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新潟県庁と一緒にデジマケアワードで日本一になった話(A面)
もう4か月以上前の話ですが、クールジャパンデータ&デジマケアワードで最優秀賞をいただきました。
落ち着いて文章にするまでの気持ちと仕事の整理に時間がかかり、なかなか筆が進んでいませんでした。
筆が進まない理由はおいおいnoteに書いていくとして、このエントリーではA面でどういうプレゼンしたか、B面ではプレゼンテーションの組み立てについて書いていきます。
ちなみに今、ネットを開いてみたら2023年のものがもう出ていました。
みなさん面白いイベントなんで10月4日5日はブロックお願いします。
では、どんなお話をさせてもらったのかというと
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これがプロジェクト進めた2人の共通するデータとデジタルマーケティングに対する考え方です。大切なものは、そのままだと目に見えない。
そうしたか細い糸をただの感性や直観で終わらせないようにエビデンスを補強したり、見落としがないと考えていくことは大事です。
アンケートして満足度が92%とか、認知度が43%とわかってもじゃあ何すりゃいいの??ってことがわからない。現状把握だけの調査は私はあまり好きではない。事前調査やオープンデータや過去の取り組みから、ある程度こういう数字がでるだろうなーって想定を持ちながら、出るであろう数字に合わせて次の打ち手を用意してなんぼです。
そうした打ち手まで見えてくるのがデータを扱う上の肝
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どんな施策をしたのかということですが、よくあるマーケ・プロモーション系の仕様書にある「認知度向上」なんですが、大事なのは「クールな新潟」って何?ってことです。
正直インバウンドの仕事をしていて楽な仕事(人の稼働が少ない)順位をつけると木立の体感値では「プロモーション>インフルエンサー>メディア・動画>ライティング>サイト>>>研修>商品造成>マーケティングを根っこから考える」なんです。
バナーをブワっとばらまいたり、有名なインフルエンサーに取材させて発信の責任は彼/彼女に任せるというのが短期的なマーケ屋の効率はいいんです。別にこれが悪いわけでなく、すごく外国人のハートをつかむウェブサイトができていてそこに誘導したら「あっ!私、新潟県にいきたい!」とか、超絶楽しい旅行コンテンツができていてインフルエンサーが楽しんでたら「私も行きたい!」ってなるので、マーケティングができていて、ターゲットも見えて、楽しめるコンテンツもできていて、そこにナビゲートするサイトとかもあれば、どんどんやってくれ!って感じです。
ただそこに行き着く前に、日本人向けの翻訳したレベルのところにバラまいてもしゃあないし、そもそもばら撒く先とコンテンツの組み合わせがしっかりしていないと無駄がとっても多い。
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私はMMT信者じゃないので国債は無限には刷れない前提です。公共事業の税金も結構潤沢に観光に注がれていますが、私はこの流れは2030年くらいまでいくけどその先は長くは続かないんじゃないかなと思ってます。
これにはいろんな説があるから違う意見もあるでしょうけど、言えば無限に金が出てくるわけでもないし「単年度じゃ結果出ねーよ。複数年継続で随契くれよ」って自己都合100%の主張をしたい会社もあると思うけど、私は現実を受け止め、受け入れ、現実的なプランを出すことが大事だと思ってます。
だから単年度でPVとかも出すけど、PVだけ出してもどうすんの?って感じですよね。「そこから旅行客が来ないのはサイトが悪いからです。コンテンツが悪いからです。私たちは仕事をしました。客がこないのは県が悪いんです」と後から言い訳を腹に忍ばせて「お客様(の財布の中身)のことを第一に考えます」的なことを言えるほど私はメンタル強くはない。
新潟で仕事する先で出会った素敵な人たちが収めた税金の一部を預かってプランをつくるなら、次年度以降も使えること、県庁だけでなくて観光に関わる人が使えるようにしたいというのがサステナブルに込めた意味です。
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もう少し突っ込んでいうと「サステナブル」ほど、表層的にとらえられておらず、昔の日本が美徳としていたことを忘れられてます。別にペットボトルじゃなくてマイボトルにしようぜ!って環境面も大事だけど、経済と社会もすごい大事ですよ。
某DMOでSNSの仕事で、英語のファンを増やすのがKPI。たまたま英語としているのはターゲットにアメリカ・イギリス・オーストラリアが含まれているし、欧米豪って定義すると欧州の中にドイツ語スペイン語フランス語他が入るから、まるっと英語って書いた仕様書だからって、単価の安いスリランカに突っ込んで蓋開けたら欲しいターゲットは全然増えていないみたいな事態を風の噂で聞いたことあります。
これ仕様書と照らしたら間違いではないけど、目的にターゲット書いてあるわけだし文脈理解をしたら「スリランカではない」ことは明白なのに、「AIが自動で効果のいいところに配信しました。仕様書は守っています」みたいな問答があるとかないとか
私はこれこそ「アンサステナブル」の事例だなって感じで「税金は無駄になり」「SNSに対して不信感がDMOに生じる」「企業倫理を欠如させないと仕事が儲からない」って不幸の連鎖ですよね。
