【イギリス生活】子供が生まれたときの手続(出生登録とパスポート)
こんにちは。
お読みいただきありがとうございます。
2022年の夏からイギリスのロンドンに住んでいる弁護士です。
こちらの記事でご紹介した、ロンドン市内の病院で生まれた第二子ですが、今のところ順調に育ってくれています。
今日は、イギリスで子供が生まれたときのイギリスでの出生登録、及び、(日本の)パスポート取得の手続について紹介したいと思います。
前提のお話
今回ご紹介するような行政手続の話は、個々人の事情によって大きく異なり得るかと思います(出産した場所、国籍、永住権の有無等)。
ぼくたちの場合は、夫婦とも日本国籍で、かつ、英国の永住権も持たない状況で、ロンドン市内の病院で子供が生まれたケースです。
イギリスでは、単にこちらで生まれたからと言って、その子は自動的にイギリス国籍を取得しません。両親のいずれかが、その子の出生時にイギリス国籍を有しているか、又は、イギリスの永住権を取得しているときに、通常、イギリス国籍を取得すると説明されています。
なので、ぼくの第二子は、イギリス国籍を自動的に取得しない(≒日本国籍のみを取得し得る)ケースです。
また、もしかしたら、スコットランドや北アイルランドで生まれた場合には手続が異なっているかも知れません。予めご了承ください。
前置きが長くなりましたが、始めます。
パスポート取得までの流れ
生後間もない乳児であっても、原則として、パスポートが無ければ海外に渡航できません。イギリスから日本に本帰国するときも同様です。
そのため、そろそろ帰国が近づいてきているぼくは、早めに第二子にパスポートを取得してもらう必要がありました。
パスポート取得までのざっくりとした流れは以下のとおりです。
これらの3つのフェーズに分けて、詳しく見ていきます。
出生登録の手続
なぜイギリスで出生登録が必要なのか
日本の戸籍法は、出生の届出に際して、所定の書式に産科医等の署名が入った出生証明書を添付することを求めています。日本での出産であれば、出生時に病院から産科医の署名が入った状態で出生証明をもらえますが、イギリスでは、ぼくたちが日本語の書式を渡してお願いしたところで、医師は(おそらく)署名をしてくれません。
そこで、出生証明書に代わる証明書類として、イギリスで出生登録を行い、出生登録証(birth certificate)を取得する必要があります。
名前を決めよう(含ミドルネーム)
出生登録に際しては、言わずもがな生まれた子の名前が決まっていなければなりません。手続の話を抜きにしても、大切なイベントですよね。
イギリスで子供が生まれたときのお楽しみの一つとして、ミドルネームをイギリスの登録簿に登録することができます。説明するまでも無いかもしれませんが、例えば、山田マイケル太郎、みたいな感じです。
このミドルネームは、後述するとおり、イギリスの公的記録に残るものであり、日本の戸籍には反映しないこともできます。
ちなみに、ぼくたちの場合は、ファーストネームの最終決定権が妻にあったため(もちろん、二人で相談して決めましたが)、ミドルネームについてはぼくが決めて良いことになりました。公表しませんが、自画自賛ながら素敵なミドルネームをつけたと自画自賛しています(笑)
レジストリーの予約を取ろう
イングランド及びウェールズでは、子が生まれた場所又は病院の所在地を管轄する登記所にて、出生登録を行います。
出生登録のために登記所を訪れるには、事前の予約が必要です。
ぼくの子どもが生まれたのはUCL病院で、Camden Registry Officeが管轄となっていました。子どもが生まれたと聞いてぼくが最初におこなったのがレジストリーの予約です。スロットが空いてる最速の日を予約しましたが、だいたい1週間後の日が訪問日となりました。
なお、出生証明書の発行は、予約時に申請して料金も払うことになっていました。1枚当たり11ポンドです。この点について、インターネット上の少し古い情報では値段が変わっていたり、申請手続の勝手が違っていたりします。ここに書いてある情報も、少しすれば古くなって異なる扱いとなっている可能性もあります。ご注意ください。
必要書類
こちらは、カムデン登記所の情報ですが、次の書類が必要となります。
なお、出生通知書は、病院からもらえます。
誰が行かなければいけないのか
両親が婚姻関係にある場合は、片方の親のみが登記所に行けば足ります。他方で、婚姻関係にないときは、両親が登記所に行かなければなりません。
いずれにしても、子本人は行かなくても構いません。
妻は退院間もないこともあり、ぼく一人で向かいました。
いざレジストリーへ
カムデン登記所は、キングス・クロス駅から歩いていける距離にあります。
受付を済ませて待合室で待つこと10分。
