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コロナ禍をチャンスに! SDGs貢献型クラウドファンディング

2月25日(木) に第2回ブランディング事例共有会を開催しました。3人目の発表者を紹介します。

株式会社ファーストデコ代表取締役扇野睦巳さんです。

扇野さんは、2015年の中央大学大学院でMBAの学習に取り組むことと合わせて、株式会社ファーストデコを同時期の2015年に創業。現在、会社は東京、自宅は大阪、実家は岡山という三拠点生活をしながら、日本中を仕事で旅するトリップワークスタイルを実践中です。

ビジネスモデルのイノベーションを支援するサービスを提供していて、「未来を描き、幸福を永遠に。」の理念を掲げ、中小企業向けの社会課題解決系イノベーションの推進と実践に取り組んでいます。

ブランド・マネージャー認定協会のトレーナーでもあります。
詳細はこちら → https://bit.ly/3vJkp0n

扇野さんより、「SDGs貢献型クラウドファンディング」の実践事例を発表をしていただきました。今回は、その内容を簡単ではありますが、こちらでご紹介します。

経営の方程式が変わる

今回のコロナ禍によって、ビジネスの定義が変わりつつある。これを公式に置き換えると下記のようなものである。

自分らしさ(理念)
×ビジネス(経営)
×サステナビリティ要素(経済・環境・社会)→SDGs経営の導入
=時代から選ばれ続ける会社→事業性評価につながり資金調達が有利に

これらをインターナルブランディングとして実践している。

陰徳陽報から陽徳陽報へ

認知がないと人々の行動変容も社会の変容も起こらない事業を通じてどうやって社会課題を解決するか? これを解決していきたいと考えている。

そもそも、弊社の経営理念は「未来を描き、幸福を永遠(とわ)」にである。

そして、株式会社ファーストデコのSDGsは、「100年先の次世代が活躍できる世界へ」である。このブランドビジョンは2018年に再構築した。。

株式会社ファーストデコはこのSDGsの中でも、下記に特化して対応している。コロナ禍においては、特に17が重要であると考え、取り組んでいる。

4…質の高い教育をみんなに
⇒エシカルワーク;古き良き日本の倫理観や正しい歴史観の上に成り立つ、その人らしい働き方を広める

17…パートナーシップで目標を達成しよう
⇒ 志を同じくする異業種による新結合やアライアンスでイノベーションを促進し、高収益モデルをつくる

事業ドメインの変更

2020年に事業ドメインを変更した。それは、ファーストペンギン支援事業である。

ファーストペンギンとは、群れて行動するペンギンのうち、魚を捕るために、最初に海に飛び込む勇気あるペンギンのこと。そこから転じて、ベンチャー精神あふれる起業家や、必要以上にリスクを恐れずに新しい挑戦をする姿勢のことを表す。

小さなスケールでまず実証/イノベーション成功モデル

当社としては、コンサルティング先に対して、下記のようなステップを踏んで成功に導くことを目指している。コロナ禍前は3年程度の時間をかけてじっくりと取り組んでいたが、現在はスピードを重視して数ヶ月~半年程度のスパンで進めていくようになった。

①外部で小さな別組織を立ち上げ、小さな市場でテストする
②ある程度の規模になった時点で内部に融合してスケールする
③本体を刷新

SDGs×クラウドソーシングへの挑戦

自社の新たなイノベーションツールとして挑戦。
単なるボランティアや寄付活動・慈善活動ではなく、中小企業が永続するために、これから必要な世界共通のツールだと考えている。

・7割経済下におけるこれからの戦い方
自由に移動や経済活動ができない「制限経済」の中では、当面の消費や人でなどが平時の7割程度

下記のように軍隊に例えると、当社は空軍のスキルを高めることで、海軍・陸軍を援護射撃できる体制を構築していきたいと考えている。

空軍 … クラウドファンディング
海軍 … ネット通販 ⇒ withコロナで反乱
陸軍 … 実店舗 ⇒ 実店舗

また、クラウドファンディングは単なる寄付ではなく、複数のやり方がある。

購入型 → 支援者への物品などの提供 ⇒ SDGs貢献型
寄付型 → 支援者への経済的な見返りなし
株式型 → 支援者へ株式を提供
融資型 → 支援者へ元本と利子を提供
投資型 → 支援者へ配当金を提供
ふるさと納税型 → 支援者へ物品と税金を控除

この中でも特に注目すべきなのは、購入型である。これは、商品やサービスを購入する際に、どうせならばエシカルなものなどを購入することで、社会貢献を兼ねた消費活動をおくることを念頭においたものである。
ただ、クラウドファンディングにおいて注意すべき事項がある。インターネット上での物乞いやお涙頂戴は短期的には私怨が集まるが、長期的なブランディングを考えた場合マイナスイメージとなる。そのため、自社の理念やビジョンを意識してクラウドファンディングを検討していくことが大事である。

