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機関投資家と個人投資家との情報格差をなくし、より丁寧に。そして想いも共有したい

過去の経験やIRへの認識

私は上場企業のCFOとしてIR活動をしています。上場したのは2021年2月。まさにパンデミックの真っ只中でした。

過去に在籍していた会社でもIRの経験はありました。ただ、その企業は時価総額が1,000億円を超えており、企業としての認知度も高かったのです。ですから、こちらからアプローチせずとも機関投資家(国内・海外)からのMtgの依頼を沢山いただきましたし、個人投資家に知っていただく苦労もなく、今思うと何も工夫をしていませんでした

日々、証券会社がコーディネートしてくれる対面のMtgに参加して話をし、個人投資家からの質問に電話やメールで回答する。しかも、投資家目線の情報を織り込んだアップデートを常にしていたわけでもなく、SNSの活用もまだまだ。立派なIR活動とは決して言えないものでした。

でも、その当時から、機関投資家と個人投資家との間の情報格差は感じていました。自分で作成していながら「四半期開示資料って個人投資家の方からすれば、ホントわかりにくいよな」って思っていましたし、長すぎて読む気もしないなと。なのに「個人投資家のみなさんってどうしてるんだろう?」と不思議に思うだけだったのです。伝える側であったにも関わらず、その程度の認識でした。

対話の場でも格差がありました。機関投資家とのMtgでは説明資料を元に質疑応答しますが、個人投資家とのそういった接点は多くはありません。さらに言うと、個人投資家への対応は時間だけかかるだけと機関投資家との対話に傾倒していたと思います。「機関投資家と個人投資家の間には格差があるよな」と感じてはいたものの、「そんなものだ」とも思っていたのです。また、質問を受けるくらいなら、すべての情報を丁寧に資料にいれればよいのにと気がついていたのに、他の業務もあったことや、IRの本質を学んでないので、そこに注力はしていませんでした。

過去の経験はひとつも役に立たなかった

そんな状況から一転して、今いる会社での2021年2月25日の上場。

コロナ禍ですから上場前のロードショーも全てリモートでした。小型のIPOだったので認知度も高くない。そして、コロナ禍におけるIR活動もまだ洗練されていませんでした。世の中的にも今のようにリモートでの対話が定着しておらず、我々も投資家も証券会社も、みんなが試行錯誤の時期だったのです。

なので、個人投資家向けのMtgのアレンジを証券会社に頼んでも「今は対面での個人投資家Mtgはしてないのです」と言われるのみでした。

機関投資家は今の時価総額や出来高水準ではお声がけしても反応は薄い、そして個人投資家向けMtgもやっていない。自社でやろうにも、当時はまだZOOMでのウェビナーが出始めでノウハウもない。さて困った……過去の経験はひとつも役にたたないじゃん……八方塞がり……。

とにかく調べまくる

八方塞がりの状況でしたが、まずは「じゃあ他社はどうしているんだろう?」と、とにかくCFOのネットワークで話を聞いてみたり、IRに関するウェビナーを見てみたり、調べまくりました! とくに上場して2~3年の会社や、IRが熱心な会社を参考にしました。

そこで知ったのが、株式会社ライトアップの白石社長やトビラシステムズ株式会社の後藤さん(もうすでに退職されていますが)、株式会社グッドスピードの松井さん、そして株式会社うるるの近藤さんでした。

とにかく丁寧

私が知り合ったIRが熱心な会社さんは、みなさん、とにかく丁寧でした。

資料には投資家目線がきちんと織り込まていましたし、Twitterを活用した個人投資家向けの情報発信も綿密でした。コロナ禍から一気に増えてきたZOOM等を使った個人投資家向けへのウェビナーも活用したり。さらにnoteを使って補足説明をしたり。とにかく丁寧なんです。活発で丁寧で、とても素敵でした。

もちろん企業価値は業績や将来性が基本ではあるものの、それを知ってもらわないといけないわけで、当たり前ではあるもののこの会社さんたちを見ているうちに丁寧であることの意味やIRの本質的な事に気づいてきました。

とにかく真似る

良いと思ったものはとにかく真似る。私自身は変なプライド等はなくて、良いものはどんどん取り入れる積極性はあったので、説明会資料を少しづつですがブラッシュアップしたり、広報の子に先生になってもらってTwitterアカウントを作ってレクチャーを受けながら発信したり、個人投資家向けへのウェビナーへ積極的に参加したり、とにかく真似ました。
今回noteを始めたのも、後藤さんに「ぜひやってみたほうがいいよ」とアドバイスを受けたからです。

情報格差をなくし、より丁寧に。そして想いも共有したい

過去の経験上、機関投資家と個人投資家の間には、情報格差があるなと思っていました。思っていたのに「それが何か?」ぐらいにしか考えていなかったのです。ただ、取締役として担当する立場になってみて、他社さんの取り組みを見て、そこにアクションを起こさないのはナシだなと思うようになりました。だったら何のために上場したのか?って話になります。

情報が少ないと、投資家のみなさんの投資判断はどうなるでしょうか? ネットの掲示板やSNSに書かれている微妙なコメントで判断をしたり、チャートだけで判断をしたり、TOPIXや全体の相場感だけで判断をされるはずです。

ブランディングがなされている大型株であれば、毎日のようにニュースが流れ、積極的に発信しなくとも投資判断の情報はそれなりにあると思います。
でも我々は中小型。もっというと小型。自ら丁寧に発信しなければ、自分たちの情報なんてないに等しい。しかも、わかりやすくないとその時点で離脱されてしまう。あと、個人的にも事業部のみんなが頑張ってくれていることをより分かりやすく伝えたい。つまり、丁寧な発信は、投資家にも社内にとってもよいことずくめ。

そこで、丁寧な発信の一環として新しい挑戦をします。3月16日に2022年1月期の通期決算発表を行うのですが、その説明資料の中から投資家との1on1で質疑応答しているような内容を、ティップスに分解し、一つのトピックとして記事化して、ご説明していこうと思います。

繰り返しますが、企業の価値は、もちろん業績や将来性で決まります。いくら知ってもらえても「投資する価値あり」とならなければ投資はされません。でも、知ってもらうことは、業績や将来性と同じくらい大切だと考えます毎年100社近くが上場するのだから、なにもしなければ埋もれてしまうのは当たり前。そもそも小型でスタートして上を目指すのだから、やらない手はないなって思ってます。賛否両論あるかとは思いますが、まずはマイナスではないのでやってみようと思います。

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