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"Deload"とは? 練習量を減らす?

まず、『Deload』の語源から説明しようと思います。Longman (日本語でいう広辞苑みたいな辞書)にDeloadという言葉は存在せず、トレーニング業回で使われている言葉です。

英語で 
De - 否定、下降、強調 
Load - 負荷、荷重 
などをを指し、トレーニングの世界では、Deloadとは負荷を下げることを意味します。

以前こちらのツイートを上げたのですが、思いのほか反響があったのですが、Twitterの性質上140文字しか綴ることができないので、Noteでは、練習を減らしたことによりどのようにしてパフォーマンスがあがったのかを、僕なりの見解で解説していきます。

※National ではなくState(州)大会の出場者数が増加した

Deload は、場合によってはTaperingとも言い換えることができます、陸上や球技競技において試合前においてテーパリングと呼ばれることも多く、ウエイトやパワーリフティングの世界ではディロードと呼ばれることが多いのかなと思います(肌感)

では、具体的にDeloadとTapringとはどういうことか。

この二つの現象は同じであり、目的が違います。

Taperingは、もしかしたら聞き馴染みのある言葉があるかもしれませんが、試合で100%のコンディションでパフォーマンスを発揮するために、あえて練習量を落としていき蓄積された疲労を抜くことで、試合にピーキングをあわすことが目的とされます。

Deloadも、一時的に練習の量・強度・頻度を減らすことをいいます。しかし、DeloadはDeload Weekなどと呼ばれる週、いわゆる練習量や強度を意図的に減らす週や期間を設けて最大筋力の向上や基礎的な体力の向上を図ることが目的とされています。

以前、Tweetしたこちらの記事では、シーズンを通して前年度と比較して練習量(走行距離)を減らすことで試合でのパフォーマンスが向上しPR(自己ベスト)の数が増加したことを紹介している記事になります。Taperingの影響にもよりますが、量を減らしたDeload Weekや期間を設けて、結果的にシーズンの最後までいいパフォーマンスが発揮したというCase Studyです。

なぜ、減らす必要があるのか。

では、なぜ減らすことでパフォーマンスが向上するといったようなことがおこるか。

それは、この理論で説明されます。

Supercomensation』= 超回復理論』

これも、聞いたことのある理論かもしれませんが、これをわかりやすく図で表すと


超回復理論

簡単に説明すると、トレーニングなどで損傷した筋や疲労によって落ちた体力は、適切な期間休むことで、回復し、トレーニング前より筋力が向上し、体力が向上すると言った理論になります。要は、適切な期間休むことで身体の適応が起こり、パフォーマンスの向上が見込まれる(ざっくり)と言った理論になります。

これは、日単位での理論で説明されますが、これを中・長期的な視点で応用を効かせることもできます。これは、フィットネス-疲労理論で説明されます。

今回は、Tweet した高校を例にDeloadを紹介しましたので、超回復理論についてだけを利用して説明します。

超回復理論の注意点

Deloadをするときに注意したいのが、休息の期間を短すぎず長すぎず適切な期間儲けることが必要ということです。

以下の図のように、短すぎると回復が間に合わずにトレーニングしても,適応が起こる前に疲労が蓄積されていき、いわゆるオーバートレーニングと言われる状態に陥ってしまうと言うこと。反対に、休息が長すぎると適応したにも関わらずトレーニングをしない期間が筋力や体力は低下してしまう。これらの注意点を考慮しながら、トレーニングと休息(リカバリー)のバランスを計画しなければなりません。

この記事で紹介した高校の具体的な例を参考にすると

Salt Lake High School
Indoor Season (室内シーズン)
例1) スプリンター
2018年 走行距離 4712m/week 4x200m 1:41:65
2019年 走行距離 1037m/week 4x200m 1:35:38

例2)学内トップのスプリンター
2018年  60H >9秒 / 400m >54秒
2019年 60H 8.47 / 400m 51.70秒 ※走行距離前年比の86%減

突出すべきは、春のOutdoor Season (屋外シーズン)
練習量を落とした、2019年のState Meet (州大会)を終えて自己ベストを13人(前年6人)も更新した。

学内の平均タイム

週間の走行距離(練習量)も減らし、リカバリーの日を設けたことにより、適切な期間休息がとれ、トレーニングによって受けたダメージが回復し、身体の適応が起きてパフォーマンスが向上したといったことが僕の個人的な推察です。もちろんこれ以外にも、フィットネス-疲労理論などの影響もありますが、この超回復理論がはまった典型的な例かなと思います。

この高校のコーチはRest Dayを設けて、ただ休むではでなくMobility WorkなどのActive Restを代わりにさせていたそうです。

もちろん競技の特異性的に練習量を確保しないといけない、競技(中/長距離など)や時期もあります。短期的にオーバートレーニングにならないような練習量を考慮することも必要ですし、長期的な視点で練習量を減らすときは思いきって減らす必要があることもあります(試合前など)。ここでは、ただ練習量を減らせばいいと言っているのではなく、トレーニングを指導するコーチや指導者は、トレーニングだけでなく、リカバリーもワンセットでトレーニングを計画することで、よりパフォーマンスの向上が見込まれるのではないかということを問いたかったのです。

https://toshiwada.com

TWOLAPS TC
和田俊明

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