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「育休バディ制」導入マニュアル~押さえるべき3つのポイント~

育休開始から早6ヵ月。この記事は、育休も後半戦に突入したこの段階で「これはやって良かった!」と感じていることを残しておくものです。これから育休を取る方や既に育休中の方にとって少しでも参考になれば幸いです。本文に入る前に簡単に自己紹介を…

佐藤利博@toshi0310maz
・今年6月下旬に第一子(娘)が誕生
株式会社マツリカのHR部門マネジャー
・育休期間:2023年6月半ば~2024年4月末まで(約10ヵ月間の予定)
・お互いの両親は香川県高松市と神奈川県小田原市在住なので、普段は夫婦ふたりで育児

理解ある会社と頼もしい職場メンバーに恵まれ、皆が快く送り出してくれたおかげで、何の気兼ねも心配もなく育休を満喫しているところです!
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はじめに

この記事の趣旨は「子育てはバディ体制でやるべし」ということです。「バディ」という表現が正しいのかは若干怪しいですし、近くに両親などがいらっしゃる場合は「チーム」と置き換えてもいいかもしれません。バディには対等な相棒という意味を込めています。

これはある意味で当たり前に聞こえるかもしれません。しかし、私が育休前に読んだ記事には、男性側が「手伝う」「支える」というスタンスであるが故のすれ違いや不満に言及するものも多いように感じました。

「手伝う」「支える」などに透けて見える深層には、あくまで「主は奥さんである」というものがあるのだと思います。そうではなく、対等に育児に関わり、お互いが助け合う関係性をつくるために、私たちが意識したことをまとめたものが本記事になります。それでは夫婦がバディとして機能するための3つのポイントを紹介していきます。

①家事育児の多能工化

これが一番大事だと思います。多能工とは「一人で複数の業務や作業を進めること」を指しています。夫婦で育児を行う場合、例えば、授乳と寝かしつけは奥さん、入浴と読み聞かせは旦那さん・・・など作業ごとに役割分担するパターンもあるかと思います。これは、夫婦ともにやれる状態において役割分担している分にはよいのですが、「当該作業をどちらか一方しかできない(or 分からない)からそうしている」という状況だと非効率になってしまいます。

一定数の人数がいるチームの場合は、強みや得意にフォーカスして役割分担するのは理に適っていますが、夫婦2名体制の場合は完全に非効率です。夫婦ともにどの作業もこなすことができる状況を作っておくことが、時間の有効活用に繋がります。

この時に作業レベルまで同等である必要はないと考えています。実際に我が家では、妻の方があらゆる育児レベルは上で、完全に私の上位互換になっております(笑)。もちろん、クオリティ高くやれるに越したことはないのですが、「(一応)やれる」と「うまくやれる」の差は、「(一応)やれる」と「やれない」の差に比べると大した話ではありません。

この話は生産性(≒効率的に育児をすることができる)の観点も大きいのですが、私の感想としては、精神衛生上も大切だなと感じています。仮にワンオペになったとしても「何とかなる」と思えるからです。

逆に自分にできないことや分からないことがあると、「〇〇が起こったらどうしよう」など不安になってしまうのではないでしょうか。そうすると、相手を快く解放してあげることもできなくなるかもしれません。

また多能工化していない旦那さんが「大丈夫だよ!たまにはリラックスしてきてね!」と快く送り出したとしても、奥さんからすると心配で気が休まらない・・・等は容易に想像できます。我が家では多能工でやっているからこそ、育児で協力体制を築けるだけでなく、お互いの自由時間も捻出しやすいと感じています。

ちなみに、こういう状況を作るために私自身が意識したことは以下の2点です。

1.教えてもらおうとしない

これは「教えてもらう」というスタンスが既に受け身だからです。特に第一子の場合は、奥さんも初めての経験で分からないことだらけなはずで、スタートラインは同じです。だからこそ「一緒に学んでいく」というスタンスが大切です。

これは綺麗事でもなんでもなく、今は調べれば参考になる書籍や記事、動画もたくさん出てくる(※記事の最後に参考にしたものをいくつか載せています)ので、自分なりにインプットして、その調べた内容をお互いにシェアすることで、やり方のブラッシュアップに繋がったり、新たな選択肢が生まれたりもします。効果抜群ですので、奥さんに教えてもらうのではなく、まずは自分で前のめりに調べまくることをオススメします。

