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娯楽映画研究所ダイアリー 2022年5月30日(月)〜6月5日(日)

5月30日(月)『トップガン』(1986年・パラマウント・トニー・スコット)・『美貌に罪あり』(1959年・増村保造・大映)・『警視庁物語 聞き込み』(1960年・東映・飯塚増一)

明日『トップガン マーヴェリック』をIMAXで観るので、今夜、36年ぶりに『トップガン』を観ることに。スーパー35mmで撮影された映画だけど、実にさまざまな画角のバージョンがソフトでリリースされましたなぁ。公開時に70ミリで観て以来、ビデオもLDも未開封。Blu-rayはおろか、DVDも持ってないので、アマプラの配信はありがたい。

今宵の娯楽映画研究所シアターは、アマプラで、36年ぶりのトニー・スコット『トップガン』(1986年・パラマウント・トニー・スコット)をスクリーン投影。初見の時とほぼ同じ印象(笑)しかし俳優たちのその後の活躍を同時代で観てきているので感慨無量でもある。ヴァル・キルマー、メグ・ライアン、それぞれの幾積霜。しかしトム・クルーズの変わらなさ!天晴れである。明日の『トップガン マーヴェリック』がますます楽しみに。

続いては、増村保造『美貌に罪あり』(1959年・大映)を久々にスクリーン投影。山本富士子さん、若尾文子さん、野添ひとみさん。それぞれのキャラクターが、勝新太郎さん、川口浩さん、川崎敬三さんとベストカップルになっていくまでを、微苦笑のなかに描く好篇。

そして、シリーズ第14作『警視庁物語 聞き込み』(1960年・東映・飯塚増一)。捜査一課に「弟を探して欲しい」と五月藤江さんが訪ねてくることから始まる。沼袋で靴屋を営む、その弟は結婚歴もないのに、息子を名乗る男が現れて土地を売ってしまっていた。やがて多摩川で不審死を遂げた老人がその弟だと判明。暗躍する不動産屋たち。山村聰さん、柳谷寛さん、そして大村文武さん。沼袋、新井薬師界隈、西武新宿沿線が舞台。新宿のシーンでは「テアトル新宿」も登場!ああ、映画時層探検!

で、意外や意外前作『血液型の秘密』の今井俊二さんが絡んできて。もう、この今井俊二さんはMCUにおけるロキみたいなもの。で、何度観ても最高なのが、ラストシークエンス。銀座並木通りの喫茶店「スワン」から「桜田商事(笑)」までの一連の展開とロケーション! 昭和34年の銀座が活写されていて、それだけでもうご馳走! やっぱり「警視庁物語」面白いなぁ。

「ウルトラマンA」第11話「超獣は10人の女?」(上原正三脚本)を、スクリーン投影。ベテランホステス風の女子大生サイクリング部の女の子が超獣ユニタングに。セルスターズの「ハチのムサシは死んだのさ」をサイクリング、キャンプとあらゆる局面で歌っている^_^ 内田良平作詞の歌詞が脳内ループ。

5月31日(火)『トップガン マーヴェリック』(2022年・パラマウント・ジョセフ・コシンスキー)・『犯罪河岸』(1947年・仏・アンリ=ジョルジュ・クルーゾー)・『警視庁物語 血液型の秘密』(1960年・東映・飯塚増一)

『トップガン』大ヒットの1986年、ぼくは23歳。すでに映画の原稿を書いていたけど、作品やその背景についてわりと自由に執筆できた。宣伝会社や配給会社から中身についてあれこれなんてことはなかった。独自の視点や解釈をしても… なんてことを想いながらロビーで開場を待つ^_^

『トップガン マーヴェリック』IMAX @TOHOシネマズ日比谷 満席!!
まず、36年の時を経て、完璧な続篇を成立させてしまうのは、かなり凄いこと。しかも「過去を克服するための現在の闘い」は、ぼくにとっては裕次郎映画のセオリー。

エド・ハリスが出てくるだけで「ライトスタッフ」の世界へ。というわけで1980年代、レンタルビデオ世代にはたまらない、あの映画、この映画のエッセンスで「スターウォーズ」「633爆撃隊」「モスキート爆撃隊」まで「みんなまとめてめんどうみよう」な娯楽映画のデパート!!

