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『はりきり社長』(1956年・渡辺邦男)

第二弾『はりきり社長』(56年・渡辺邦男)は、シリーズは基本前後編だが、唯一の単独編。社長宅の朝から始まるなどフォーマットは本作で確定。元シャンソン歌手の社長夫人は久慈あさみ。今回は太陽自転車。神田にあった丸石自転車(ホーイのホイ)でロケ。脚本は全作を手掛けた笠原良三。


 社長夫人の趣味はカメラ。若い専務・小林桂樹もカメラ道楽で、フィルムを買いに行くのが会社の下のDPE。「棒焼きでいいよ」のセリフが懐かしい。芝居もあるのに、珍しくロケで撮影。ヒロインは前作に続いて司葉子。森繁久彌は、水を得た魚のようで、軽くて、スケベで、調子良い(笑)


 三木のり平のいい加減な部長。これぞ社長シリーズの味!他の管理職は、坊屋三郎、森川信と異色に感じるが、渡辺邦男監督が新東宝で撮った森繁映画のテイストもあり、その軽さも楽しい。取引先のアメリカのメーカーが、マーナーブラザースってネーミングもいい。


 森繁社長が融資を頼む大株主の社長が藤原釜足。戦前の只野凡児も出世したもんだ。森繁社長「忘れもしない一昨年の・・・」とアメリカのマーナーブラザースとの契約約束を自慢するのだけど、いつも日付を間違えるルーティーン・ギャグがおかしい。


司葉子は、料亭のお嬢さん。小林桂樹との淡い恋が新鮮というか、いいなあ、この時代、という感じ。恋のライバルの藤原釜足ジュニアに平田昭彦。ベストオブ東宝陣(笑)


これもシリーズでのお馴染みとなるミスコンテスト。ミスサイクルガールには、この時期東宝のヴァンプ女優・中田康子。ねっとりしたイントネーション=お色気という感覚の時代。それだけで和製モンローと言われる。良い時代ですなぁ。

マーナーブラザースから来たのは、ジョージ・ルイカー。僕らの世代ではラジオ・オーストラリアでディスクジョッキーをやっていたけど、その昔「ヘンな外人」タレントとして色んな映画に出ていますなぁ。

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