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0ゲートからの使者「44」

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エピローグ

いつものように6時30分にアラームがとげとげしく鳴り響き、布団からのそりと手が出て音が消された。
10分後に再び鳴り響いたスヌーズでようやく玲衣は動き出す。

いつものように洗面所に行き、洗顔をすませてからキッチンへ行く。
いつものようにコーヒーを淹れ、リビングへ移動する。

テレビをつけ、その前のソファに座ってコーヒーを飲みながら、スマホをチェックする。それが玲衣の朝の日課だった。

しかし、ついついスマホに見入ってしまうのも毎度のことではあった。

「わ、もうこんな時間!」

玲衣が急いで寝室に戻り着替えているときに、リビングのつけっぱなしのテレビからは朝の情報番組が流れていた。


「ワールドニュースです。フランス郊外の洞窟で新たな壁画が発見されました。この洞窟壁画は以前日本でも同様のものが発見されています。南米ペルーでも遺跡から発掘した土器やタペストリーに、アメリカのアリゾナでも、オーストラリアでも、岩肌に同じような図柄が描かれていました。それぞれタッチは違いますが、二人の男女のような人物と、白い大きな動物、それから黒い小さな動物が傍らに描かれています。女性と思われる人物の髪型は上部に輪が二つある特徴がいずれにも見られます。」

コメンテーターが意見を述べた。

「ここまで似ているものが世界のあちこちで見つかるのは謎ですねえ」

「日本で発見されたときに、天照大御神と須佐之男命ではないかと言っている専門家もいましたね」

「神話の世界の神様が古代の地球のあちこちに降り立ったって、都市伝説みたいじゃないですか。一体何のために、って話ですよ」

「信じるか信じないかはあなた次第です、ってやつですな、はっはっは」

小太りの男性コメンテーターの発言にスタジオでは笑いが起きた。

 

「さて、それでは次のニュースです。東京では今日、桜が満開を迎え……」

身支度を終えて出て来た玲衣は、あわててリモコンのスイッチを押してテレビを消すと、玄関へと急いだ。 

 



あとがき

0ゲートからの使者、お読みくださりありがとうございました。

数秘術に出会ったのは今から20数年前。
不思議なシンクロに導かれ、それを仕事にするようになりました。

私なりの数字への感性を詰め込みながら、何かストーリー的なものの中にメッセージを込めたい(ライフパスの11)、と思ってそれがカタチになったのがこの小説です。

数秘でいうと、私の苦手分野は「きちんとカタチにすること」の4でして…
あれやこれや衝動的に飛びつくものの(ソウルナンバーの1)、結局最後までやりきれず、家族からは趣味ちらかしと揶揄されておりました。

小説など書いたこともなかったのですが、数秘への想いを一番カタチにできる媒体では、と思いついて書き出したのです。

誰もやったことのないことに魅力を感じるタイプなので、数秘術がテーマの小説を書く、というのも私の人生のゴール(ディスティニーの1)だと思ったというのもありまして。

目のまえに次々と映像やセリフが流れてきて、キーボードを打つのが追い付かないときもあれば、何も書けなくなり、なんで私こんなことやりだしたのだろう、と内心後悔するようなときもありました。
すぐ自信をなくしがちな主人公の玲衣が、勇気を振り絞って自分に与えられた役割を果たす姿に私自身を重ねてました。

産みの苦しみもまた今振り返ると悪くない、むしろ楽しいものだったかもしれません。

『0ゲートからの使者』は数秘術家としての活動の総仕上げと言っても過言ではないです。

数秘って面白そう、と思っていただくだけでなく、何度か文中でテラスやスーサが語ったように、自分自身をより理解するため、そして他者や世界を理解しようと努めるときのひとつのツールとして使う、という認識がもっと広まってくれるといいなと願っています。

あなたは〇番の人…というカテゴライズを超えたところに、数秘の真髄があると私は思っています。


数秘術家
阿部としみ


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