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動画によって可能になるマイペースの学び

前回は、「学習者中心主義というパラダイムシフト」という文章をお届けしました。
https://note.com/torus2020/n/n6eac0faa12e7


さて、トオラスの創設期を支えた一番の人気講座は、
「オンライン講座のひらきかた」というオンライン講座でした。

トオラスの共同創設者である田原真人は、「反転授業」という考え方に出会い、
それを一緒に研究してきた仲間たちとともに、
この講座の最初のコンテンツを作りました。

トオラスの中で、回を重ねるごとにブラッシュアップを続け、
様々な要素が削ぎ落とされたり、付け加わっていったこの講座の、
考え方のベースはどこにあったのでしょうか?

本日は、田原真人の2018年の文章をお届けいたします。


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「動画によって可能になるマイペースの学び」
 
私は、2005年から動画を使った学びに取り組み始めました。
 
当時、私は、河合塾で物理の予備校講師をやっており、
副業として立ち上げた会社で、物理の動画講義を作成して、
インターネット販売を始めたのです。

はじめたころは、
 
リアルの講義はライブ感があるけど、動画にすると今一つかな?
リアルの講義は理解度を確認しながら話せるけど、動画だとできないな!
 
というように、リアルにはできて、動画だとできないことがあると感じて、
 
動画講義=リアルの劣化版
 
というように感じていたのです。
 
でも、実際にやってみると、そういう部分も確かにあるのですが、
リアルの講義と動画の講義は別物だと考えたほうがよいことが分かりました。
 
わたしの講座の受講生さんたちは、次のような学び方を始めました。
 
(1)講義を4倍速で通して見て、全体像を把握する。
(2)講義を2倍速で見て、練習問題の前で一時停止して解いてから、
   再生開始して答え合わせする。
(3)分からないところは繰り返し視聴する。
(4)質問したいときはスクリーンショットを取って送る
(5)最後に2倍速で視聴して、理解度を確認する。
 
いったんこのような学び方をし始めると、
ライブ講義を聞いてノートを取り、
家に帰ってからノートを見ながら問題を解きなおすより、
はるかに理解に至るプロセスが効率的なのです。
 
ノートを取る段階で理解できなかったことは、
家に帰っても理解できないことが多いです。
 
受講者によっては、講義を7回繰り返して見ることを
自分に課している人もいました。
 
その人は、理解が人よりも遅いという自覚があり、
授業のスピードにはついていけないと感じていたのですが、
粘り強く取り組めるという長所を持っていて、
一つ一つ確実に理解を進めていくことができたのです。
 
動画講義にするとで、受講者がマイペースで学ぶことが可能になり、
受講者が持っている多様な特性に合わせて、
受講者自身が学び方を工夫することができるようになりました。
 
このような可能性が切り開かれるとは、
動画講義を作る前は、全く考えていませんでした。
 
その後、授業設計(インストラクショナルデザイン)を学び、
キャロルの時間モデルと出会いました。
 
それは、次のようなものです。

「すべての学習者は、その人にとって必要とされる時間をかければ、
 すべての学習課題を達成できる。」
 
今までの一斉講義型の授業は、本来、その人にとって必要とされる時間をかければ
達成できたかもしれない課題を、学びのペースを一定にすることによって
達成できなくさせていた可能性があるのだと気づきました。
 
動画を使ったマイペースの学びを取り入れ、
事前に知識習得に取り組んだうえで、
対話型の学びと組み合わせていく反転授業は、
多様性のある個人を大切にする学びだと思います。
 
そして、Zoomを使うと、

Zoomで動画講義の作成を簡単にできる
Zoomに集まって対話型の学びができる
 
ということから、簡単に「オンライン反転授業」を実施することができます。
 
これは、教育を大きく変える可能性を持っています。
 
「Zoomを使ったオンライン講座のひらきかた」では、
どのようにすれば、オンライン反転授業を実施できるのかをお伝えしています。
 

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いかがでしたか?

私たちが生き物であるのと同じように、
私たちが扱っている講座もまた生き物です。

私たちは常に、自分たちが開催した講座を超える講座を作ろうと、
日々精進しています。

「オンライン講座のひらきかた」についての現在の情報については、
Webサイト等をご確認ください。
https://zoom-japan.net

次回は、「反転授業が学びのパラダイムを反転する」をお伝えします。
https://note.com/torus2020/n/n22e2e7c63860


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