娯楽映画のあの手この手をこれだけ盛り込んで、きちんと「トップガン」の続篇となっている。いろいろツボを押さえてくれて「キモチのイイ」映画体験。

キモが前作「トップガン」の克服の葛藤とカタルシス。トニー・スコットはもういないのに、トニー・スコット監督がキャメラの横にいる。前作がキリリと冷えたビールの小瓶なら、今回はマイスターが入れた大ジョッキ!!グビっと楽しめた。IMAXキャメラでのスカイアクションはかなりの迫力。なによりジェニファー・コネリーの変わらぬ美しさ!やー、楽しかった!

今宵の娯楽映画研究所シアターは、アンリ=ジョルジュ・クルーゾー『犯罪河岸』(1947年・仏)をアマプラでスクリーン投影。パリの裏町。バーレスクの歌手・ジェニィ・ラムール(シュジー・ドレール)は成金の顔役・ブリニヨン(シャルル・デュラン)に映画出演をちらつかされて誘惑され、彼の自宅へ。

嫉妬深い、ピアニストの夫・モーリス(ベルナール・ブリエ)は、ブリニヨンを殺そうと拳銃を手に、ブリニョン宅へ行くが、すでに彼は殺されていた。その前にジェニィがシャンペンの瓶でブリニヨンを殴って逃げ出していた。

ジェニィから「ブリニヨンを殺した」と告白されたカメラマンの女性・ドラ(シモーヌ・ルナン)は、ジェニイが部屋に残したストールを取りにブリニヨン宅へ。三人の男女が犯行現場へいたことになる。翌日、パリ警視庁の敏腕刑事・アントワン(ルイ・ジューベ)が捜査に乗り出す。フランス映画らしいノワール。ジェニィの犯行の証拠を隠滅したドラ、状況証拠から無実にも関わらず最重要容疑者となってしまったモーリスの苦悩。そして自分が殺したと自覚しているジェニィ。三者のドラマが事件を複雑にしていく。

これは面白い。ほとんどセット撮影だが、大戦後の殺伐としたパリの雰囲気。バーレスクの舞台裏、警察署の刑事たちの生態などが魅力的に描かれて、クリスマス・イブの夜の急展開も含めてなかなかの味わい。

続いてはシリーズ第13作『警視庁物語 血液型の秘密』(1960年・東映・飯塚増一)。中野区野方近くの雑木林で野良犬が見つけた赤ちゃんの遺体。その母親は失踪。父親で不動産ブローカーの優男・吉本(今井俊二)は姿を現さない。捜査一課チームは、野方警察に本部を置いて、小石川小日向→上野→高田馬場→新井薬師でそれぞれ聞き込みをするが…。次作『聞き込み』と前後篇のような作り方で、今井俊二さんは、何度見ても憎々しい。東京風景を眺めつつ、あまりにも切ない物語に胸が痛む。

6月1日(水)『ロッキーの春風』(1942年・FOX・アーヴィング・カミングス)・『警視庁物語 深夜便一三〇列車』(1960年1月27日・東映・飯塚増一)

ハリウッド・ミュージカル史縦断研究、ベティ・グレイブル&ジョン・ペインのFOXミュージカル『ロッキーの春風』(1942年・アーヴィング・カミングス)をVHSで観て以来、久々にスクリーン投影。アマプラでジュネス企画版の字幕版が配信されているのだけど、これはFOXミュージカル史上、最高に面白い一本かもしれない。

なんたってカルメン・ミランダのフィーチャーに尽きる。コロラド空港のお土産物店の売り子で、母がブラジル人、父がアイルランド系のロシータ・マーフィ! 彼女のカタコトの英語のコミュケーションがおかしく、例えていうなら、わが小沢昭一さんの怪しい外国人のような味わい。コンプライアンス上、今では色々あるだろうけど、コメディエンヌとしてのカルメンのおかしさを知るには、この映画に尽きる。

ブロードウェイのスター、ジョン・ペインは女の子にモテモテのプレイボーイ。ステージの相方で婚約中のベティ・グレイブルは、その浮気性に悩まされている。しかもベティは相当の癇癪持ち。ちょっとしたことですぐにブチギレてしまう。そんなこんなでコンビ別れ。ベティのもとには、かつてのダンス・パートナーで、これまた相当のジゴロのシーザー・ロメロが現れて二人はヨリを戻してロッキー山脈のルイズ湖畔のリゾートホテルでショーに。

