【生成AIコラム】現在X(旧Twitter)で起きている、「トレパク騒動」について
まいどです。
現在(2024/07/18)X(旧Twitter)で、トレパク騒動が起きています。
事の発端は、とある絵師がAI絵を完全トレースしていた事がバレた、と言う事が発端です。
AI絵をトレースして画像を作成していた、と言う事ですね。
別に何の問題も無さそうですが、このとある絵師さんはAIに関してはかなり過激な否定的意見をポストしていたのです。
そこがまず一つ目の問題で、所謂『ダブルスタンダード(ダブスタ)』だと非難されました。(AI絵を否定しつつ、自分は使っていた、という見解)
もう一つは、この生成AI画像をトレースしていた、と言う事で、生成AI画像に関しての著作権、と言う問題です。
生成AI画像を投稿した人はこの件に関しては何も言及はされていません。
一部では、同一人物の別アカウントではないか、とも憶測されています。
もしも同一人物の別アカウントの場合は、法律的には問題無いですが、AI絵を否定する立場のようなポストをしていた身としてはどうなのか、と言う問題が残ります。
また、全くの別人であった場合は、元画像の著作権を侵害している、と言う事にもなり得ます。
ただ、こちらに関しては「AI絵には著作権が無いから問題無し」と言うポストも見受けられました。
私が今回、この事を記事にしようと思ったのは、このポストが要因です。
その事に関しては後述するとし、その後の反応を見てみましょう。
今回の事は、事実であり、過去「AIイラストは駄目」発言をしていた事も認めています。
しかし、AI絵は真っ当で無い、とも受け取れるポストでもあります。
これに対して、掲示板が作られるまでに至りました。
※一部18Rの画像が見受けられます。18歳未満の方は閲覧を控えてください。
この掲示板では、他の絵師の方のAIイラストのトレパクも暴露されています。
絵柄が似ている、とか、構図が同じよう、だとかのレベルでなく、線画や背景が完全に一致してしまう、というレベルの一致でした。
ただ、これに関しても、『自分でAIを使って生成した画像』なら問題ないのです。
問題は、『AI絵には著作権が全く無い、と思って、他人の生成画像を丸パクリする』という事につきます。
確かに、AIで生成した生成物の著作権に関しては、現在はグレーな部分が多いのも事実ではあります。
実際に米国の事例では、「AI によって生成された、許可される量を超えるコンテンツが含まれている」と言う理由で、著作権登録の申請が却下された事例があるのも事実です。
しかし、一方で日本の文化庁が出した資料では、AIを道具にして使った場合のAI絵は著作物になり得る、と言う見解も明示しています。
極論ですが、プロンプトだけでも、思想又は感情を創作的に表現した物だと判断されれば、生成AIを使っていても、そこで著作物たりえる訳です。
中国では、生成AI画像にも著作権がある、と判例を出された事例もあります。
私が今回のこの記事で言いたかった事は、「トレパク」などと言った事ではありません。
それは当事者と当事者で検証し、それで問題がある場合は、司法に委ねれば良いと思います。
「トレパク」と言うと聞こえが悪いですが、参考にした、等であれば問題無い場合もあります。
私が今回言いたかった事は、総括すると
『生成AIを使って生成した成果物であっても、著作物であるとみなされる可能性が十分あり得る』と言う事です。
だからこそ、「AI絵には著作権が無いから何しても問題無し」という見解は非常に危険だという事です。
米国で著作権が認められなかった、と言う事例は実際の事ではありますが、それは米国だからそう判決された、と考えるべきです。
日本と米国は法律が違います。
米国を真似るべきだ、と言うなら、銃規制を持ち上げれば分かり易いでしょうか。
米国では州にもよりますが、銃の所持は合法の州が多いです。
同じように日本も銃の所持を合法にするべき、と唱えたらどう思われるでしょうか。
或いは、米国では自作した銃の所持は合法だから問題無い、と言って銃を自作して持っていたらどう思うでしょうか。
韓国のように、徴兵制度が無いのは遅れているから日本でも早急に取り入れるべきだと言ったらどうでしょうか。
カナダやウルグアイのように、大麻は合法であるべき、と言ったらいかがでしょうか。
カナダやウルグアイでは合法だから日本で使っても将来は合法になるだろうから問題無しと言って大麻を所持していたらどうでしょうか。
それは違法で絶対に違う、と言う意見が大半ではないですか?
生成AIも同じではないですか?
ここは日本です。
だから、当然現在の日本の司法に従うべきです。
そして、現在の日本の見解としては、
『AI を 道具として利用 して生成したものと言える場合は著作権あり』
『AI が 自律的に生成 したものと言える場合は著作権無し』
なのです。
将来は法律が変わる可能性は確かにあります。
それでも、これが現在の日本の現行法なのです。
将来、生成AIが違法になる可能性があるから、今使っているユーザーが違法の人間、或いは脱法の人間だと断じるのは、「私が将来日本も銃社会になる可能性があるから、今銃を所持していても違法ではない」と主張するのと同じくらい滑稽です。
その辺りをしっかりと頭に入れて、生成AIを活用して行くと良いと思います。
私の意見は以上です。
■追記
結局、最終的には、このアカウントは閉鎖されました。
ところで、その著作権法で言うと、「2024年の12月」、つまり今年の年末ですね。ここでピカソの著作権が切れます。
パブロ・ピカソは知らない人がいないくらいの著名なアーティストです。
彼が亡くなったのは1973年です。その為、彼の没後50年が経つ2025年からは、基本的には著作権は無くなります。訂正:こちらは最低期間であり、台湾やパキスタンなどが50年です。
ピカソはスペインのアーティストなのでEUの没後70年が著作権期間になります。
尚、日本も没後70年まで有効です。
私は、芸大時代に彼の「青の時代」の作品を模写したのですが、著作権がまだ残っている為、現在はその画像をネットにアップロードする事も出来ません。
彼の著作権が切れたら、模写の参考としてアップロードできたらなぁ、と思っています。
あと、彼が残した、実際にピカソが絵を作る動画を見た事がありますか?
とても面白いので、見た事が無い方には見て頂きたいです。
ですが、その動画が何処にあるのかは、私も知りません(汗。
なにせ、芸大時代に講師から見せてもらった動画だったので。
彼の肉声による解説付きなので面白いのです。
ただ、現在それがどこにあるか、私も分からないのですが、著作権が切れたら動画などでアップされるかもしれませんね。
本記事は以上になります。
それでは、また。
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