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第3期ミッキー絵本探求ゼミ 第2回のふりかえり

コールデコット賞を学ぶ

コールデコット賞とは 

コールデコット賞は、アメリカで前年度に出版された絵本の中でもっとも優れたさく子ど向けの絵本の画家に対して毎年授与している賞。1937年にアメリカ図書館協会によって創設され、翌年から授賞が行われている。

(詳しくは第1回ふりかえり参照)

コ-ルデコット賞を選ぶ基準 (米国図書館協会児童図書館サービス協会)

  • 前年に、アメリカ合衆国で出版された英語の本であること。

  • イラストレーションはオリジナル作品であること。

  • イラストレーターはアメリカ合衆国の市民もしくは居住者であること。

  • 使用された芸術的な技法、ストーリーの絵画的な解釈、ストーリーとイラストの様式の適合性、プロット・テーマ・キャラクター・雰囲気や情報などの絵を通じた描写、子どもの読者を想定した表現であることが評価される。

  • 本が子どもの理解力、能力、鑑賞力に敬意を払っていること。

  • 本がそれ自身で完結しており、楽しむために他のメディアに依存していないこと。

テーマや構成、時代背景、表現方法、手法、文章表現、色々な面においてチャレンジがみられ子どもの心を惹きつける魅力ある絵本が選ばれており、賞には金賞と銀賞(オナー賞)がある。

コールデコット賞受賞作品を調べるにあたり、ミッキーゼミで紹介された「やまねこ翻訳クラブ」のHPを検索した。コールデコット賞では1938年から2023年までのオナー賞も含む受賞作品が掲載されている。(2023.6月)
コールデコット賞受賞作品は馴染みのある絵本が多く長年読み継がれてきている作品であることに改めて賞の重みを感じた。


2005年 コールデコット賞受賞 『まんまるおつきさまを おいかけて』 

ケビン・ヘンクス/作・絵 小池昌代/訳 福音館書店 2005年10月発行

2005年のコールデコット賞を受賞したのは『Kitten's First Full Moon』Kevin Henkes ケヴィン・ヘンクス文・絵 Greenwillow Books 2004
日本では 小池昌代訳による『まんまる おつきさまをおいかけて』のタイトルで2005年に福音館書店より出版された。

ー内容紹介ー
こねこがはじめてみたまんまるおつきさまは、大きなミルクのお皿のように思えました。飲みたいな・・・と思ったこねこは、とびついたり走り寄ったりおつきさまを追いかけます。ところがおつきさまは逃げていくばかり・・・。おつきさまを追いかけ野原を抜けるとそこには池が、池の中にはもうひとつのミルクの入ったお皿があるではありませんか!こねこはうれしくなって池に飛び込みました。ところが・・・。

『まんまるおつきさまを おいかけて』の魅力は・・・。

・見開き1ページの右ページにはまんまるおつきさま。左ページにはこねこが描かれこねこの視線は常におつきさまをとらえている。
・こねこがミルクを飲もうと動きだすページはコマ割りで表現されていてアニメーションのようにこねこの動きが見えてきます。
・こねこはミルクを飲みたいので、月をつかまえようとチャレンジしては失敗を繰り返す、この繰り返される、こねこの姿はこどもたちの生活と重なり共感するのではないかと思う。
・白と黒の2色使い。こねこと月の輪郭を太く描くことによって小さな年齢の読者にもはっきり形を認識することができ、26㎝×26㎝と大きめの正方形の版型で遠目もきくので複数人数の読み聞かせにも適していると感じる。
・シンプルな言葉・シンプルな絵、繰り返しの物語から親しみやすく小さな子どもにも楽しめる絵本、赤ちゃん絵本であると感じる。

