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パナソニックに学ぶコモディティ化した市場における“引き算手法”

来週の引越しに備えて最近色々家具や家電の処分と買い替えを検討している。まぁ凄く引越しというのは面倒くさいのだが、ずっと同じ環境にいるよりかは2年に1回は移動する方が確実に幸福度が上がる。最近はなんか日本自体に飽きてきている所があるため余計に移動したくなる。そのうちホテル暮らしでもしているのだろうか。

まぁそれはさておき、その中でも僕は家電探しをしに量販店へ出向き最新の家電を見るのが好きである。特に最近は人々の生活が多様化する中一人ひとりのウェルビーイング実現に向けてあらゆる製品が進化している。その究極の所が家電であると思う。

しかし、家電は暮らしに密着した製品だからこそ、生活者である顧客の行動や心理を奥深くまで理解しなければ、本当に価値ある製品を創り出すのは難しい。そして最近の家電業界はスペック競争に走りがちで、顧客のライフスタイルの多様化に応えきれていないのが現状である。

実際私が最近聞いたのは、調理家電なんかは新しいモデルを出すたびに多機能になり、電子レンジや炊飯器で作れるレシピの数は数百にのぼる。もちろんハイスペックな商品を望んでいる顧客もいるが、一方共働きで日々の食事も中食や外食が中心という家庭では、シンプルで使いやすい商品が好まれているというのだ。

つまり、従来のような機能追加による進化だけでは、顧客のお困りごとを解決できない。これは調理家電に限らず様々な家電で起きている共通の課題だと言える。さらにいうと家電のみならず、飲食店やアパレル業界にもこれは言える。新しい味や色デザインを付け加えたところでそれが顧客に求められていないケースが最近は多々あるのだ。

コモディティ化というのはそういうことなのである。そのコモディティ化の背景にあるのは、新商品のライフサイクルの短期化である。特に家電業界は、1年に1度、新しいモデルを出すのが慣習化しており、その結果、各メーカーが次々と新商品を投入する過当競争に陥っている。

そして、開発日程を優先するあまり「お客様に貢献できる価値とは何か」を考え抜く余裕がなくなっているという。他社との性能比較、既存商品の延長線上でのスペック積み上げという、いわばルーティン化したプロセスでの商品開発を余儀なくされている。

日本の製造業がイノベーションをなかなか生み出せなくなった一因は、足元の仕事に忙殺されて画期的なブレイクスルーを起こす余力がなくなったからだ。

そこで、パナソニックが考えたのが商品のライフサイクルを長くするための取り組みだ。新商品は2、3年に一度。その間に、次に求められる価値は何かを考え抜き、2年後や3年後にはまた顧客のお役に立てる商品を提供する。

そして徹底的に引き算手法を用いて引き算を行う。顧客体験の深掘りをすると「この機能は使わない」「この機能さえあればいい」といった本質的なニーズが見えてくるという。

確かに、ここ1〜2年の家電業界は明暗が分かれている。4〜5年前から急上昇してきたバルミューダがここ数年携帯事業で転けたり、シャープやソニーの主要家電売上はコロナ禍に関わらず伸び悩んだりしている一方でパナソニックは一定の売上の成長を維持している。

パナソニックは、質での勝負をやめ無駄な物を取り除く引き算手法を用いて競争を支配しているのだ。これはどのようなビジネスにも応用できる。次々と新たな商品を出すよりもこのSNS時代を活かして顧客体験を読み取りその情報を長い期間考察しながらモノやサービスを開発していく。

こうすることがコモディティ化した市場での成功法である。

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