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ストレングスファインダーを提供するGallupが「優れたマネジャー」をどう捉えているのか?をひも解いてみたら◯◯だと分かった

マネジャーの役割は「チームのエンゲージメントと生産性を上げるために、メンバーが自分の内面を探り、独自の才能を解き放ち、パフォーマンスを改善するようにそれらを行使する手助けをする」ことである、とGallup社ストレングスコーチングガイドに載っています。

これまでGallup認定ストレングスコーチとして、ワークショップやコーチングなど様々な形でマネジメント層の方々をご支援する中で「マネジャーの役割は理解してもらえたとしても、それを実践するのが難しいんだよな・・・」と感じる自分がいました。実際、そのように感じた参加者もいらっしゃったと思います。そこで今回は以下を目的に本noteを書くことにしました。

マネジメント層(特に現場マネジャー)や人事担当者に向けて
ストレングスファインダーの活用に際して
①マネジャーの役割を果たすためのポイントをGallup社のガイドをかみ砕いて紹介すること
②メンバーに対してどう活用するのか?を支える前提を理解してもらうこと

具体的にどう活用するのか?に関しては、一つの参考例として以下のnoteもご覧ください。


優れたマネジャーついて分かったこと

Gallup社が実施してきた数々の調査プロジェクトを通じて分かったことの一つとして、「優れたマネジャーには意外に共通点が少ない」ということがあるそうです。それぞれのマネジャーには、パフォーマンスマネジメントやピープルマネジメントに関してそれぞれのスタイルを持っているということなので、ある意味で納得感はあります。

その中で数少ない共通点が「強みに基づき」「エンゲージメントに重点を置き」「パフォーマンス志向」のアプローチだったそうです。以下に簡単にポイントを記載をしておきます。

強みに基づき

  • 才能が人が成功する可能性を高めると信じている

  • 自分の才能を念頭に置き、才能を発展させるのは自分の責任だと考えている

  • メンバーの才能や強みを理解し活用することで、各メンバーに合った支援を行う

エンゲージメントに重点

  • メンバーに本気で向き合い、各自の役割の中で成長支援する

  • 協調、協力のチーム文化を育てる

  • メンバーの職場ニーズを満たす仕組みを導入する

パフォーマンス志向

  • 明確なパフォーマンス目標と期待値を設定する

  • 適切な結果を測定する

  • 正しい行動や判断ができるように、フィードバックや指示出しを行う

このようにガイドには3つの要素を独立して記載していますが、私の解釈としてはそれぞれが繋がっているのだと思いますし、ポジショントークに聞こえるかもしれませんが、その起点やベースとなるのはやはり「強みに基づく」アプローチなのでしょう(※1)。

※1)私は挑戦を続ける中でどこかのタイミングでは、苦手なことや好きでもないことも含めて克服していくプロセスも必要だと考えていますが、その場面に直面するまでは、大前提として強みフォーカス、強みを活かすことがベースになるのだと思います。

仕事において強みを使う機会が高いとその仕事や職場に対するエンゲージメントは高まると言われていますし、強みはその定義からも「特定の作業における一貫してポジションな結果を出せる能力」と言えますから、パフォーマンスとは切り離せない関係だからです。

では、この強みに基づくマネジメント、言い換えるなら冒頭に記載した「メンバーが自分の内面を探り、独自の才能を解き放ち、パフォーマンスを改善するようにそれらを行使する手助けをする」ために、マネジャーは何を意識するといいのでしょうか?

マネジャーに向けた3つのヒント

①マネジャー自身がTOP5の資質にフォーカスする

ガイドに則って記載しているため、3つのヒントと同列に記載していきますが、私はこれが最も大事でこの後に紹介する2つのベースになっていると考えています。

マネジャーの皆さんに「メンバーの強みを活かしましょう」という話をすると、メンバーのみに意識がいってしまう方が一定数います。つい先日もアクションプランを検討する時間になった時に「Aさんと〇〇する」「Bさんと□□する」と対メンバーのアクションだけに終始して、自分について何も挙がってこない参加者の方がいました。

メンバーを理解しようと対話し、観察することは素晴らしいことなのですが、それだけではうまくいかないことが多いです。それは「自分にも強みがある」という前提が抜け落ち、自己理解が浅いことが原因だったりします。メンバー理解と同時に自己理解も大切だということです。マネジャーである自分は十分に自己理解できている(≒完了している)と考えている人ほど怪しいです。なぜなら人は時間軸、空間軸が変わる中で変化していくからです。

