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写真という名のテクスト(写真作品制作記録簿)

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作家 a.k.a. 無職。写真を撮っていますが、クライアントワークも、コミッションワークもしておりません。写真作家とでもいうのでしょうか、プリントやNFTで作品販売をしています。…
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#EMACIATED_ETERNITY

Subterranean† valley 2

Subterranean† valley 2

Subterranean †valley 2, 2017
154.5×95.4 cm / 60.8 × 37.6 in
Archival Giclee Print

何万年、何十万年という長い時間をかけてつくられた渓谷の景観。その経過を数百枚の写真を使って辿ってみました。
横たわる動物、草木、石… 自然のマテリアルを撮影し、土の上に息絶えた動物を、その上に雨が降り土砂が被さり草木が生え、様々な動植

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†soil and sheep

†soil and sheep

†soil and sheep, 2015
80.3×26.5 cm / 31.6× 10.4 in
Archival Giclee Print

霧の中、ぼんやりとした陽光が描いた頭の黒い羊の風景を伝統的な写真の作法に則り制作をしました。ですが重要な一点、つまりアスペクト比について「伝統的な写真の作法」に異議を呈示しております。写真のアスペクト比は工業製品の規格(もちろん規格の美、という美しさも

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†deer

†deer

†deer, 2019
30× 50 cm / 11.8 × 19.7 in
Archival Giclee Print

この覚満淵の風景を見たときにふと思い立って鹿をあしらってみた。吹雪いた湿地帯の墨絵のような光景、不鮮明な視界はおおいに思索の助けとなった。
それは大抵の場合、人間の視覚よりも多くのディテールが写っているという現代の撮影機材の秀逸さに引きずられるようになった解像力による“驚異の

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†rhinoceros

†rhinoceros

†rhinoceros, 2014
19× 33.3 cm / 7.4 × 13.1 in
Archival Giclee Print

ありえないことではあるけれど、日本のありふれた風景に犀がいる風景が頭の中に浮かんだ。それがずっと頭から離れず様々な土地へ行き、頭の中に浮かんだイメージと同じ風景を探した。動物園の犀、長瀞の河原、箱根の芒、日光の森をベースにイメージ通りの風景を制作した。一本の芒、

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†carp

†carp

†carp, 2019
72.8×106 cm / 28.6×41.7 in
Archival Giclee Print

撮影から完成まで9日間、僕の制作では最も短期間で完成した写真。 そんな短期間で仕上がったはもう長いこと主題として考えていた“デカダンス”の光景であったからである。ここでいう“デカダンス”とはユイスマンスやアルトーの描いたそれであることは明記しておきたい。日本の文化、風土におけ

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Subterranean

Subterranean

僕の育った家の地下室は奥半分が父の書斎でした。本棚に仕切られた手前のスペースには小さなソファとテーブルが置かれ、三方の壁には本棚が並んでいました。蔵書のほとんどは翻訳家であった明治生まれの祖母のものと、映画製作を生業にしていた父の資料、仏文科を卒業した母の本でしたが、小学生の頃には本棚の1番下の段(こどもですから)に自分の本を置くことを許されていました。

地下室特有のひんやりとした空気は夏には過

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“EMACIATED ETERNITY”

“EMACIATED ETERNITY”

New Yorkで個展が始まります。初めての海外出展がNew Yorkというのもびっくりですが、それが個展ともなるとかなり気が動転いたします。

「個展のタイトルどうしますか?」と突然の電話で聞かれたのは2月の終わりか3月か、あまり記憶は定かではないのだけれど「あぁ... タイトルあるんだ」とかなり重たい驚きと、今日中にタイトル決めなきゃという湧き上がる焦りで血の気が引いたことを覚えています。

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