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メディアに依存する写真

写真というものはデジタルにせよプリントにせよ掲載する場所(メディア)によって鑑賞者の視点が変わる。

SNSの特徴

SNSというメディアの特徴は、モニターが鑑賞者依存でスマホが多い、タイムラインの情報が多いため鑑賞時間が短い。=スクロールする手を止めるために小さな画面でも映える(高彩度、現実とはかけ離れた色味の大幅な変換、興味を引くキャプション、etc…)や拡散性を高めるためのブランディング、ギャラリーの統一感、継続的な投稿などに特化している。
細部のクオリティやデータ破損の許容範囲が甘く、編集難易度、時間的コストを極力減らしている。
SNSというメディアにおける写真表現の方法を模索した末に最適化された結果だと思われる。

写真展の特徴

フィジカルの写真展示の特徴として、サイズがプリント依存になる、自由な配置や立体物の設置が可能で展示場所の範囲内ではあるが自由度が高い、写真がプリントに依存するため編集難易度や時間的、金銭的コストが高く、空間演出的な要素も強い。在廊すれば作家と鑑賞者が作品の前で話すことになりコミュニケーションの面でも密になる。鑑賞時間がどれだけ早くとも物理的な歩調になるため、ある程度の時間が確保される。

スライドショーの特徴

もしも、デジタルサイネージやオンライ配信などのスライドショー形式でモニター依存の展示をする場合、決定的に他の鑑賞方法と違う点がある。通常の鑑賞方法では、フィジカルにせよデジタルにせよ鑑賞者側が鑑賞時間を自由に決めて見ることができる。スライドショーは作家が設定した時間と順序で鑑賞することになる。いまいちな写真をダラダラと見せられるのは苦痛で、作家は鑑賞者の立場になってテンポや可能であればBGMを選びながら作る必要がある。

「写真をメディアに合わせる」
「写真にあったメディアを選ぶ」
「表現したい事柄に適したメディアを選択する」

写真を他人に見せる場合、メディアに依存することは避けられないため、メディアの特性について考えてみるのも良いかもしれない。

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