W杯と日本株~地上波放送の限界について~
先日は、サッカーW杯にて日本が優勝候補ドイツとスペインを見事に撃破しグループステージを突破、国内はお祭り騒ぎだ。そしてそれと同時にW杯関連銘柄を中心に日本株の株価がかなり上昇した。
インターネットテレビ「ABEMA」でW杯全64試合を中継するサイバーエージェントは一時1319円をつけるなど終値でも前営業日比7%近い上昇を見せた。スポーツ観戦ができるスポーツパブ的な「HUB」を運営するハブやスポーツ用品の美津濃も軒並み上昇している。
ちなみに今回のW杯の予選でも日本チームは7勝しているが、うち5試合の勝利のあとは日経平均が上昇しているという。
その中でも、日本代表の元気が良いと日本にいる子どもたちの間でサッカー熱が高まることが予想されるので、まずはスポーツ用品関連銘柄が盛り上がることは間違いない。この盛り上がりにテレビでは各選手の少年サッカー時代の映像も繰り返し流している。サッカーを始めようという子どもたちが必然と増えるからだ。また、これと同様にサッカーを始める子どもが増えるとサッカー教室を運営しているような企業の株も必然と熱くなる。
それに、なんといってもW杯テレビ中継でFIFAから放送権を全て取得したサイバーエージェントである。W杯全64試合を日本で中継するのは、同社が運営するネットテレビ局「ABEMA」だけだ。日本チームのグループステージ第一戦が行われた11月23日の週は、視聴者が3000万人を突破し、開局史上最高記録を更新するなど、W杯中継は成功を収めつつあるといっていいだろう。しかも日本戦以外の対戦でも視聴者が確実に増えている。
そもそもサイバーエージェントの業績は、コロナ禍以降主力のゲーム事業が巣ごもり需要の追い風もあり特需が生じかなり良かったが、一方その反動で2022年9月期は増収ながら大幅減益している。2023年9月期も売上は堅調ながら減益予想されているが、これはW杯の放映権料が重くのしかかっているためだ。将来、かなり大きく成長するための投資だと言える。
現にここ直近では日本チームの快挙によって株価を急騰させている。そのため、小遣い稼ぎをしたいのであれば株価が落ち着いたところで今拾いたいところだ。まぁ僕はあまりそんな投資には興味ないのだが(笑)
では、何故サイバーエージェントの「ABEMA」が今熱いのか。そこには、いくつかの理由があるが、まずはこれまでテレビ局によって放送されていた“地上波放送よりABEMAの方が圧倒的に便利”だからである。無料で楽しめるインターネットテレビ局「ABEMA」は、移動中もスマホで楽しめる、試合後もハイライトがフルで見られる、全64試合視聴できるアプリがわかりやすい、そしてそれらを既存のTVでも見ることができる。
地上波にするメリットがほぼ見つからない。インターネットテレビと言うのはこのようにテレビ局の地上波放送の限界である“いつでもどこでも”という課題を完全に克服したのだ。
このようにテレビと違って、インターネットを使った映像配信であれば、放送枠に縛られる、といった制約がない。チャンネルを増やしても費用はほとんどかからない。そのため、W杯の放映権を得られるとわかった時点で、全試合を配信するのがベストだということは明らかだ。その点、人気のない試合はCM収入が見込めず、放送できない従来の地上波放送とはまったく立ち位置が異なるのだ。
「ABEMA」はいつでもどこでも自由に見られるが、海外をみてみるとイギリスの公共放送BBCなんかはテレビでもネットでも同じコンテンツが見られる。しかし、日本のテレビ放送にはさまざまな規制があって、それができない。NHKはようやくネットで見られるNHKプラスや民放はTVerをつくったがそれでも放送と通信とは別なものというのが基本なのだ。
僕は誰か余裕のある方が日本のテレビ局1社を買収してこの変な決まりを変えてほしいとずっと思ってるのだ。そもそもタイムテーブルが決まっていて放送枠も決まってる、家でしか見れない放送などデメリットしかないのだ。こんな不便なものは、この時代にあっていない。
また、インターネット放送に流れるもう一つの理由としては、テレビ局は地上波放送では昼間の時間帯の中継であれば、日本戦以外でもそれなりの視聴率が見込め、金額の高いCM枠も設定できるがW杯のような深夜の中継では低い視聴率しか望めず、低いCM収入しか得られない。テレビ局にとってはそれでは高額な放映権料に対して、まったく割に合わない、というわけだ。テレビ局にとっては放映権料が高すぎるのだ。
それで結果的に、「ABEMA」がFIFAに放映権料200億程を支払って、放映権を受け取り、さらにそれを各テレビ局に少しずつ購入してもらい出すことになっているのだ。
まぁ当然の流れではある。普通に考えてテレビ局の地上波放送には限界がある。そろそろそういうよくわからない決まりごとを排除して“いつでもどこでも”という課題を解決しないと視聴者もかなり減っていくだろう。現に若者はもうテレビを見ていない。スマホという革新的なものが生まれた現在、これくらいの便利さは当たり前になってきているのだ。
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