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ブランド経営とは何かを考えてみる

改めて、ブランド経営とは何かを考えてみたので、その思考プロセスを記載したいと思う。

そもそも、一般的に言う「経営」とは、収益を最大化するために、人やモノや資金を活用する活動ということになるが、ブランド経営とは、ブランドの提供価値を中心に経営戦略全体を組み立てることである。単なる企業イメージを向上させることではない。

また、マネジメントすべき対象となるのは、製品ブランドや事業ブランドではなく、あくまでも企業ブランドとなる。

企業ブランドの意思決定プロセスとは、次の3ステップである。

Step① : 目的・目標の設定と戦略の決定
Step② : 企業ブランドの構成要素の決定
Step③ : コミュニケーション戦略の実行

※以下に詳細を記載する

Step① : 目的・目標の設定と戦略の決定

(1) 何のために企業ブランドを構築するのか? あるいは、なぜ、強いブランドにするのか? を意思決定する
(2) インターナルブランディングとエクスターナルブランディングのそれぞれの目的を明確にする
(3) (2)の目的を効率的に、効果的に達成するための企業ブランド戦略の設定を決定する
(4) (3)を実現するための経営資源の投下配分を決定する

Step② : 企業ブランドの構成要素の決定

(1) 価値 : どのような価値観に基づいて行動しているか?
(2) 経験 : どのような経験を顧客やステークホルダーに与えているか? 何をしてくれる企業なのか?
(3) ビジョン : どのような企業になりたいのか? 
(4) カルチャー : どのような企業組織文化があるのか?
(5) 知覚 : どのような企業として見られたいか?
(6) 戦略的意図 : 次に何をしようと考え、どのようにそれを実現しようと思っているか?
(7) 信頼 : どのように信頼できる企業であるか? その根拠は何か?
(8) 能力 : どのような能力を持っている企業なのか?
(9) 社会的責任 : どのような社会的責任を果たしているか?
(10) アイデンティティ : どのような企業で、何をしている企業なのか?
(11) 行動 : 実際にどのような行動を起こしているか?

Step③ : コミュニケーション戦略の実行

A. 企業ブランドへの再認の量を増やし、再生率を高めるために刺激の設計をする
(1) ブランド要素を設計または改善を施し、接触頻度を高める
(2) ブランド体験の設計または改善を施し、接触頻度を高める
B. 愛着・情緒・経験を高める
(1) ブランドパーソナリティの設計
(2) ブランドストーリーの設計
(3) 企業ブランドと顧客との関係を社会的なものへと昇華する
C. 価格プレミアムを高める
(1) 価格プレミアムを実現させるための環境の整備
(2) 価格プレミアムに見合った提供価値を実現するメッセージを伝える
D. 顧客エンゲージメント
(1) 話題を喚起できるメッセージの開発
(2) コミュニケーションのキーパーソンを用いる
(3) コンテンツを活用するユーザーに注目される情報を拡散する


また、経営レベルのブランド戦略とは、「どこに、どのようなブランドを、どうやって構築するのか?」ということとなり、具体的には、次の6つを検討・決定する

1. ブランド・テリトリー : どの市場にブランドを構築するのか?
2. ランドスケープ分析 : その市場はどうなっているのか?
3. ブランド戦略アウトライン策定 : どのようなブランド戦略を展開するのか?
4. 投資する経営資源の意思決定 : どのような経営資源を投入するのか?
5. ブランド・アーキテクチャーの決定 : ブランド体系をどのようにするのか?
6. 知財戦略の決定 : 商標を知的財産としてどのように登録し、権利として維持確保かるのか?

※上記は「ブランド戦略論」(田中洋著/有斐閣) より一部引用

ブランド経営の実践によって「ブランドカンパニー」を目指したい。
「ブランドカンパニー」とは、以下の3つを実現している企業のことを指す。

①ブランディングでCSV経営を実現

CSV経営とは、社会貢献を事業の中で考え、事業活動を通じて社会的な課題を解決し、「社会価値」と「企業価値」を両立させていく経営の在り方である。事業に関連した社会問題の解決に取り組めば、社会と共有できる価値創造として、自社の持っているリソースを活かし、新たなノウハウやスキルを得ることにもつながる。このように培ったノウハウやスキルは、競争力の源泉となり、最終的には経済的な利益ももたらすことができる。

※CSVとは、Creating Shared Valueの略。
「共通価値の創造」という意味で、マイケル・ポーター教授が提唱した概念

②ブランド・ビジョンを組織に浸透し続ける

新しいブランド価値の実現へと組織の変革を遂げる際、ブランド・ビジョンで目指す方向性を示すことで、従業者にワクワクする明るい将来を実感してもらうことができる。ブランドを中長期的な観点から組織全体に浸透させると同時に、従業者がブランド・ビジョンに共感し、体現できるよう取り組み、挑戦し、変革を進め続けることができれば、従業者と顧客の双方の満足度が向上し、採用にも良い影響を与えることができる。

※ブランド・ビジョンとは
将来の顧客が受け取る体験・経験を顧客視点で言語化したもの。

③ブランドの耐久性を保つサスティナブル経営

サスティナブル経営を実現するためには、言行一致の誠実な企業体質の確立と、経営層がサステナビリティに対する確固たる信念持つ必要がある。先が読めない未知の時代では、ブランド価値が、企業の「らしさ」といった抽象的な世界観を確立することと、想定外の取捨選択の際に示しておく指針を持つことで、ブランドの耐久性をつけることができる。それがブランド・ロイヤリティに大きく寄与することができる。

以上を要約すると・・・


ブランド経営とは、ブランドの提供価値を中心に経営戦略全体を組み立てることであり、単なる企業イメージを向上させることではない。

また、一般的に言う「経営」とは、収益を最大化するために、経営資源(人やモノや資金)を活用する活動だが、ブランド経営は、企業ブランドの構成要素(価値、ビジョン、知覚、戦略的意図、信頼、社会的責任など)も経営資源として活用することによって収益を最大化するという点が違う。

そのため、これまでの経営という概念ではなく、ブランド経営という新たな概念や視点にたって自社の企業ブランドの構成要素を見直すことで、企業価値低下や伸び悩みの問題に対して、新たな視点で気づきやすくなる。

これを機に、問題を探り、課題となる解決策を考察し、自社ブランドを社会と共有できる価値創造として再定義し、ブランド体系を今一度見直し、ブランドの耐久性をつけることで、単なる「経営」でなく「ブランド経営」へと進化することに挑戦してはいかがたろう。

この進化した経営である「ブランド経営」へと変革させると、これまで価格競争に陥りやすい不安定な経営が、ブランド・ロイヤリティに大きく寄与する経営と変わり、その効果が、顧客や従業者はもとより、ステークホルダー全体にまで波及することで、言葉だけのブランドでなく、ブランドカンパニー(ブランドの耐久性を保つサスティナブルな会社)へと成長が期待できる。


ここからは、今年4月のローンチする「ブランド経営実践会」のPRとなります。

「ブランド経営実践会」では、前述のように、今までの経営をブランド経営に変革させる足掛かりにしていただき、その過程をお互いに研鑽しながらお互いが成長し合える場として「知」の共有から、実践からしか生まれない「知恵の創発」までを体感していただきたいと考えています。

「ブランド経営実践会」ご興味がある経営者・経営層の方は、まずは以下より実践会の参加申し込みの手続きをお願いいたします。
https://www.brand-mgr.org/management_practice_lp/

初回は、お試し参加として無料でご参加でき、お試し参加されてから、継続の判断をいただきます。


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