このショーのバンドがハリー・ジェームズと彼のミュージック・メイカーズ! ハリーの演奏もふんだん。ベティ&シーザーのダンスも見事。

一方のジョン・ペインは、酒場で飲んだくれていたが、マネージャーから、ベティとの共演のビッグステージの契約話が舞い込んで、彼女を説得にロッキー山脈へ行くことに。しこたま酔ったジョン・ペインは、なんと酒場のバーテン、エドワードEホートンを執事に、コロラド空港の土産店のブラジル娘・カルメン・ミランダを秘書として雇って!リゾートホテルへ乗り込む。

シチュエーションコメディとしても楽しく、ナンバーもふんだん。冒頭、ブロードウェイのステージで、ベティ&ジョンのデュエット・スペクタクル”Run, Little Raindrop, Run”、リゾート・ホテルでのハリー・ジェイムズ楽団と歌姫・ヘレン・フォレストが唄う”I Had the Craziest Dream”、カルメン・ミランダがポルトガル語で唄う”Chattanooga Choo Choo”。このカルメンのバックを務めているバンド・ラ・ルラの面々がカルメンの従兄弟と家族という設定で、酔った勢いで、ジョン・ペインが雇ってしまったというおかしさ!

エンディング。全員がラインナップしての”Pan American Jubilee”はこれぞFOXミュージカル! ベティの付き人役のシャーロット・グリーンウッドのハイキックダンス、エドワードEホートンまでがステージで歌って踊る。まさに祝祭空間!

娯楽映画研究所シアター、続いてはシリーズ第12作『警視庁物語 深夜便一三〇列車』(1960年1月27日・東映・飯塚増一)を2年ぶりにスクリーン投影。80分の長編なのでスケールも大きい。

東京汐留貨物駅で引受人不明のトランクに女性の遺体が発見され、捜査一課の長田刑事部長(堀雄二)、林刑事(花沢徳衛)、金子刑事(山本麟一)たちは大阪へ。天王寺駅から出された荷物の差出人と被害者の身元を捜査する。大阪府警の課長に加藤嘉さん、係長に山茶花究さん、新人刑事に今井俊二さん(今回はイイ役!)

という滑り出しで、汐留貨物駅や当時の荷物の配送事情が手際よく、しかも興味深く描かれる。大阪での捜査シーンも、「警視庁物語」らしくロケーションが効果的で、天王寺、心斎橋、梅田、そして通天閣を中心とした下町がリアルに描写される。

被害者とめぼしい家出人の身元が次々と明らかになり、トランクも関東で製造されたものと判明。手がかりは被害者のコンタクトレンズの特徴ぐらい。大阪での捜査は暗礁となり、舞台は東京へ。今回の所轄は愛宕警察署。件のトランクは、隅田川貨物駅に運ばれたことが判明。そこから舞台は下町へ。南千住、三河島界隈のロケーションが楽しい。

さらに船橋ヘルスセンター、江戸川区の0メートル地帯。容疑者と目された男の実家のある愛知県の干拓地の台風被害の生々しい描写が続いて、クライマックスへ。犯人が恋人(小宮光江)の乗った寝台特急「つくし」に熱海から乗車するも、彼女は捜査一課に身柄を拘束されていた。捜査一課は、沼津から東京行きの深夜便130列車に乗った若者三人のうちひとりが犯人ではないかと推理。クルマを大船駅に飛ばして、林刑事たちが乗り込む。

とにかくロケーションと空間移動が素晴らしく、これぞ「警視庁物語」の面白さ!!

