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大映映画の世界

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大映京都撮影所、大映東京撮影所で作られた作品や、スターについての記事をまとめました。
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#1963年

『新・忍びの者』(1963年12月28日・大映京都・森一生)

『新・忍びの者』(1963年12月28日・大映京都・森一生)

 今回のカツライスは森一生監督二本立。まず市川雷蔵のシリーズ第3作『新・忍びの者』(1963年)。左翼のセシル・B・デミル、山本薩夫監督の娯楽映画作家としての手腕が堪能できた。しかし山本薩夫監督は「忍びの者」が巻き起こした忍者ブームで、忍者ごっこをした子供が亡くなったことに責任を感じて自ら降板。そこで大映京都のベテラン、森一生が引き継いでの忍者スペクタクルとなった。脚本は第一作からの高岩肇。

 

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『続・忍びの者』(1963年8月10日・大映京都・山本薩夫)

『続・忍びの者』(1963年8月10日・大映京都・山本薩夫)

 今宵のカツライス「ライス」は、市川雷蔵のシリーズ第二作、村山知義原作、山本薩夫監督『続・忍びの者』(1963年8月10日・大映京都)を娯楽映画研究所シアターのスクリーンで堪能! この映画が封切られたのは、個人的なことで恐縮だが、ぼくが生まれた日の翌日。つまり製作されて58年もの歳月が経っているのだ。

「天正九年九月、織田信長は、大軍を率いて、伊賀を奇襲した。伊賀忍者の組織は壊滅し、信長の天下制

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『悪名一番』(1963年12月28日・大映京都・田中徳三)

『悪名一番』(1963年12月28日・大映京都・田中徳三)

 今回のカツライスは、勝新太郎&田宮二郎のシリーズ第8作にして、初の東京篇。『悪名一番』(1963年12月28日・大映京都・田中徳三)を娯楽映画研究所シアターでプロジェクター投影。前作『悪名波止場』(1963年・9月7日・森一生)で広島・宇品港の鬼瓦組を一網打尽にした悪名コンビ。今回は悪徳金融会社から出資金が回収できずに、年の瀬を迎えられなくなった善良な大阪の人たちのために、朝吉がひと肌脱いで、清

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『悪名波止場』(1963年9月7日・大映京都・森一生)

『悪名波止場』(1963年9月7日・大映京都・森一生)

 今回のカツライス二皿目は、勝新太郎&田宮二郎のシリーズ第7作『悪名波止場』(1963年9月7日・大映京都・森一生)。前作『悪名市場』(森一生)は、四国を舞台にニセ朝吉(芦屋雁之助)とニセ清次(芦屋小雁)が巻き起こす大騒動の喜劇篇だったが、今回は、その帰り道に遭遇したトラブルのお話。これまでは、やんちゃな男たちの「喧嘩」「騒動」が主体で、第二作『続・悪名』(1961年・田中徳三)のラストで“モート

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『悪名市場』(1963年4月8日・大映京都・森一生)

『悪名市場』(1963年4月8日・大映京都・森一生)

 今回の「カツライス」二枚目は、脂の乗り切ったロースカツのような、シリーズ第六作『悪名市場』(1963年4月8日・大映京都・森一生)。朝吉=勝新太郎と、清次=田宮二郎の“悪名コンビ”についにニセモノが登場する。シリーズものが定着して“みなさまご存知”となってくると、本家の評判にあやかろうと“ニセモノ”が登場する。その最初が「水戸黄門漫遊記」だろう。戦前から、水戸黄門映画にはニセモノの黄門様、助さん

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『第三の悪名』(1963年1月3日・大映京都・田中徳三)

『第三の悪名』(1963年1月3日・大映京都・田中徳三)

 今回の「カツライス」は、カツ単品で、勝新太郎&田宮二郎主演、シリーズ第五作『第三の悪名』(1963年1月3日・大映京都・田中徳三)をスクリーン投影。今東光原作から設定だけというか、映画版独自のクロニクルとして、依田義賢がシナリオを執筆。タイトルの「第三の悪名」は、日活からフリーになったばかりの長門裕之のこと。

 キャメラは、第二作『続・悪名』(1961年)以来となる名手・宮川一夫。『続〜』のラ

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『八月生まれの女』(1963年2月19日・大映東京・田中重雄)

『八月生まれの女』(1963年2月19日・大映東京・田中重雄)

 昭和38(1963)年の冬の東京。青年(宇津井健)のシトロエンに、由美(若尾文子)のスポーツカーが激突。気性の激しい「八月生まれの女」の由美は、自称プレイボーイの村瀬に激しい剣幕で捲し立てる。最悪の出会いをする男と女。ハリウッドのスクリューボール・コメディのような快調な滑り出し。田中重雄監督『八月生まれの女』(1963年2月19日・大映東京)は、脂の乗り切った若尾文子さんの魅力がたっぷり味わえる

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『風速七十五米』(1963年7月13日・大映東京・田中重雄) 妖怪・特撮映画祭で上映

『風速七十五米』(1963年7月13日・大映東京・田中重雄) 妖怪・特撮映画祭で上映

この夏、妖怪・特撮映画祭で上映の、田中重雄監督『風速七十五米』(1963年7月13日・大映東京)。東京を襲う未曾有の巨大台風を特撮で描いたスペクタクル・アクション映画。『日蓮と蒙古大襲来』(1958年・渡辺邦男)を手がけ、昭和37(1962)年、大映が鳴り物入りで製作した70ミリ大作『秦・始皇帝』(田中重雄)の万里の長城のミニチュア撮影を手がけた築地米三郎さんが特撮を担当。

クライマックス、東京

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