この文脈での自己理解というのは、「TOP5(上位資質)にフォーカスして、それらをマネジャーとしての役割を果たすために効果的に活用するには?」という問いに対する解像度が高い状態を指しています。

例えば、最上志向の資質を持っているなら、高みを目指し、そこにコミットする能力を持っていると言えるので、メンバーを引き上げ、新たな成功の基準を作ることができるかもしれません。

また、回復志向の資質を持っているなら、日々起こる問題や対応すべき課題に対しての感度が高いので、その問題発見・解決重視の視点を持ち込むことでチームマネジメントに活かせるかもしれません。

これらはあくまで資質ベースで書いていますが、資質から才能を紐解き、自分の強みを言語化できていれば、自分ならではの具体的なアプローチをより精緻にイメージできるのではないでしょうか?

②良くない結果に繋がりそうなことを予測して対処する

①を実践していくことにも通じると感じますが、ここで言う「良くない結果に繋がりそうなこと」というのは、あくまで資質ベースの話です。

環境変化など未来の事象を予測することは簡単ではないですが、他人の認識を予測すること、つまり、マネジャーとしての自分の才能がメンバーにどのように認識されていて、それらの認識が自身の有効性をいかに妨げや制限になる可能性があるのかを予測することは重要です。

やや回りくどい表現をしてしまいましたが、資質はベースメントや障壁と呼ばれる側面があります。資質をうまくコントロールできずにネガティブに働いてしまうことや、それを欠点として誤解されてしまうようなことがあるということです。それらを認識した上でメンバーと関わっていくことが大切であるということですね。

例えば、強い最上志向の資質を持つマネジャーは、その基準の高さや妥協しない姿勢から、決して満足しない人だと認識され、そのことでチームを疲弊させてしまうなどマネジメントに影響がでるかもしれません。

また、強い回復志向を持つマネジャーは、問題への関心が強いが故に、ネガティブな側面にばかり目が向く人だと認識され、チームの勢いを損ねてしまうなどの影響がでるかもしれません。

メンバーはじめ周囲の人が自分の考えや行動に対してどう捉えるのかを予測することは、その関係性を向上する手助けになっていきます。

③エンゲージメントを築くために自分の才能と強みを活用する

これは①のベースがあった上で、何に使うことを意識するとよいのかということについて、「エンゲージメントを築くため」と記載があります。

これは、マネジャーというのは「天候をもたらす」ユニークな立場にあるということだと思います。チームの関係性や雰囲気、そしてエンゲージメントに直接的に影響や刺激を与えることができる役割だということです。
この点に関して、自分の才能・強みをどう活用するとよいのか?を意識し続けることが優れたマネジャーへの道に繋がるということですね。

例えば、最上志向を持つマネジャーであれば、個々の強みを敏感に感じ取り、見出すことができるはずなので、これらの観察をチーム内に共有することで、メンバー同士の相互理解と協調活動を促進できるかもしれません。

また、回復志向を持つマネジャーであれば、直面する問題を見極めることで、その解決をメンバーの学習と成長の機会として活かすことができるかもしれません。

マネジャーが自己理解を深め、自分のあり方や仕事の仕方、関わり方をほんの少し変えるだけで、メンバーのエンゲージメントやパフォーマンスが大きく改善することもあります。

締め

優れたマネジャーというものがあるとすれば、それは自分自身を深く理解しているマネジャーなのかもしれません。自己理解が深まれば、自分が既に持っているもの(≒自分の生来の才能)を使って、メンバーの成長とパフォーマンス目標の達成を効果的にサポートすることができるのだと思います。

もちろん、資質は掛け合わせです。途中にも記載しましたが、メンバーのことを知ること自体はとても大切です。Gallupでもチームが成功していくための第一歩は、マネジャーがメンバーひとりひとりの優れた才能を活かすことに時間をかけることだと言っています。

つまりは、メンバーの強みと自分の強みを考慮した上でアプローチを選択する必要があるということです。ぜひメンバー理解と併せてマネジャーであるあなた自身の自己理解も深めていきましょう。

最後に、マネジャーになると「成長は自己責任」とばかりに、そういう支援を会社が用意していない場合もあるかと思いますので、そういう時にはぜひ外部のプロコーチなどの力を借りるのも一つの手だと思いますよ!


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