6月2日(木)『フロンティア・マーシャル』(1939年未公開・FOX・アラン・ドワン)・『影を斬る』(1963年・池広一夫)・『警視庁物語 慰留品なし』(1960年・東映・村山新治)

娯楽映画研究所シアターは、ランドルフ・スコット&シーザー・ロメロの西部劇『フロンティア・マーシャル』(1939年未公開・FOX・アラン・ドワン)をアマプラでスクリーン投影。

1934年の同名作品『国境守備隊』のリメイク。ワイアット・アープがトゥームストーンの保安官となり、ドク・ホリディ(本作ではハルディ)と盟友となるも、ドクは悪漢の兇弾に倒れてしまう。そしてワイアットは、単身OK牧場での決闘に挑む。

つまり西部に名高い「OK牧場の決闘」の物語。ホリディがハルディなのは、遺族からの訴訟を恐れてのこと。悪役はクラントン・一味ではなく、街を牛耳るボス・ベン・カーター。演じるはジョン・キャラダイン。ワイアット(ランドルフ・スコット)とドク(シーザー・ロメロ)の友情、ドクのかつての許嫁・サラ・アレン(ナンシー・ケリー)との愛。そしてドクに惚れている酒場の歌姫・ジェリー(ビニー・バーンズ)の純情などなど、お馴染みのエッセンスで、キリリと引き締まった71分。

クライマックスは割とあっさりしているが、ドクがベンの一味に撃たれて重傷を負いながら、流れ弾に当たった酒場の主人の幼い息子の手術に挑むシークエンスがメイン。飲んだくれのガンマンとなったドクが再び医者としての矜持を取り戻す姿を感動的に描く。なので、主演はランドルフ・スコットだけど、シーザー・ロメロの主演作のようでもある。

ケリーたちに拉致され無理やり、彼らの酒場のショーに出演させられる、エンタティーナー、エディ・フォイを息子・エディ・フォイ・ジュニアが演じている。

娯楽映画研究所シアターで、市川雷蔵さんの『影を斬る』(1963年・池広一夫)をアマプラのシネマコレクションby KADOKAWAからスクリーン投影。

やー、これは初見だったのだけど面白い。タイトルのイメージからは「剣鬼」ものかと思っていたけど、エノケン映画的な題材で、コメディとしても良くできている。伊達藩の剣術指南役・井伊直人(雷蔵)は、仕事はテキトー、親から受け継いだ財産を、酒と女で使い果たしてのタケノコ生活。それでもモテモテのプレイボーイで、恐妻家の藩主・伊達忠宗(成田純一郎)と夜な夜な、岡場所で遊蕩三昧。

この忠宗の妻・和子(坪内ミキ子)がとてつもない猛女。だから忠宗は「結婚などするな」とアドバイスしていたのだが「わかっちゃいるけどやめられない」直人は、美人の誉れ高い、伊達将監(稲葉義男)の娘・定(嵯峨美智子)と結婚。しかし、剣術に心得のある定に、初夜の晩「私を打ち負かすことができなければ、江戸へ行って修行し直してきなさい」と条件を出される。

で、抱こうとしたら、いきなり巴投げをくらって、渋々道場へ。妻女に負けてなるかと勝負するもあっけなく負けて、江戸へ。とにかく弱い、心根もフラフラ、市川雷蔵さん、こういう役をやらせたら天下一品。で、そんな主人をサポートするのが用人・左内(藤原釜足)。これもエノケン映画のノリでおかしい。

で、江戸では道場などに通わず遊蕩三昧。半年後に、仙台に戻るも、またもや女房に打ち負かされて、江戸へ逆戻り。

といった感じで「だらしのない男」の行状が描かれ、まるでクレージー映画のような感じ。「わかっちゃいるけどやめられない」がテーマの映画で、随所にそのセリフ、フレーズが出てくる。つまり「スーダラ節」ありきの企画。小国英雄さんのオリジナル・シナリオ。

で、二度目の江戸で、大評判の芸者・君竜(嵯峨美智子)と出会って、彼女にぞっこん。にっくき女房そっくりの女に惚れる男の性(笑)君竜は、定と瓜二つだが、性格は真逆だったが…

後半の展開はご覧いただくに限るが、伊達藩のダメダメ侍が一念発起して頑張るという展開はエノケンの『磯川兵助功名噺』(1943年・東宝・斎藤寅次郎)のバリエーションでもある。

大映京都作品だが、ノリはクレージー映画。市川雷蔵さんがとにかくイイ。あっと驚くクライマックスも含めて満足度の高い娯楽映画。

続きましては、シリーズ第11作『警視庁物語 慰留品なし』(1960年・東映・村山新治)をスクリーン投影。東京街映画として、このシリーズはプロジェクターで観ると色々と発見があって面白い。