2.トライ&エラーを繰り返す

育児をしていると上手くいくことばかりではありません。むしろ思うようにいかないことの方が多いぐらいです。そうすると、何となく苦手なものも生まれてきます(私だけかもしれませんが…w)。私で言うと「授乳(ミルク)の後にゲップを出させること」が下手で苦手意識が生まれていました。人によってそれは寝かしつけかもしれませんし、お風呂かもしれません。

そういう状態になってしまうと、「相手の方が上手に〇〇できるから、子どもにとってもその方がよいはず」などと考えて、相手に任せてしまいたくなります。ただ、そうして機会から逃げ続けると、当然のことながら一向にできるようにはなりません。また育児は子どもとの共同作業とも言えるので、自主練があまり意味をなさず実践の中で培うほかありません。上手くいかない時こそ、次の機会にすぐ再トライしてみることを意識してみてください。

この2点が多能工化への道なのですが、改めて書くと仕事と一緒というか、仕事で考えると当たり前のことだと思いますので、それを育児(+家事)でもやってみようということですね!

②行動指針の策定

多能工として対等に育児に関わり始めると、主従の関係性とは違うので、「どちらか一方の方針に従う」ということではなく、それぞれがそれぞれの考えを持つことになります。育児には正解が無いため、バディ間で何かしらの判断軸や共通の価値観がないと、意見が異なる時に感情論だけでぶつかってしまうことにもなりかねません。そうならないためにも、バディの行動指針(≒判断軸、価値観)を作っておくと良いと思います。会社におけるvalueのようなものですね。

イメージを持ってもらうために我が家のものを二つほどご紹介します。

娘ファースト!自分達の思い通りにしようとしない。

新生児〜乳児の子育てでイライラする時は、例えば「寝かしつけているのになかなか寝てくれない」とか「母乳やミルクをあんまりを飲んでくれない」とかそういう場面だと思います。親としても必死でやってる分、疲れも溜まるのだと思いますし、まだ言葉でのコミュニケーションできないため、子どもの気持ちや要求が分からずストレスが増している面もあるはずです。

これらは客観的に見れば、根本的なところは「⚪︎⚪︎してほしいのにしてくれない」という、親の自己都合から生まれる苛立ちや徒労感な気がしています。言葉にできないだけで赤ちゃんにも気分や要望や感情はたくさんあります。むしろ、育児の中心は子どもなので、そこにこそフォーカスを当てないと本末転倒です。これらは冷静になれば当たり前なのですが、追われる日々の中では失念しがちなので言語化しています。

また我が家の場合、「娘の体内リズムを整えるために規則正しく生活しよう」とか「お互いが協力して効率的に家事育児しよう」などの考えがある分、ともすると私たち本位の生活になってしまう危険性もあるため(苦笑)、これは大事な行動指針の一つになっています。

焦らず、気を負わず、履き違えず

多能工化する過程で、自ら情報収集しまくる重要性を記載しました。そうすると、取得する情報により、「一般的には」「平均的には」「通常は」など、あたかも標準や普通というものが存在するかのような錯覚に陥ったり、Xやインスタ中心に他の家族の様子と無意識のうちに比べてしまったりすることがありました。特に我が家の場合は第一子ということで、自分達の中に参照点が無かった分、外部情報に振り回される懸念もありました。

この行動指針はその懸念に対するものになっています。上記の娘ファーストにも繋がりますが、娘には娘のペースがある。それが頭から抜け落ちて、入ってきた情報と比べて変に焦ったり、初の子育てで意気込み理想を追い求め過ぎて疲弊したりしないように、ある意味での「鈍感力」を大切にする。その一方で、それは「何も気にしない」ということではないし、そのせいで娘の変化(良い悪い問わず)にまで鈍感なのは意図するところではないので、その辺りは履き違えないようにしようという文言を最後に付けています。

この行動指針は、冗談半分で「それ履き違えてない?笑」とか「また比べて焦ってるんちゃう?笑」などと普段の会話にも登場しているので、浸透度も活用度も高いのではないかと思っています(笑)

