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フレームの中に感じる モノクロ手焼きプリント#11

私はフレームの中に鳥を入れるのが好きだ。
鳥と言っても、野鳥撮影のそれとは違う。
私は景色の中にポツンと写っている鳥が好きなのだ。

レンズで引き寄せもせず50mmでそのままを撮るので、鳥は距離として遠い存在だ。しかし写真として上がったのを見てみると、その鳥はちゃんと写真の中で近しい存在となってくれている。

写真をまとめていたある日、いつものように鳥が入っているものを見ていると「私にとって鳥は生死の象徴なのかもしれない」とふと思った。
空を飛ぶ様は生を謳歌しているようにも感じるが、死に向かって進んでいるようにも感じる。もしくはこの世に生まれる新しい魂を運んでいるようにも思えるし、死んだ誰かの魂を運んでいるのかもしれない。
いや、生死と書いたが、どちらかと言うと死の連想をする方が多かった。

鳥のように生きたい、自由に空を飛んでみたい、という願いはよく聞くが、私はどうしても死を連想してしまうのであまり憧れはしない。
あくまでも遠くの存在としての鳥が好きだ。
フレームの中にポツンと写っている鳥が。



Camera : Leica M2
Lens : Voigtlander NOKTON 50mm F1.5 Aspherical
Film : MARIX 400
Paper : Ilford MGRC

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