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ということでじゃあどうすればいいのかってことですが、私たちは定量的なデータだけでなく定性的なアプローチも大切にしました。これも企業が安全に儲ける方法なんですが大規模にアンケートとるのっていいんですよ。(もちろん私の偏った個人の意見で鵜所)楽でリスク少ないし、結果を取るまでが仕事で解釈はあなたですとかできるし。
感性的なことまで突っ込むと、それが外れた時にリスクあるじゃないですか。なので巷には分析と称した「集計結果の羅列」みたいなものがでちゃうんだと、性格が悪い私は思っちゃうんです。もちろん良い調査をしてチャレンジするリサーチャーをたくさん知っていますし、県の実情を把握するために有用な調査もたくさんあります。(ただ県の担当ですら、これなんなんすかね?っていうコメントを聞くこともある)
まあ実態はオルタナティブ(それ以外の有効な方法)がない。というのが現実だと思うので、インバウンドで有効な方法を開発したいなって気持ちでいました。
成田悠輔さんを招いたイベントをプロデュースした時に先生がおっしゃってたのが観光は試行回数が他のデータ生成量が大きいものと比べると、データ量は少ないしすぐに実行できるものじゃないから「ざっくりと粗いデータ」をとって「どう驚きを与えるか」の方が筋がいいんじゃないかと
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まずはサステナブルがテーマなので過去のデータの利用です。そこから仮説を立てて、結果から学びを得られるように計画的に配信をしていくという方法です。
PDCAサイクルを回そうぜ!とか言うけど、ひどいのになるとDoしてCheckしてからDoの結果に合わせたPlanを立てて、後出しじゃんけんで目標100%ですみたいなのを一番レベルの低いやり方(Worst)だとすると、
Pは達成可能なところよりも2段階くらい低いことにして、Dは最大限(もしくはそこそこ)やって、Cで120%(100%)達成して、Aはしないが次にひどいやり方。
失敗ができない人、失敗を許容できない人は、PDCAサイクルの一番大事なAと向き合えないと思うんです。
なので常に100点をとるよりも、120点と80点の結果があって平均100点。80点を捨てて120点のことに集中していくことがPDCAサイクルの本質だと思うのですが、世の中、期待値調整が上手な人の方が多いのかなぁとも
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私はJapan guideとラーチーゴー!日本というメディアが好きでよくお付き合いさせてもらっています。どっちもそれぞれの言語でトップメディアで、トップにまで導くに至った編集者の感性と頭脳と知識って日本の宝だと思うんです。だってターゲット国の外国人を魅了しまくって、どの記事だとPVが出て、どの記事だとPVがでないって、信じられないくらいの試行回数をして表に出せないデータを持っているわけです。しかもそれでPVが集まらないと民間企業なので存続できないので本気度合いも高いわけです。なのにこのお二人の力を借りたのが新潟の事業。
リサーチャーがまとめたものをこの2人(+他にも何名かの外国人)にインタビューをして、それぞれの国に向けて新潟の8つのテーマを出しました。
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この2市場に対して8つのテーマごとに3つのバナーをつくって、バラまきました。しかも英語だったら単価の安いスリランカ!みたいな阿漕なことはせず、japanguideとラーチーゴーのファンに配信。
新規開拓のためにいろいろばら撒いた方がいいって話もありますが、きっとそれは東京・京都・大阪なら成立しますが、別データで新潟に来る外国人はリピーターか妙高のようにSITの人ってこともわかっていますので、ちゃんと絞りました。
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やってみると面白いことに同じテーマでも写真によりヒット率は違うし、国によっても違う。性別・年代差も出てくる。写真はクリックされるけど全然読まれないテーマもあれば、じっくり読まれる記事もある。
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こうしたことからどういう旅行者が新潟の何に好きになるんだろうってこと。これダイバーシティ(多様性)をどこまで理解するかだけど、とかくモノカルチャーに染まった人は「一つの正解」を追求しがち。わかりやすい答えが欲しいし、キャッチーなんだけど、客商売ってそんな簡単じゃないと思うんですよ。なのでこんな人たちが新潟に興味もってくれますよ。ってペルソナをデータに基づいて作りました。
これを公開していくこと、ホテルの経営者や市の観光協会がへぇ~そうなんだとか、目の前に来ている旅行者と合致するよねって感覚を持つことって大事なんです。
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R4年度は「新潟の印象」をどう変えるか?ってことにこだわってやっています。
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あとはオーガニック(広告に頼りすぎない)なこともこだわりポイントです。ケミカル感満載の農薬漬けの野菜と、有機栽培の野菜だったら後者が食べたいじゃないですか。同じPVでも誰が見るのか?、事業の年度が終わった時の成果報告には載せれないけど、その後も伸び方法の方がよくないですか?
