【英国法】株主総会の特別決議事項をまとめてみました ーCompanies Act 2006ー
こんにちは。
お読みいただきありがとうございます。
今回は、英国のCompanies Act 2006(日本の会社法にあたります。以下「CA 2006」)が定めている特別決議事項についてまとめてみたいと思います。
なお、法律事務所のニューズレターとは異なり、分かりやすさを重視して、正確性を犠牲にしているところがありますので、ご了承ください。
前提知識:英国の会社法は日本と結構似ている
英国はたコモン・ローを採用する国の代表格であり、シビル・ローを採用していると言われる日本とは、法制度の骨組みが異なっています。
もっとも、会社法に関しては、日本とかなり似ています。弁護士や法務部員の方であれば、CA 2006の目次をザっと見れば、内容が似ていることを実感してもらえると思います。
特別決議(Special Resolution)
CA 2006は、日本の会社法と同様、所有と経営の分離を前提として、株式会社(Limited Company)(*1)にとって重要な事項について、株主(Members)による決議を要求し、その中でも特に重要なものについて特別決議によることを求めています。
決議要件
次のように理解して頂ければOKです。
総会開催の場合、委任状による代理投票も議決権の分母に含まれます。また、書面決議の場合、総議決権となることに注意が必要です。
なお、総会を開催した場合に、挙手による決議もあり得ますが、ここではその要件は割愛しています。
登録の義務
特別決議が行われた場合、15日以内に、Companies House(日本でいう法務局)に登録を行わなければなりません。
登録はCompanies HouseのWEBサイトから出来ますので、そこまで手間はかかりません。とはいえ、タイムリミットがある話ですので、総務系に配属された駐在員の方としては、気を使われる事務なのかなと思います。
「主な」特別決議事項
先に「主な」の意味を釈明すると、次のリストは、特別機決議が必要な事項を網羅していません。タイトル詐欺ですみません。
というのも、実はこのリスト、ぼくが英国弁護士試験の勉強をしている際に、株式会社の特別決議事項を整理したときのまとめノートの流用です。なので、試験に出ないようなマイナーな事項(*2)は省いていました。実際は、もう少し特別決議事項があるのですが、ご容赦ください。
*1 該当する種類株主による特別決議
*2 特別決議に括ってしまうのは、ちょっと特殊な決議ですが、便宜上リストアップしています。
*3 合併する各会社の各種類株式の75%以上
*4 会社分割に関与する各会社の各種類株式の75%以上
特別決議事項ではなくても、登録が必要な場合がある
ややこしいのですが、特別決議事項は、必ずCompanies Houseへの登録が必要ですが、特別決議事項ではなくても、登録が必要となる場合もあります。
というのも、CA 2006のs. 29は次のように定めています(太字はぼく)。
そして、s. 30は次のように定めています(太字はぼく)。
つまり、特別決議事項でなくとも、CA 2006を含む法律が登録を要求している場合があるということです。
ここまで来ると細かすぎて、ぼくも試験勉強時にまとめていなかったのですが、一例として、s. 551に基づき、取締役に株式発行の権限を与える場合などがあります。
おわりに
久しぶりに、CA 2006の規定を細かく読み込みました。日本の会社法もそうですが、条文数が多いので疲れますね。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
このエントリーがどなたかの参考になれば、うれしいです。
【注釈】
*1 正式には、Limited Company by Shareです。有限会社と訳されることも多いですが、ここでは株式会社としています。
*2 例えば、特定の上場会社の総会開催の通知を21日前から14日前に短縮することなど。
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