地方活性化として期待のDtoC

コロナ禍において大事なのは、従来の流れと異なる商販の流れである。特に注目を集めるのは、DtoC(Direct to Consumer)であり、消費者とマーカーがECサイトを通して直接的に繋がりを持つことである。

<従来の商販> メーカー ⇒ 卸 ⇒ 小売 ⇒ 消費者
Withコロナで破壊が進む買い占めがどこかで起こり、消費者に適正価格で商品が届かないという状況が発生している。これは飲食業界でも同じことが起こる可能性が大きく、サプライチェーンの見直しが必要になる事態である。

<DtoCモデル>メーカー ⇒ EC ⇒ 消費者
DtoCモデルでは、地方の産地、地方の中小企業、下請け工場がメーカーとなることが出来る。
ECでは、
①空軍 → クラファン
②海軍 → アマゾン・楽天
③陸軍 → 自社サイト
といった方策を用いることで、商圏を超えた地方活性化が可能になると考えている。

消費者行動別ECサイトの分類

クラウドファンディングが従来のECと異なるのが、創造性と柔軟性。これまで世の中に存在しなかったものを作り出すことができるため、価格設定や納期に関しても柔軟性を持った運用が可能。また、顧客と共に商品を作り上げる過程が体験できるため、ファンづくりやテストマーケティングにも役立つという利便性がある。

<共感・ファンづくり> ⇒ テストマーケティング

世の中にないものを購入できるのが、クラウドファンディングである。
主な企業:CRAFUN.JP、Redyfor、CAMPFIRE,Makuake
特徴:販売予定金額に金額が上乗せされて購入される可能性がある。また、商品完成後に届く予約販売という設定が可能であり、販売量や納期についても柔軟性があるため、中小企業での活用には適した媒体である。

<新品の購入>
主な企業:アマゾン、楽天、BASE
特徴:すぐに商品が届く

<中古品の購入> ⇒ リユースEC
主な企業:メルカリ、ヤフオク
特徴:落札後に商品が届く

クラウドファンディングと通販のネット通販や募金活動との違いは、プロセスが透明化されていることである。下記のようなものがわかりやすいというのが、特徴的であると言えるだろう。

・人気があるのか、ないのか
・誰にどのようにお金が使われたのか
・結果、どのような変容が起きたのか

クラウドファンディングでは、プロダクトアウト(作り手の自己満足)とアウトサイド・インは紙一重ではないかという仮説を検証できる。

企業(inside)からの発信であるプロダクト・アウトと、顧客の要望であるマーケット・インがぶつかるのが、通常のビジネスである。しかし、クラウドファンディングでは、企業(inside)のプロダクト・アウトと社会(OutDide)のアウトサイド・インがぶつかるところに新規ビジネスの商機があるのではないかと考えた。

仮説の検証のために地域や業種を跨いだコラボレーションをクラファンで行ったみたところ、想定以上の成果を上げることが出来た。このことにより、今後、クラファンは地方活性化に大きく役に立つという確信を得た。

ベースとなる姿勢

デジタルの時代だからこそ、手間と対話がより一層重要であり、価値をもつ。普段から信用貯金を積み上げているかが問われるので、SNSや対話を通じて相互の信頼をコツコツと勝ち取っていく姿勢が大事である。それは、従来からある商いの姿勢であり、ポストコロナにおける時代においても、欠かせない企業としての姿勢であると考えている。


扇野さん。いつも半歩先に進んでいる取り組みをご紹介いただいておりますが、今回も、特に中小企業の経営層にとって、示唆深く役立つ内容をご提供いただきました。いつもありがとうございます。
「SDGs貢献型クラウドファンディング」はブランディングとも相性が良く、
というより、ブランディング活動そのものとも言える活動ではないかと思いました。
今回は時間があまりなかったですが、また改めて深堀りした実践事例をご紹介いただけることを楽しみにしています。

※この内容は、第2回ブランディング事例共有会の発表の一部をまとめたものです。ブランディング事例共有会では、チャレンジし、試行錯誤し、奮闘している実践事例の発表より、このプロセスから受け取る気づきやアイデアはもとより、元気と勇気をもらえます。
次回は、4月22日(木) 16時~ に開催ですので、お知り合いの方をお誘い合わせの上、ご参加ください。※参加費無料
■第3回 ブランディング事例共有会 ※参加費無料
https://form.k3r.jp/brand_manager/seminar03
本編終了後には、当日の発表事例を振り返り、発表者を囲み学びを深めるディスカッションとして、オンライン勉強会を1時間ほど予定しています。
こちらも、ぜひ、ご参加ください。お目にかかれれば、うれしいです!



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