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お菓子のスタートアップBAKE/#10 マーケティングトレース

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記念すべき10回目 #マーケティングトレース のお題は「お菓子のスタートアップBAKE」に決定。
(記事めちゃくちゃ長くなってしまいました。。。笑)
選定した理由はとても単純で、以下ツイートがきっかけです。

全マーケターBAKEのトレースをするとマーケティングを学べ、発見多く、直ぐに店舗に足を運びたくなるのではないかと思う。

要するに「一回やっときましょう!」ということですね。きっかけをいただいた黒澤さんに感謝しつつ、チャレンジします。

マーケティングトレースをするまで、BAKEの存在も知らなければどこかで見かけていても素通りしていたと思います。チーズタルトと聞いて、関西発のPABLOを思い浮かぶくらいなので、全くと言っていいほど知りませんでした。BAKEの良さを知る良いきっかけになりそうです。

会社概要:BAKEを知る

会社名:株式会社BAKE
本社 :東京都港区白金台
代表 :門田 浩
設立 :2018年1月1日(創業2013年4月16日)
事業 :菓子の製造・販売、コマースサービスの運営管理、メディア運営
資本金:1億円
店舗数:106店舗(国内55店舗、国外51店舗)※2019年6月末時点
従業員:1,313人※2019年6月末時点

BAKEのMission

お菓子に新しい価値を持たせ、お菓子を進化させる

BAKEはお菓子の可能性を信じ、 お菓子をもっと面白く、美味しくするために、 つくり方、見せ方、届け方、お菓子作りのすべてのプロセスに本気で向き合っています。

これまでのお菓子屋さんがやってこなかったチャレンジをしている、まさに
お菓子のスタートアップですね。

ベイク創業者の長沼氏が実家の「きのとや」で学んだ売れる3原則が成長の秘訣。

①1ブランドにつき1アイテムに絞る。
-オペレーションをシンプルにして、商品力アップに集中するため。
-そのため商品カテゴリは「10人中8人が大好き」なものにする。
-「8割主義」
 →誰もが知っている、誰が食べても嫌いではないもの
   シュークリームやアップルパイが8割の人が好きだと感じている。

展開しているブランドは以下6つ
どのブランドも1アイテムに絞っている。

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②工房一体型店舗
-工房一体型にすることで、五感に訴えかけるおいしさを演出する。
-鉄板に並んだ焼きたての商品を目で見てにおいを嗅ぎ、焼き上がる音を
  聞き
、まだ温かい商品を受け取る

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③.商品のブランディングとブラッシュアップへの投資
-
店舗やパッケージデザインは若手クリエイターや社内デザイナーを起用し
 新しさや感性の鋭さを感じさせ、誰もが思わず立ち止まる様にするのが狙い
-客の立つ位置によって映像や音楽が変化するモニター設置店舗あり
-ABテストで味の改良やニーズ変化の適用を行っている。

創業者の長沼氏が「きのとや」で学んだことを活かし、お菓子の可能性を追求していることがよくわかりますね。

お菓子は流行り廃りが早いと個人的には感じているため、外部環境が大きく影響してくるのではないかと思っています。なので、今回はPEST分析から入りたいと思います。

PEST分析:外部環境を整理

BAKE(お菓子)を取り巻く外部環境を整理してみます。

Politics(政治的要因)

・経済産業省によるスタートアップ支援プログラムの「J-startup」制度
 →海外でも戦える企業創出支援
Economy(経済的要因)
・洋菓子市場規模2.27兆円(2017年度)
 →2018年度は1.7%成長の2.31兆円の予想
・品目別では洋菓子シェア22%とトップ
・素材特化型のスイーツ(チーズ、バター、キャラメルなど)ブランドの増加
 →新ブランドは市場拡大が期待される。
・小規模洋菓子店の倒産急増
Society(社会的要因)
・健康付加価値ブランドの成長
・シャトレーゼの様なSNS成功事例(マーケティング文脈)→UGC発生
 ┗Instagramでの「映え」を狙ったUGCなども
Technology(技術的要因)
ECの発達
アプリが作れる環境
 →PICT CAKEサービスローンチ事例あり
・人に依存しない生産ラインの確保
・ITビジネスの発展→(グロースハックの考え応用)