目黒区上目黒、代官山近くのアパートでBGが絞殺されて発見される。現場には犯人の手がかりとなる慰留品が全くなく、捜査一課チームの苦闘が始まる。今回の捜査本部は、目黒署。電話交換手の被害者が勤めていたのは大手町のオフィスビル。彼女はこのビルの証券会社でマネービル、同ビルの建設会社に務めている男(木村功)とも付き合いがあったらしい。

というわけで30歳のBGの私生活が少しずつ明らかになってくる。代官山界隈→丸の内→渋谷→都内各地の結婚相談所、権田原・明治記念館→中野界隈(犯人と思しき男の勤め先のダンス教習所)→西銀座デパート地下街の喫茶店(なんと私書箱がある)→渋谷・桜ヶ丘で犯人確保。

クライマックス、西銀座デパートの地下街の「待合喫茶」パロマが登場。この店には私書箱があって、顧客が手紙や書類のやりとりをすることができる。1960年の最新の風俗なのだろう。だから娯楽映画はやめられない。

聞き込みシーンで渋谷の猿楽橋界隈が出てくる。山手線の線路脇にたくさんのおでん屋台が並んでいる。そうした描写も、なるほど、なるほどである。

6月3日(金)NHK文化センター青山「クレイジーキャッツの音楽史」第4回ファイナル「コミックソングと高度成長」・ディズニー+「オビ=ワン・ケノービ」第3話

本日公開の記録モノ。映画というよりニュースの特集コーナーの拡大版的な「わかりやすさ」。ヨシローもユリコもコロナ禍も出てくるが「出てくるだけ」。「演出の視点」を探しているうちに120分経ってしまった。観客を選ぶ作品だが、観客が選ばない場合は無観客開催になってしまうアイロニー。

本日、6月3日(金)NHK文化センター青山「クレイジーキャッツの音楽史」第4回ファイナル「コミックソングと高度成長」です。90分の講座でクレイジーソングの変遷を音源をふんだんに解説します。一回のみのご参加も可能です。18時までに電話申し込みできます。

NHK文化センター青山「クレイジーキャッツの音楽史」全4回完走しました。クレイジーの魅力を音楽を切り口に、この模様は夏に、NHKラジオ第二「カルチャーラジオ」で四週に渡りオンエア予定です!! 引き続き、宜しくお願いします!!

ディズニー+「オビ=ワン・ケノービ」第3話を観ました。
俄然、スターウォーズらしくなってきた。ダースベイダーの登場に大興奮! チビ・レイア姫も可愛いし、次回が楽しみに!


6月4日(土)『女子学園 ヤバイ卒業 』(1970年・日活・澤田幸弘)・『関東幹部会』(1971年・日活・澤田幸弘)・『反逆のメロディー』(1970年・日活・澤田幸弘)・『月光仮面』(1981年・ヘラルド・澤田幸弘)

久しぶりに『女子学園 ヤバイ卒業 』(1970年・日活・澤田幸弘)。ソフトな「野良猫ロック+ハレンチ学園」路線。中学3年生には思えない面々(笑)なかでも有崎由見子さんを見ていると、どうしても柳家金語楼さんを思い出して・・・ 「寅さん」好きの澤田監督らしい、岡崎二朗さんのずっこけヤクザがおかしい。夏純子さんのライバル的キャラに後藤ルミさん。やっぱり可愛い。吉田拓郎さんが渋谷の宮下公園で「青春の詩」を歌うシーンのモンタージュはこの映画のキモ。澤田幸弘作品は「斬り込み」のモップス、「反逆のメロディー」の佐藤蛾次郎さんの「唄」が時代を切り取っている。

『関東幹部会』(1971年・日活・澤田幸弘)。渡哲也さんの子分、郷鍈治さん、武藤章生さんたちが酒を飲みながら歌うは、北原ミレイさんの「ざんげの値打ちもない」。阿久悠さんの詞に、アウトローたちが共感。なんとも素晴らしい歌唱シーン。シナリオがよくできていて集団抗争ものとしても佳作。渡哲也さん、原田芳雄さん、青木義朗さん揃い踏み!

