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グローバルで活躍する純ドメ出身ビジネスパーソンの共通点を考えてみる

約1年前から、日本で生まれ育ちながらも(帰国子女ではなく)、グローバルな仕事環境で大活躍するグローバルリーダーの取材を開始しました。

取材後、プロライター 黒田より子さんにストーリー性のある素晴らしい記事にしてもらい、彼らのキャリアやマインドを弊社Webサイトにて公開しています。23年7月現在、14名のグローバルリーダーのストーリーを発信しました。

始めたキッカケは、僕自身の経験から。32歳の時にシンガポールへMBA留学して、英語で外国籍の人たちと初めてコミュニケーションをとりました。それ以来、海外ビジネスに10年近く携わっています。

グローバルビジネスに携わった当初は、本当に悪戦苦闘する毎日で(いまだに苦戦続きですが…)、まわりを見渡す余裕もなく、帰国子女で活躍している人たちは自分事化しづらく、ロールモデルが少なかったように記憶しています。

しかし、実際にシンガポールとロンドンで働く中で、日本生まれ・日本育ちでもグローバルな仕事環境で強いリーダーシップを発揮している多くのグローバルリーダーたちと出会うことができました。

そこで、彼らのキャリアとマインドを発信したい、そうすることで同じような境遇の人たちをインスパイアできるのでは、と思ったのがキッカケです。

海外駐在員、起業家、現地採用、属性問わず13本の記事を公開済みですが、インタビューを通して海外で活躍する日本人の共通点が浮かび上がってきました。純ドメ出身グローバルリーダーは、大なり小なりこれらの特性を兼ね備えているように感じます。

特性① 強い想いを持っている

国籍、文化、考え方や価値観の異なる外国人と働く、コラボレーションする、マネジメントするには自分の強い想いが必要です。なぜなら、異文化コミュニケーションにおいて「(あなたの想いを)察してもらう」ことは期待できないからです。

自分は何をしたいのか、成し遂げたいことは何か、そしてそれを伝えていかなければ、誰からも理解されませんし、ましてや協力を得ることはできません。

僕の経験上、ひとたび社会に出ると、日頃の業務に忙殺され、自分が本当にやりたいことを考える余裕も、それを実行する時間もなくなるもの。

でも、自分の想いを事業化させている起業家は勿論のこと、日本企業で働くグローバルリーダーたちも、自身の想いを大切に(内省を繰り返しながら)、その実現に向けてアクションを起こし続けていることがインタビューを通して伝わってきました。

三井化学でグローバル人材部の部長を務める小野真吾さんのストーリーなどは、伝統的企業に属しながらも自身の想いを持って、変革を推進する大変刺激になる事例だと思います。

特性② 意思決定できる

海外では予測不能なことや想定外の事態がよく起こります。前例や答えがない中で意思決定する、それがグローバルビジネスなのです。

元キヤノン東南アジア/南アジア地域統括会社 社長の小西謙作さんの "「この人は決められる人である」「実行力のある人である」と思ってもらえるよう心がけること” という助言や、PMI(企業買収後の統合プロセス)のプロであり、元Jリーグ特任理事の外山晋吾さんの ”交渉や打ち合わせで、課題を持ち帰ったり、決断を曖昧にしていては本物の信頼関係は築けない" という発言を聞いても分かる通り、海外では意思決定者としての立ち振る舞いが強く求められます。

もしあなたが日本企業に属する海外駐在員であるのであれば、上司や日本本社の指示・意向は無視できません。しかしながら、海外ではスピーディーな判断やリスクをとった決断を迫られるシチュエーションが多かれ少なかれあるでしょう。

(日頃から上司や日本本社と良い関係性を築いておくことは大前提の上)そういう状況下で決める力、意思決定する力、決断する力が必要なのだと思います。

特性③ レジリエンスが高い

不確実性の高い異文化環境下で意思決定、何かを実行すると当然、失敗する確率も低くはありません。しかしながら、そこでいちいち、へこたれていたら1ミリも前進することができません。

シンガポールに移住した後、外資系企業にて1年2カ月の間、売上がゼロというドン底をご経験された Microsoftシンガポールで本部長を務める岡田兵吾さんのエピソードが、レジリエンスの高さを物語っています。