BAKEはIT技術(SNS含む)を上手く利用し成長してきたと言えそう。

SWOT分析:機会と脅威の整理

BAKEの現状を踏まえて、機会と脅威について整理。

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1ブランド1アイテムに絞っていることで、ブランドや商品改善/ブラッシュアップにリソースを割くことができる一方で、ユーザーからは選択肢が限られているため、飽きられる可能性を秘めている。
ユーザーに飽きられないロングセラーになる様な商品開発がポイントか。

5F,3C分析:業界構造とKSFを把握する

業界内でBAKEがどの様な状況に置かれているかを整理する。

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BAKEを取り巻く洋菓子業界は、競争環境としては厳しい。
洋菓子以外の選択肢である和菓子やスナック菓子、タピオカに代表されるトレンド商品など、ユーザーは沢山選択肢があるため、認知獲得が肝と言えそう。

競合他社を知る

便宜上今回はチーズタルトの競合としてPABLOを挙げる。
PABLOもチーズタルトで有名になったブランドの一つ(僕個人的に)
店舗数では、BAKEの全ブランドと比較してしまうとBAKEの方が国内外共に多い結果となる。

<競合他社情報>
会社名:株式会社ドロキア・オラシイタ
設立日:2012年3月
資本金:1000万
代表 :嵜本将光
事業 :洋菓子製造・販売、カフェ・レストラン等の飲食店経営、店舗運営
本社 :大阪市浪速区

BAKEと同じくらいの店舗規模感で駅ナカなどを中心に展開している。

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代表的な商品はチーズケーキタルト。PABLOが大阪のホワイティ梅田にできた時はTVが取材に来ていたこともあり、行列ができるほと話題になっていた。新しい食感が話題になっていたと思う。

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BAKEとPABLOを店舗数、商品カテゴリ状況、4Pの違いなど比較していく。

店舗数

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チーズタルトだけに絞った場合だとPABLOの方が多い。

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出店エリアでは、BAKEは関東圏中心PABLOは関西圏(大阪が多い)に展開。地方はあまりエリア競合することなく、上手く棲み分けられている印象がある。

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商品はどうか?
チーズタルトに絞ってカテゴライズしてみると、以下の通りに整理できる。

BAKEは1ブランド1アイテムに絞っているが、季節限定商品として、時期に合わせて商品を追加している。一方でPABLOは、バリエーション豊富に取り揃え、季節限定や地域限定商品など、ラインナップが豊富。出張や旅行で行った時でも地域限定(例えば沖縄なら紅芋チーズタルト)で楽しむこともできるし、お土産にも選ばれやすいメリットがある。

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BAKEが追求すべきKSF

気軽に立ち寄れて、手土産や自分用のデザートとして、視覚・味覚両方で楽しめるデザートを提供することを、BAKEは追求していくべき。

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バリューチェーン分析

BAKEが追求すべきKSFとVCがリンクしている。

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STP分析:ターゲットとポジショニングの整理

ST:セグメント、ターゲティング
誰を狙っているのか?と考えたが、「8割主義」にある通り、多くの人が嫌いではないカテゴリーに参入しているため、特定のターゲットを狙っているわけではない?

しかし、よくよく調べてみるとブランドごとに設定されている模様。

「PRESS BUTTER SAND」の場合は、差異化のためにターゲットを30代から40代の男性に設定しました。ブランドコンセプトを「HONEST ENGINEERING」と定め、金型で挟んで焼く製造工程もふまえて、あえて職人的、工業的な雰囲気づくりをしています。パッケージや店舗デザインもこのイメージを元にデザインされています。

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1ブランドごとにターゲットは設定されているが、出店場所(デパート、駅近、路面店)や地域(自由が丘なのか北海道なのか等)によっても違いはあるはずなので、ここでは明確に定義せずポジショニングについて考えてみようと思います。