登記官から面接室のようなところに呼ばれて、出生日や生まれた場所についての質問を受けます。付ける名前についても口頭で尋ねられて、スペルとともに口頭で回答して、登記官がPCに入力していきます。
両親の職業も聞かれます。現在働いていないときは前職を伝える必要があります。ぼくは分かりやすいのですが、妻はいわゆる「会社員」だったので、"Office Worker"と回答したら、それを言うなら弁護士のお前もそうだろうと突っ込まれて、ちょっと困りました。職業は、出生証明にも記載されるので、予め他方の配偶者に確認しておいた方が良いかも知れません。
面談はだいだい15分程度でした。全ての質問事項が終えると、記載事項をプリントアウトした紙が渡されて、間違いが無ければサインをします。
これで登録は完了し、その後、奥にあるプリンターから出生証明書がでてきます。これで1枚11ポンドか、、と思いつつ、出生証明書を受け取って手続はおしまいです。
出生届の届出
なぜ出生届が必要なのか
直接的には、戸籍法49条1項が届け出ろと言っているからなのですが、パスポートの申請との関連でいえば、申請に際して申請者(新生児)の戸籍謄本の添付が必要であるところ、出生届を出さないと、戸籍に登録されないからです。
届出先
出生届の提出先は、子の出生地若しくは届出人(つまり親)の所在地又は本籍地とされており、海外に住む親から海外で生まれた子の場合は、必然的に親の本籍地の戸籍を管轄する役所が届出先となります。
必要書類
もしかしたら、自治体により微妙に異なるかもしれません。ぼくの場合は、次の書類が必要でした。
どうやって提出するか
当然ながら、出生届も出生証明書も原本でなければなりません。イギリスに住んでいるぼくたちには、次の3つの提出ルートが考えられました。
記載の不備により差し戻されるのが怖かったので、当初は②を予定していました。事実上、在英大使館の窓口で記載の不備をチェックしてもらえるからです。もっとも、在英大使館を通じた場合、一つ余分に役所での手続を通すために実際に役所に届くのが少し遅れることが気になっていました。
そこで、思い切って提出先の役所に、事前に提出書類のPDFファイルを送ることで提出内容の確認をお願いできないか聞いてみたら、なんとOKとのこと。柔軟に対応して頂きとても助かりました。
そうなると、イギリスからぼくが直接郵送で提出するのが最短ルートなので、迷わず①を選びました。
書類の記載例
出生届と出生証明書の和訳については、在英大使館のWEBページに載っている記載例が大変参考になります。
ぼくは、在英大使館を通さずに提出しましたが、ここの記載例どおりに書いて、特に修正指示を受けませんでした。
なお、出生証明書に記載されたミドルネームを戸籍に反映させたくないときは、「出生証明書には、子の名が一郎ミドルと記載されているが、戸籍には一郎と届け出る。」と出生届の「その他」の欄に書けばOKです。この記載も在英大使館の記載例にあります。それだけ、ミドルネームをつける人が多いのでしょうね。
戸籍への反映
ぼくのときは、郵送した提出書類が受け付けられてから1週間ちょいで反映されました。
パスポートの申請
ようやくここまでたどり着きました。ぼくの場合は、子供が生まれてから実際に在英大使館にパスポートの申請をするまでに1か月程度を要しました。
以下の記載は、ロンドンの在英大使館の窓口で申請を行うことを想定したものです。
必要書類
いくつかあるのですが、在英大使館のWEBページで詳しく説明されているので、そちらに譲ります。
なお、パスポート申請時に添付する戸籍謄本ですが、原本が必要です。つまり、出生届の内容が戸籍に反映されたあとで、本籍地等の役所から、戸籍謄本の原本を取得する必要があります。これが意外と面倒ですね。
支払は現金のみ
新生児のパスポートの場合は、現在の手数料で35ポンドが必要です。
支払は現金のみで、かつ、旧20ポンド紙幣&50ポンド紙幣が使えませんので注意されてください。
パスポートの受領
窓口では、申請の一週間後に窓口でパスポートを受け取れるとのアナウンスを受けました。上記の代金は、受領時に支払うことになります。
また、パスポートの申請時には、本人(子)を連れていく必要はありませんが、受取時には連れていく必要があります。
まとめ
いかがだったでしょうか。
内容の薄さの割に書きすぎてしまった気がします。役所の手続を過不足なく正確に伝えるのは難しいですね。
また、この種の手続関連の話は、割とひんぱんに変更されますので、この記事を読まれたタイミング如何では、ぜひ最新の情報に当たられてください。ぼくも、無理のない範囲で、気づいたら追記しようと思います。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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