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事業戦略大学「イノベーティブな商品企画開発のためのトレーニング」第2回 顧客経験価値を創造できる人の時代②

■顧客経験価値を創造できる人をつくるには


 さて、顧客経験価値を創造できる人はどのような人でしょうか。大変難しい問題だと思います。なぜなら、これまでの教育は顧客経験価値を育成するものではなかったし、企業の中でも主観的なものはむしろ否定されてきたからです。


最近でこそデザインシンキングなどの思考法も普及してきましたが、まだまだ未発達ですし、十分に体系化もされていません。また顧客経験価値もシュミットなどによってある程度モデル化、体系化されましたが、その企画創造の方法や測定・分析方法などは確立されていません。 

しかし顧客経験価値に関する研究者や、実務家、私の様なコンサルタントが実践する中で、「顧客経験価値を創造できる人」に関してあるレベルの考えやコツの様なものが見えてきています。ここではそれをいくつか紹介したいと思います。

■ 顧客経験価値=「意味」を創り出すこととは

顧客経験価値を創造する人をつくる方法を考える前に、顧客経験価値の創造とは何かを再確認します。顧客経験価値とは、人や社会にとっての意味のイノベーションです。単に商品やサービスを提供するのではなく、なぜそれが人や社会に必要なのかを問い、新たな視点を見つけ、語ることです。意味とは別の言い方をすると文脈(コンテクスト)であり、いくつかの重要な要素を新たな問題意識や視点やで編集することです。その新たな文脈によって、人々の感覚、感情、思考、行動、共感、つまり顧客経験価値が変わることや深まります。


顧客経験価値、意味を創り出すには、人が生きていく上での目的を再発見したり深く理解することが求められます。またその目的を、知覚し、感じ、思考する環境や手がかりを発想します。さらにそれが多くの人と共感できる環境をつくり、社会全体が良い方に発展することをデザインします

顧客経験価値、意味をつくり出すことは、新たな「目的」「なぜ」を提案することであり、「目的」「なぜ」を意識しないアイデアやコンセプト発想とは、全く異なる態度、姿勢、思考プロセスです。


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