『反逆のメロディー』(1970年・日活・澤田幸弘)。日活ニューアクションの傑作。Gジャン、サングラスの原田芳雄さんのヤクザ、ヒッピースタイルの佐藤蛾次郎さん、寡黙な藤竜也さん、狂犬のような地井武男さん。アウトローそれぞれが、実に魅力的!

蛾次郎さんの「もずが枯れ木で」は、石原裕次郎さんがカヴァーしたものを、澤田幸弘監督が気に入って唄わせたもの。このシーンで仔犬を抱いた藤竜也さんと蛾次郎さんがすれ違うショットが最高にイイ。のちに「太陽にほえろ!」でボス・裕次郎さんが「もずが枯れ木で」を歌うエピソードがあるが、これも澤田幸弘監督の演出回。

『月光仮面』(1981年・ヘラルド・澤田幸弘)をほぼ初公開以来に。当時は「あれれ?」だったけど、鈴木瑞穂さん率いるカルト集団「ニュー・ラブ・カントリー」が信者たちを騙し、幹部たちで犯罪者集団レッドマスクを組織して資金を稼ぎ、最後は自分だけ雲隠れしようとする。という展開はオウム真理教の予見ともとれ、改めて川内康範先生の凄さを実感。

しかも澤田監督がホンに手を入れているだけあって、カルト教団を盲信していた元過激派の地井武男さんが、教祖と組織に疑問を持って反旗を翻していくのは『反逆のメロディー』のリフレインであり、澤田イズム。月光仮面よりもカルト教団内部にスポットを当て、かつてのニューアクションの境地に。

ヒーロー映画がデフォになった現代、改めて澤田監督版『月光仮面』を観ると「あれれ?」がほとんどなく、むしろドラマとして、アクション映画として、よく出来ていると関心。川内康範先生的には「レインボーマン」の現代的再生でもありました。

6月5日(日)『斬り込み』(1970年・日活・澤田幸弘)・澤田幸弘監督トークショー・『ハリウッド玉手箱』(1944年・ワーナー・デルマー・ディヴィス)・『大怪獣バラン』(1958年・東宝・本多猪四郎)

本日、ラピュタ阿佐ヶ谷で13時からの『斬り込み』(1970年・日活)上映後、澤田幸弘監督とトークさせて頂きます。渡哲也さんのカッコ良さ! 登場シーンがシビレます! 藤竜也さん、岡崎二朗さん、冲雅也さんたち若者の閉塞感。そして郷鍈治さんの苦悩… 日活ニューアクションにおいても重要な作品です。

ラピュタ阿佐ヶ谷『斬り込み』(1970年)澤田幸弘監督トークショー。大盛況、ありがとうございます。チーフ助監督だった蔵原惟二監督もご来場、後半にご参加頂き、1970年の日活ニューアクションの検証にもなりました。しかし渡哲也さんの眼力!青木義朗さんの悪さったら! やっぱり傑作!

クレイジーも寅さんも、東宝特撮もウルトラも好きで好きで仕事をしておりますが、今日は心底日活アクション映画をテーマにしてきて良かったとしみじみ。澤田幸弘監督とは10年ぶりのトークですが、1年に1回ペースでお話をしてきたのでリラックスしてお話して頂けたようで、本当に良かったです!

ハリウッドのシネ・ミュージカル史縦断研究。『ハリウッド玉手箱』(1944年・ワーナー・デルマー・ディヴィス)をアマプラからスクリーン投影。『ザッツ・エンタテインメント』世代は、こうしたオールスターのキャンティーン映画には弱いのです。お話なんてのは二の次、1944年のワーナー・ブラザースのスターが次から次へと出てきてパフォーマンス。もうそれだけで無条件幸福!

6月5日(日)の娯楽映画研究所シアターは、年に一度は観ている『大怪獣バラン』(1958年・東宝・本多猪四郎)をスクリーン投影。「ウルトラQ」の原点ともいうべき、野村浩三さん、園田あゆみさん、松尾文人さんのトリオが、秘境に生息する古代生物と対峙。一の谷博士のパートは千田是也さん。バランの造型に痺れる。


よろしければ、娯楽映画研究への支援、是非ともよろしくお願いします。これからも娯楽映画の素晴らしさを、皆さんにお伝えしていきたいと思います。