『まんまるおつさまをおいかけて』がなぜ白黒のモノトーンで描かれたのかについてケビン・ヘンクスは以下のように答えている。
Q: 子どもたちは『Kitten's First Full Moon』をとても気に入ってくれていますが、なぜ色がないのか不思議に思っているようです。この物語をどのように考え、どのようにイラストを描いたのか、そのヒントを教えてください。
A: この物語は、円に関するヤングコンセプトブックを作ろうとしたときの失敗談から始まりました。その原稿の中に、私が気に入っている一行がありました: "猫は月をミルクの入ったボウルだと思った"。このセリフが心の奥底に残っていたんです。このセリフが頭の片隅に残っていて、それをもとに『Kitten's First Full Moon』を書きました。

ずっと頭の中では、モノクロの本として捉えていました。以前から、色を使わない絵本を作りたいと思っていたのですが、今回初めて、それにふさわしい物語が書けました。

文章がシンプルで幼いので、絵もシンプルにしたいと思いました。白い猫、白い月、白いミルクボウルが夜に囲まれているというアイデアが気に入りました。

Kevin Henkes - Official Website(作者公式サイト)

ケビン・ヘンクスは2016年には『Waiting』でコールディコット オナー賞を受賞した。
『Kitten's First Full Moon』とは対照的に淡い色彩で明るく窓辺に置かれたおもちゃの世界を描いている。窓枠を描くことで室内と外の世界がはっきりわかる。
窓辺におかれたおもちゃたちにはそれぞれ好きな物があり、大きなまどから好きな物が見えるのを待っている。外の世界の月・雨・風・雪に季節の移ろいを感じ、時の経過をみることができる。
邦訳『まどべにならんだ五つのおもちゃ』松井るりこ/訳・徳間書店・2016年9月発行 

2016年のコールディコット賞は『プーさんとであった日 世界でいちばんゆうめいなクマのほんとうにあったお話』 ソフィー・ブラッコール/作 山口文生/訳 ・評論社 ・2016年8月発行が受賞している。
世界中で愛されている『くまのプーさん』のモデルとなった小熊のウイニーの物語。話題性に優れていると評価されている。


チームでもちよったコールディコット賞の絵本

各チームごとに持ち寄った絵本の紹介を行う。
古い時代から1冊ずつ絵本の解説を聞き、時代の背景を学んだ。
絵本はその時代の歴史を反映しているのだと気づいた。

チーム5で持ち寄った絵本では

・『ゆきのひ』キーツ/作・絵 木島始/訳 偕成社 1969年12月発行
1963年度コールディコット賞(ゆかみん)
絵本の主人公が黒人であったこと
雪の白さに黒人の男の子、コートの赤色が映えている。
コラージュ法

・『ライオンとねずみ』ジェリー・ピンクニー/作・絵 さくまゆみこ/訳 光村教育図書 2010年5月発行
2010年コールディコット賞(ゆりゆり)
表紙とカバー表紙が違う ← アメリカの絵本はペーパーブックが多くカバー表紙の意識が少ない。邦訳され日本で出版されたことでカバー表紙が新しくデザインされたのでは・・
迫力のある構図、細かい描写
タイポグラフィーの文字の面白さ

・『おとうさんのちず』 ユリ・シュルヴィツ/作・絵 さくまゆみこ/訳
あすなろ書房 2009年5月発行
2009年 コールディコット オナー賞受賞(めぐさん)
戦争時代の中で豊かに暮らしたいと願う人々の暮らしを感じる

・『プーさんとであった日 世界でいちばんゆうめいなクマのほんとうにあったお話』 ソフィー・ブラッコール/作 山口文生/訳 ・評論社 ・2016年8月発行
2016年コールディコット賞(かこさん)
実話である
話題性

・『ちがうねん』 ジョン・クラッセン/作・絵 長谷川義文/訳 クレヨンハウス 2012年11月発行
2013年コールディコット賞受賞 (2014年ケイト・グリーナウェイ賞受賞)邦訳が長谷川義文さんによる関西弁であったことが話題となる。
訳のチャレンジ精神がみられる作品



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