「UPB」とはなにか

近刊検索デルタに新しいページを作りました。それと連動する形で別のコーナーも設けました。その二件についてのご報告です。

ひとつめ、新ページで扱う「UPB」とは

 近刊検索デルタ内に、発売まで一週間と迫ったにも関わらず、直近一ヶ月以内のPVがない本=UPB(UnPageviewed Books)を集めたページを作りました。UPBは造語です。英語としておかしかったとしても見逃してください。

偶然を超える本との出会いがここにある!
https://honno.info/kkan/upb.html

 怒られたりなんだりしたらやめるかも知れませんが、オンライン書店でよくある「この本を読んだヒトは~」といったリコメンドや、ひと昔前に書店の陳列でよく聞いた「文脈棚」のような諸々の脈絡を一切無視した「不整脈棚」とでもいう、まさに偶然の出会いを作るための仕組みとして考えてみました。

 いちおう、これでもちゃんとした意図はあって、一ヶ月の間PVがついていないという条件とは別に「内容紹介などを沢山登録している本」から順に並べるようにしています。出版社は出した本をとにかく知って欲しいと思ってJPROに内容情報など登録しているはずです。それが生かされる機会をなんとかして作りたいと考えています。

 「リアル書店での本との出会いはオンライン書店とは比べ物にならないぐらい豊かなものである」といった趣旨の記事がバズっているようです。素晴らしいです。確かに、書店で棚を見渡したときの情報量は膨大です。絶対に読まなそうな本とも出会える、これも確かに。これはと思った本を自力で見つけた時のあの感じもたまりません。わかります。

 ですが、なかなか厳しい話ではあるんですが、そこ=書店の棚に並んでいない、もしくは並べたくても並べてもらえない本、そういう本も、多分、皆さんが考えている以上に沢山あります。年間7万とか8万と言われる点数の本は、全部が全部、書店の棚にかっちり並んでいるわけではありません。多くの出版社は書店に本を並べてもらうことに四苦八苦しています。書店に並んだ本は選ばれた本、そういうところに「書店での豊かな出会い」の下地があるのかも知れませんが、並んでいない本は見つけてもらえません。出会えません。

 むしろ、並んでいない本のほうが多いです。そして、リアル書店で並ばないような本はネットで見つけてもらうことも難しい。ネット上にも情報が乏しいし、ほとばしる熱量とともに拡散されることも滅多にない。なので、読者は見つけられない。知らなければ探さない。ネット書店は「知っている本を買う」のには便利ですが、「知らない本とは(なかなか)出会えない」のは、皆さんご存じの通りです。

 ただ、そうした「書店に並ばない」「ネットで検索もされない」本に価値がないというわけではないと思うのです。あなたが出会っていない面白い本は日々生み出されてそのまま忘れられてしまっているかも知れない。

 ということで、UPB(UnPageviewed Books)を集めたページを作るに至りました。もちろん、PVがついていないと言っても、あくまで近刊検索デルタの中の話なので、世間一般的には話題になっている本も含まれています。なので、そういうところから「話題になってないみたいだからやめてよ」と言われるかも知れないので、その時は引っ込めます。「見られてない」はネガティブな話題なので出し方魅せ方には工夫や配慮が必要なので。

 とはいえ、世の中的なベストセラーであっても「知らない」「読まない」という方は本当に多いです。本は全然知られていない。日々痛感しています。だから、どんな機会であっても(例えこんな機会であっても)、読者との接点を増やすことはマイナスにはならないはずだと信じています。

ふたつめ、「UPB」をなくすには

 「全然見られてませんね~~」だけでは意味がないです。そもそも見られてない本があるということは、出版社が企画がどうこうではなく、近刊検索デルタのアクセスやらなんやらがショボいということのほうが理由として大きいです。

 なので、近刊検索デルタの個別書誌情報ページに「本日のピックアップ」を設置しました。1週後から2週後の間に発売を予定している書籍の中から、PVが少なく、かつ、内容紹介等の文字数が多いものをピックアップして表示します。放っておくとUPBになってしまう本を事前になんとかしようということです。つまり、この「本日のピックアップ」経由でのPVが増えることで、UPB(発売一週間以内なのに閲覧されていない書籍)が減ることを狙っています。理想はUPBが一点もない状態です。「本日のUPBはありません」という表示が出せると最高じゃないですか。なかなか難しいところですが、目標としてめざしたいと思います。

 蛇足ですが、「売れてます!」が最強のコピーだというのは大前提として、「売れてません!!」「売れてねえんだよ!!」も、出し方見せ方によっては非常にキャッチーだと考えています。書店での「売れると思ったのに……」フェアとか図書館の「貸し出しのない蔵書」などといった過去の例もありました。話題を呼ぶだけでなく、その場で実際に手に取る読者も多かったのではないかと思います。

 悲壮感や怨みつらみなどが漂ってくると厳しいというか引いてしまうというのはあります。なので、カジュアルに「売れてねっす」を演出したい。今回の場合は売れてないのではなくごくごく限定された小さな輪の中で見られていないに過ぎないわけで、そういう意味ではライトな感じで行けそうな気もしています。どうでしょうか。

 ということで、近刊検索デルタの「UPB」及び「本日のピックアップ」とも、よろしくお願いいたします。

https://honno.info/kkan/upb.html

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