退路を断ち海外移住し、終身雇用などない外資系企業で1年以上、売上を上げることができない…少し想像しただけでもそのストレスは計り知れません。

しかし、そこでへこたれず、逆に開き直りチャンピオン営業のように立ち振る舞ったとのこと。そしてドン底から駆け上がり、今の大活躍に繋がっています。

何度でも立ち上がる、失敗を恐れないことが重要なのだと思います。

特性④ マイノリティーに屈しない

当然ながら、ひとたび海外に出れば我々日本人は外国人です。
日本で当たり前に受けていたサービスや扱いを受けることができませんし、助けてくれる仲間、制度も多くはありません。

キラキラに見えがちな海外生活ですが、実際のところはメンタルとの戦いなのかもしれません。

そして、グローバルリーダーたちには、その環境に耐えうるだけの強い心が備わっていると思います。
いや、むしろ彼らはマイノリティーな環境を受け入れ(不平不満を言うのではなく)、その状況を楽しんでいるようにすら感じます。

海外展開のために創業社長自らが海外移住したブイキューブ代表取締役会長の間下直晃さんが、移住先のシンガポールではなるべく日本人とつるまずに、グローバルなネットワークを構築していったエピソードなど、大変参考になると思います。

特性⑤ 学習意欲が高い

異文化に対する興味・関心・好奇心がないと、異文化に溶け込むことは難しく、そこで信頼関係も築けないと思います。

また、自分の知らないことや専門領域以外のことを学ばなければ、不確実性の高い異文化環境下での意思決定の精度も高まりません。

“時に睡眠時間を削っても依頼を受け入れるのは「断らない先に何かが必ずある」ことを知っているから” と言う、国家公務員(JBIC)でありながら、様々な活動をされている英国王立国際問題研究所(チャタムハウス)に出向中の玉木直季さんのストーリーが印象に残ります。

やっぱり、何事にも興味・関心・好奇心を持つことが最も重要な気がします。

最後に

上記の特性は、グローバルリーダーへの取材を通してだけではなく、日系大手企業の海外赴任者研修や、海外展開するスタートアップの経営者支援という僕の事業を通してでも強く感じている、海外で活躍するために欠かせない要素だと思います。

では、どうすればこれらの特性を磨けるのか。

いきなり大それたことをやる必要はなく、自分と対話する時間をつくり自分のやりたいことを明確化させたり、業務の中で少しリーダーシップを発揮してみたり、少しリスクをとってみたり。
失敗や挫折に直面してもいつもより少しだけ早く頭の切り換えをしてみたり、自分とは価値観の異なる人と話をしてみたり、自分の知らないことを本やセミナー等で勉強してみたり…と、どんな環境にいる人でも、できることはあるような気がします。

そして、そういった小さな積み重ねが、グローバルリーダーとしての特性を伸ばすことになり、グローバルな仕事環境で活躍することに繋がるのではないかと思います。

グローバルリーダーの記事一覧

岡部恭英(UEFAチャンピオンズリーグで働く初のアジア人)
岡田兵吾(Microsoft Singapore アジア太平洋地区本部長)
外山晋吾(国境を超えるM&A後の統合プロセス(PMI)のプロ)
萱場玄(シンガポールの会計事務所CPAコンシェルジュ代表)
内藤兼二(「リーラコーエン」グループ代表)
小西謙作(元キヤノン東南アジア/南アジア地域統括会社 社長)
玉木直季(英国王立国際問題研究所(Chatham house)研究員)
小野真吾(三井化学株式会社 グローバル人材部 部長)
廣綱晶子(ビジネスパラダイム代表・創立者)
間下直晃(株式会社ブイキューブ 代表取締役会長 グループ CEO)
永井啓太(ビームサントリー エマージングアジア Finace&戦略統括)
河崎一生(Japan Private Clinic院長、CareReach創業者&CEO)
上澤貴生(DMM英会話創業者、元CEO)
南章行(株式会社ココナラ創業者、取締役会長)前編
南章行(株式会社ココナラ創業者、取締役会長)後編


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