、スケボー、パルクール、スポーツカー
激しいドッキリなどがあるコメディー系の投稿者なら重要は高いと思いますが、僕と近い音楽系などのレッスンやトークをメインに投稿している人にはあまり使わない機能の一つになるかもしれません。

逆にこのハイフレームレートを駆使しておしゃれな動画を撮ったりする文化がVlogger達の間で始まったのでおしゃれ系YouTuberなら今回から4Kで撮れるのが画質面で大きなメリットかと思います。

RAW動画
写真でも聞くRAWですがという意味があり
多くの光や色の情報量を持っているファイルの事を指しています。

このRAWデータは動画だと撮影から膨大なデータ量を記録していく為、カメラに与える負荷が大きかった過去があります。その為、今までは主にシネマカメラで使われていた技術です。
しかし技術が発展した現代、ミラーレスカメラの動画機能にも搭載され始めました。

以前までこのRAW動画機能はミラーレスカメラなどに搭載されておらず「Log」と呼ばれる方法で撮影していました。

RAWとは少し違いますがLogは「白すぎて飛んだり、黒すぎて潰れたりする部分の情報を残す」方法で多くの情報量を残した状態の素材を撮影する事ができます。

両者ともこの機能で撮影する場合は編集でカラーコレクション/カラーグレーディングという作業を踏む事が前提となっており、撮ったばかりの映像をパソコンで開くと色が殆ど抜けている状態です。

参考までに僕の動画素材をお見せします。
RAWでは有りませんが「Log」を使用した状態で撮影した物です。

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この状態がスタートで色付けして行きます。
そして最終的にこんな感じになります。

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この機能をYouTubeやSNSで使う場合は主に雰囲気作りの為と考えてください。
カメラから撮って出しのデフォルトカラー映像を使うよりも
色調整の自由度が高いLogやRAWで撮影・編集した方が
自分のオリジナリティが出て他と大きく差別化できるのでおすすめです。

しかし、
ISO、ホワイトバランス、照明の位置、など最初の段階でしっかりしたセッティングが完成していないとすごく歯痒い思いをするとおもいます。(経験者

その為、慣れていない頃は
「コンテンツを作る時間よりも」
「編集する時間」に時間がとられてYouTubeなどSNSで活動する本来の意味を見失うかもしれません。(おおげさかな?)

③SNS以外でも活躍させたいカメラ

せっかく素晴らしい機能が揃っているカメラを手に入れるなら
「映画の様な映像作品」を撮りたい、作りたいという考えが生まれて来ると思います。
この考えが有るか、無いか?
おそらくここが購入を決断する為に必要なポイントかもしれません。

カメラを持っていない人がカメラを買う理由を少し考えてみましょう。
おそらく殆どの答えは「綺麗に撮りたい」がスタートだと思います。

僕自身もそうでした。
そこから本格的にカメラの事について調べ、友人達にもアドバイスを貰い、続けて来れたのは間違いなく様々なシネマティックな絵を撮るYoutuberやシネマ作品に触れてきたからです。

そこで学んだ技術やアドバイスを個人のYouTubeの活動でも少しだけ使っています。

自分のYouTube活動以外で公開された作品だとこちら。

メタルのMVなのでこの様に仕上げていますが
ジャンルによってはこんな感じに仕上げる時もあります。

僕はまだMVなどの作品しか出せていませんが以前から個人的にドキュメンタリーなどを撮りたいとも計画しています。
発表されたα7SIIIを購入したいと思えたのもただ最新機種が欲しいのではなく「将来やりたい事」のチェックリストに多くのマークを入れたのが大きなポイントです。

