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コンサルタントのクライアントへのアプローチ方法

昨日は「コンサルタントにとってのクライアントの見極め」をテーマに記載した。中小企業の経営者は、3つのタイプがあり、そのタイプによって、その後の明暗が大きく変わる変わるので、このような視点を持つことが大切だという内容だった。

私も中小企業経営者なので、クライアントの立場になることもある。ちなみに、私はやや「自己成長モデル」寄りの「コンプレナーレベル」ではないかと自己分析している。

さて、今回は、コンサルタントがクライアントである中小企業経営者に対峙する際の具体的なアプローチ方法記載しようと思う。※後半では具体的な「言葉かけ」まで言及する

まずは、中小企業経営者のコンサルタントに対する裏ニーズを知っておくことも大切なポイントだ。決して面と向かって言ってはくれないが、以下のような裏ニーズがある。

・叱ってくれる父親     ※社長は誰からも叱られないので
・ねぎらってくれる母親   ※社長は誰からもねぎらってもらえないので
・尻を叩いてくれるコーチ役 ※社長をマネジメントできる人がいないので

クライアントによって違ってくるし、経営経験によっても違ってくるが、早い段階で各クライアントの裏ニーズを知ることで、ニーズを上手く満たしていくことができる。その結果、コンサルティングも上手く運びやすくなり、成果も出やすくなるはずだ。

次に、経営者の仕事の本質も知っておく必要がある。基本は次の3つ。
1.見たくない現実を見る(現状把握)
2.打ち手をうつ (戦略、戦術)
3.責任を取る (覚悟)

これらをタイミングを図り伝えることで、都度自分に向き合ってもらうこともコンサルティングの現場では必要となる。

20年近く前のことたが、ある経営コンサルタントから、これを教えてもらった時は、ぐうの音もでなくなり、経営者は逃げられないのだと悟った。

なかでも「見たくない現実を見る」という行為は、無意識に避けていることを知った。嫌なことからは、人間だれでも避けたくなるわけだが、経営者は、避けられないことを悟る必要がある。未だに無意識に見たくないことから避けていることをたまに気づくことがある。だから、意識的に気づかせてくれる人が必要なのだ。

さて、具体的なアプローチ方法に入る前に、前提としてラポール(信頼関係)を築いておかないと、コンサルティングは絶対に上手くいかない。ペーシング、ミラーリング、バックトラッキングなどは適宜必要となる。

※詳しくは、以下を参照
【ラポールとは「信頼関係をスムーズに築く」スキルと実践的方法を解説!】
https://life-and-mind.com/rapport-9244


それでは、アプローチ方法の例を以下に列挙していく。

□ゴールセッティング
・過大なゴールを置く人は失敗好きな人
・言うことを聞かない人には「夢」を聴いてあげる(しばらくつきあう)

□ステップの作成
・過去のうまくいったやり方の確認
・社内での分かち合いを奨励
・参謀的にアプローチ

□コンサルティング
・正論ではなく、柔軟さ
・自分で気づいてもらうよう誘導する
・ペーシングと無駄のない質問(クライアントは情報よりも、問題解決の道筋を望んでいる)

□ビジネスコーチングの基本メソッドを知る
・クローズドクエッション/オープンクェッション
・抽象度を上げる/抽象度を下げる


次に、言葉かけの例を以下に列挙する。

〇具体性を求める質問
 ・例えばどんなことですか?
 ・何か例はありますか?
 ・もう少し詳しく話してもらえますか?

〇選択肢を広げる質問
 ・もう少し一緒に探ってみませんか?
 ・いろいろアイデアを出し合ってみませんか?
 ・他にはどのような見方ができますか?
 ・他にもう1つ可能性があるとすれば、それは何ですか?

〇背景を探る質問
 ・こうなった原因は何ですか?
 ・どのような経緯でこうなったのですか?
 ・今までにどんなことをチャレンジしてきたのですか?
 ・このことが起きたのをあなたはどのように理解していますか?

〇核心を突く質問
 ・何が問題なのですか?
 ・最大の障害は何ですか?
 ・何があなたを引き留めているのですか?
 ・何が一番心配なのですか?
 ・今もっとも喜んでいることは何ですか?

〇視点を変える質問
 ・今から〇年後、どうなっていると思いますか?
 ・これはあなたの存在意義とどんな関係があると思いますか?
 ・全体からみると、これはどのくらい重要ですか?

〇可能性を探る質問
 ・もしもお金を気にしないとしたら、どんな打ち手を打ちますか?
 ・考えられる解決策はどのようなものですか?
 ・実行した場合と、実行しなかった場合では、何が変わりますか?
 ・他にどんな選択肢をつくり出せますか?

〇学びを深める質問
 ・今回のことから得たことは何ですか?
 ・どのように自分に説明しますか?
 ・この学びをどうやって自分のものにしますか?

〇失敗を学びに変える質問
 ・この経験を次に活かすとしたら、どう活かしますか?
 ・もう1回やり直すとしたら、今度はどのようにやりますか?
 ・あなただったらどうやったと思いますか?


このようなアプローチや言葉かけを体に染み込むようにするためには、量をこなすしかない。

当初は、ある経営コンサルタントに教えてもらった内容をまとめ、それをプリントし、目の前の壁に貼った。特に電話相談の時には、見ながら対応した。その後、自分なりにアレンジも続けてきた。

ここ7~8年は、自身で直接コンサルティングをしていないので、今はかなり鈍ってると思うが、10数年前のピーク時には、電話でのクライアントの声の様子を察するだけで、無意識に言葉が出てきた時期もあったように思う。

量をこなし無意識に対応できるようになるには、それなりの時間はかかるが、参考になればと思う。


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