さて、上記を見ていただくと分かるかもしれませんが、これらはバディ間の共通認識を紡ぎ、育児のベクトルを揃える役割もありますが、それだけではありません。それに加えて、セルフコントロールの拠り所の意味合いも大きいと実感しています。仮に娘がグズってイライラしそうになった時も「いかんいかん、娘ファーストだぞ」と自分に言い聞かせて落ち着きを取り戻せるからです。

私は行動指針を言語化してから、安定した気持ちとパフォーマンスで育休を過ごせている実感がありますので、騙されたと思って夫婦で話して言語化にトライしてみてください!これもなんだかんだで仕事と近い気がしています。

③定性情報の記録

子どもの成長の記録として写真や動画などを残していたり、ミルクやオムツ交換、睡眠など育児記録を残したりする人は多いのではないかと思います。我が家でも「みてね」や「ぴよログ」が大活躍しております。その中でも今回のポイントで記載している定性情報というのは育児日記を指しています。

バディ制の運用においては、文量は少なくてもよいので毎日書いていくことをオススメします。我が家では夜書くことが多いのですが、1日の終わりに振り返りをするかのごとく、「今日はこういうことがあったね」「初めて〇〇したね」という会話が生まれます。我々の場合は、今は二人ともが育休取得しており、多くの時間を一緒に過ごしているのであまり情報格差はありませんが、どちらかが仕事復帰をしていたりするなら、情報格差を埋める大切な時間になるのではないでしょうか?

またこの会話は情報共有よりも感情共有や観点共有の意味合いが大きいです。相手が上げてくるトピックやそれをどう感じたかを聞くことで、相手への理解がより一層深まります。相手が育児において何を大切にしているのか、何を喜びと感じるのか、の理解を常にアップデートし続けることは、バディとしての連携強化の上では欠かせないことだと考えます。

もう一つ副次的に面白い点としては、毎日書いていると子どもにとって何らか新しいことや良かったことを作るために動こうとする点です。これはチームビルディングなどで使うGood&Newと同じ原理ですね。

当初は1日を振り返ると、初めてのことや嬉しかったことがどんどん出てくるのですが、毎日となるとそんなには出てこなくなるわけですw。そうなると、「初めて」「良かった」「嬉しい」を自然と探す(目が向く)ようになり、さらにこれが習慣化すると、意図的にそういう機会を作ってみようとなっていく、というからくりです。

ちなみに、ぴよログにも育児日記が残せるようになっていますし、何に書いてもよいと思うのですが、我が家では3年日記のすくすくダイアリーという日記帳に残しています。実際に書いてくれているのは妻なので大変な思いをしているのは妻なのですが(妻に感謝です・・・苦笑)、紙で残しておくとどこかのタイミングで娘に渡すこともできるということでそうしています。

さいごに

長々と記載してきましたが、育休におけるバディ制の良さとその導入に向けたポイントは伝わりましたでしょうか?改めて書いた文章を読み返してみると、①を筆頭にある意味で当たり前のことを偉そうに書いている感もありますし、さも完璧に育児をやっている雰囲気も醸し出しているので、妻が読むとちゃんちゃらおかしいという感想を持つかもしれません(笑)

そんな思いはありつつも、(私が男性なので)最後に敢えて男性の皆さんにフォーカスをして伝えるとするならば、育休は取れるなら取った方がよいし(その良さも含めた最終的な振り返りはまた職場復帰時に記載したいと思っています)、しかも短期では何も分からないだろうし、醍醐味も感じられないだろうから、最低でも3か月以上は取った方がよいと思っています。

その上で、育休取得はあくまで第一歩。本来的には育休中にどのように育児に関わっていくのかが大切だと思います。その意味では先に述べた「育休を取得する/しない」も「育休期間」もあくまで必要条件に過ぎず、十分条件とは言えないでしょうし、もっと言うならば働きながらでも積極的に家事育児に関わることができる人もいるでしょうから、必要条件でもないのかもしれません。

いずれにせよ、ただ育休を取るだけでは意味がないしもったいない。これから育休を取る方も絶賛育休中の方も、この育休バディ制を一つの参考にして、存分に前のめりに育児に関わっていきましょう!

〈オススメ参考図書〉

書籍ではないですが、圧倒的に役立ち、勇気づけられたYouTubeチャンネルです。

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