もし今の目的が
「YouTubeで高品質な作品やレッスンをアップしたい」
という考えだけの方なら、買うのはa7SIIIの様な高額カメラではないかもしれません。

④YouTubeで高品質な作品やレッスンをアップしたい人

先ほども少し触れた

カメラを持っていない人がカメラを買う理由=綺麗に撮りたいがスタート

の続きになるのですが
最初のベースになる部分は以前こちらのnoteで記事にしています。

さていきなりですが
「品質をさらにアップグレードする為の機材」をこの記事に追加していきます。

まず高いカメラ=自分の理想としている絵が100%撮れる
という訳ではありません。

40万円を超えるカメラ本体を購入しても「画角に見えない部分の努力と投資が必要になる」と覚えておいてください。

動画は
「声の音質、音楽、効果音、編集、計画性、色」などガチになると割とディープです。

時間をかけても良いので少しずつこれに投資していく必要が出てきます。
でも40万円の大金がもう有った場合・・・

カメラ本体

レンズ

ここで14万4000円程・・・

照明+ソフトボックス

マイク

(Zoomは音楽クリエイターなどに)

編集ソフト(買い切り版)

FCPXは36,800円

音楽・効果音がYouTubeで使えるサブスクリプションサービスと年間契約

Epidemic Soundは15,000円

ここまで全部、購入したとして約25万円ほどの出費です。

選んだ機材は決して「仕事現場で使うハイエンド」な物ではありませんが
「高品質な撮影をする事が充分に可能なYouTuber向けの機材です。」

残りの金額を
背景作り、三脚、メモリーカード、企画費
などに投資しても全然お金が余ると思います。

工夫次第では
ボディーレンズを別メーカーにする
品質の良い中古にまたは型落ちした前の物を使う
という方法を使うだけでも5万円以上は変わってくるはずです。

40万円。なんでもできるな・・・

⑤高いカメラを持つ理由を教えて欲しい

上記の内容を全て読んだ方だと
なんで高いカメラをフォト・ビデオグラファーが使っているのか教えろ!
と言われてしまいますので僕なりの考えをここに書いていきます。

第一に「操作性能」

高いカメラは
「オートフォーカスの性能が良いです」とか
「カラーサイエンスが素晴らしいです」とか
それだけでは無いんです。

それ以上に仕事のスピードに直結する「操作性能」が重視されていると僕は思っています。

低価格なカメラに多いのですが例えばISO感度やシャッタースピードを切り替える為にその都度ファンクションボタンやメニュー画面を開いて操作していると遅いです。

多くのボタンに使用するアクションをショートカット登録してその場でサクッと動かせる方が早いし楽です。
その細かな変更がしやすく機能を充実させているのが高いカメラには多く備わっています。

第二に「お客様との信頼性」

カメラマンに依頼をするとき
例え両者が同じ実力で同じ値段でサービスを提供していても

「メイン機材は3万円のカメラです!」と言う人か
「40万円のカメラを使っています!」って言う人でもう依頼する前からお客さんの先入観が変わってくると思います。
言わなきゃバレないと思われますが、いずれ必ずバレます。

カメラについて詳しいお客様に遭遇する事はごく稀です。
しかしスマホですぐ検索できる世の中です。
使用機材とかその場でググられると考えると金額が大きいカメラを1台持っていて損は無いと思います。

第三に「喜んでもらう為」

第二の補足の様な文章にまりますが
現場で普段見慣れない高額のカメラが有ったら割とお客さんが興奮してくれます。撮られる側の「体験」としても満足度が高いはずです。

他にも周辺機器のジンバル、モニター、
変わった見た目の三脚、外部レコーダー
など様々なアクセサリーを見るだけで
「おー何これ!!」と興味を持って向こうから話しかけてくれます。

良好な関係が続いてもちろん将来のリピーターになって欲しいですし
そこから別の仕事に広げるためのチャンスにもなります。

終わりに

色々と個人的な考えを書かせていただきましたが
最新のカメラが好きだから買うという条件だけでも十分な購入理由だと僕は思います。

しかし40万円の大金で何ができるか?
と考えずにカメラをポーンと買って後悔するよりは
こういう情報も必要じゃないのかな?
と思い今回は長文で色々書かせていただきました。

そんなことよりa7SIIIか50万円僕の手元に降ってこないかな・・・

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