P:ポジショニング
競合として設定しているPABLOやデパ地下をマッピングすると、以下の様になるだろうか。先に挙げたPABLOは商品単価が高いため、別ポジションを取ることができていそう。

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4P分析:マーケティングミクスで全体像整理

商品展開数、商品単価、販売方法に違いが生じているものの、大きく異なっている点は特にない。

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まとめ

一旦ここまでをまとめます。

・ブランド、デザインへの投資や商品改善・開発に時間とお金を投資する
 ために1ブランド1アイテムで展開。
・商品は各ブランドは8割の人が好むカテゴリに絞る。
・工房一体型店舗で人の5感に訴えかける。
・気軽に立ち寄れて、目で見て美味しいものが手軽に買えるVC構造。
・PABLOや他デパートと比較して、独自のポジショニングが取れている。
・業界内競争環境から認知拡大が今後更なる成長に必要なポイントか。

もし、自分がBAKEのCMOだったら?

もし、自分がBAKEのCMOだったら、どのようなマーケティング戦略を考え実行するか?営業利益を最大化するための具体的な打ち手を考えよ。

今のBAKEの経営状況ですが、第1期は△20億5,835万円で着地。
この状況をひっくり返せる様な施策があれば一番良いですが、投資状況など全く分からないので、出来る範囲で考察したいと思う。

考察する方向性は差別化戦略。商品単価は200円/1個と低単価だし、競合と戦わない集中戦略はユーザーがお菓子/デザートを選択する行動から考えると、戦わないことの方が難しいと思うからだ。

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差別化戦略は、製品イメージ、技術、サービス、チャネルなどの違いを多くの顧客に認めてもらい、特異なポジションを獲得して高単価を実現する戦略である。

正直出来上がっていると思う。。。笑

新たに店舗出店を出す方向性も考えられるが、投資回収には1年位かかるのと、競合PABLOも同じ様に出店してくると考えられるため、なるべく投資がかからない様な方向性で検討する。
※以下が投資回収1年に関する言及記事引用。

「投資は1年以内に回収できていますし、店舗の改修は5〜10年のスパンで考えています。そのために私たちはブランドのコンテンツメーカーであり続けなければいけないと思っています

自分だったら、コアターゲットを誰にするか?

ターゲット:特に明確には設けなくて良いが、想定する顧客層は
      ・複数名で食べるために買う人(友人、家族など自分用)
      ・複数名にお土産として買う人(手土産として)
ポジショニング:ちょっといいお菓子

自分だったらマーケティングミックスの何を工夫するか?

以下2つを工夫する。
Price(価格):2,000〜5,000円位の価格帯の商品を増やす
・BAKEチーズタルトにホールケーキサイズを投入する。
 →大勢の人で食べることを想定。
 ※コストコの巨大ティラミスみたいなイメージ

Promotion(広告):SNSの活用
・BAKEからの投稿メインのため、ユーザー投稿を増やす仕掛けを作る。
 Instagram上で#パブロは10万件に対してBAKEチーズタルトは1900件
 
※他の検索KWでは関連商品が出ないため、上記で比較しています。
→ユーザー投稿を増やすために、「アレンジタルトコンテスト(仮)」を実施
 最も美味しそうなアレンジタルトを作って投稿したユーザーには、BAKE
 ブランドの商品優待割引券をプレゼントするなど、インセンティブ要素を
 取入れて参加意欲を誘う。

洋菓子ブランドでは、認知を上げていくことが一番売上に直結すると考えるため、拡散性の強いSNSを利用しUGCを増やす仕組みを作りユーザー投稿から知名度を上げていく方向性で進めたい。

これまで手軽なサイズだったBAKEチーズタルトに巨大チーズタルト(ホールケーキサイズ)を投入することで、話題性も生まれるし、アレンジタルトでもデコレーションをし始めるユーザーもいると想定される。

今回は以上です!
黒沢さんの言われている通り、BAKEは相当考えられているなと実感しました。一度食べてみたいですね!

Twitterもよろしくお願いします! https://twitter.com/jyunia0110