ちなみにこの時のコンペはコロナで一気に民間のクライアントが冷え込み、インバウンド企業が公共に殺到して、17社コンペだったと聞いています。
そんな中で勝つためにPV至上主義(ともかく表層的な見た目の数字を最大化する)じゃなく、意味のあるPV・末永く続くマーケティングをしようって提案ができたのは我ながらチャレンジだったなぁと振り返って感じます。
それができたのは
「審査員の理解と良心を信じている(情弱をだまそうとしない)」
「良いプランは必ず選ばれる確信(日本でも最高のプラン)」
「何故、良いのかハッキリ伝えるパンチライン(あとソフトなDis)」
があったからです。
もちろん優秀なスタッフがいたからつくれた提案書です。
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多角的な検証も大事。データだけでなく新潟県内の事業者にもヒアリングをしてデータから導きだされた答えに間違いがないか、実際目の前にはどういう外国人旅行者が来ていたかヒアリングしています。
やってみて良かったのは、目の前の外国人を相手にしている人の声は、統計的なn数は少ないけど、質的には示唆に富みまくっています。ここにプロモーションをした時の結果を照らし合わせると、その弱いn数の少なさを補完できるので、データに深みが生まれます。
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この導き出されたデータを並行して実施している新潟インバウンドカレッジで現場に広めていく
ホントに新潟県庁・新潟県観光協会の政策センスが素敵です。行政は縦割りだーとかいうけど、県庁・事業者の提案次第ではいくらでも連動性持たせれますよ。
大事なのは与えられた枠組みの中でいかに工夫をするか。
その精神は新潟の雪国の知恵で私は教わりました。
不満ばっかり言うてもしゃあないし「課題だけ見つけて、はい矛盾発見!はい論破~、で解決するのは君たちね」みたいな評判の悪い東京のコンサルさんムーブはしたくないですからね。
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こうした嬉しいコメントをいただきました。
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クールな新潟ってのはこんな感じです。
見ている方は「えっ?」とか「新潟ってこんなんじゃないよ」って思うかもしれないですけど、そう思った方は残念ながらターゲットじゃないんです。
あくまで英語圏の外国人が、UrbanなTOKYOに対してのRuralなNIIGATAがいいですよって話で
あとRuralがSEO的に良いかとかはまた別次元の話です。
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このことを知っているのがマーケターだけだと本当にもったいないんです。
新潟の観光に関わる人みんなが知っていてほしいことなんです。
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こういうエビデンスを集めて、地域ブランディングを進めていっています。観光地というといろんな解釈ありますが、整備された観光地(観光地化された地域)とありのままの地域によってターゲット変わりますよねとか、プロモーション上は反応がいいのに動態データでは来ていない層を特定して伸びしろを見つけたりいろいろやっています。
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最後は県の担当の佐藤主任のスピーチ
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主観から根拠に基づく意思決定へ
一緒に事業を進めているDeepJapanの木立さんと共通する想いは
「いかに良い税金の使い方を企画し実行できるか」
新潟に外国人を呼び込むためには当たり前ですが県全体での取り組みが必要です。そしてインバウンドは新規性の高い市場のためリスクがあります。
誰が実行し、そのリスクを負いながら道を切り開くのか?と言えば、新潟県庁が真っ先に取り組むべき仕事です。
新潟県は手前味噌ですが多様な魅力にあふれた観光地がたくさんあります。
だからこそ誰に、何を、どうやって情報発信するか?の絞り込みが難しいという課題があります。
新潟県の予算だからこそ個人の主観やこれまでの惰性ではなく、データと有識者の知恵を集めて根拠を紡ぎ上げ、美しいクールな物語に織り上げていくことが大切だと考えています。
デジタルマーケティングの取り組みはコロナになってから取り組み始めました。そして取り組みでわかった知見を県内で共有することで、
県内のDMOや観光事業者が同じ方向を向きディスティネーションマーケティングに広がり始めてます。
このスキームは新潟県だけでなく、同じようにインバウンドマーケティングに取り組みたい、どうしたらクールな地域の魅力にたどり着けるかわからない、2年前の自分と同じ立場の方が全国にいると思いますのでそうした人達に知ってもらいたいという気持ちで応募しました。
日本の魅力は多様性のあるローカルです。マーケティングやり方はマネしてもらってOKですが、日本全国のそれぞれのマネできないローカルならではクールの魅力が輝くことが、クールジャパンの実現だと信じてます。
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公共事業っていうと無駄遣いとか、意味がないとか、癒着とかネガティブなこと言われがち(そういった事業も残念ですがあるのでしょう)ですが、「お前、公共事業無駄というなら国道も県道も歩くなよ」とHIPHOP好きとしてはアンサーしたいところです。
あと無駄になってしまうのは発注側の理解のなさや、セールストークを信じ切ってしまっていたり、受注側が自社都合と事業の意義のバランスが悪かったりホントにいろんなケースだと思います。民間事業同士の感覚で仕事を進めることもその一つの原因でしょう。
官民連携をしていくことがインバウンドでは大切です。まあ民の力だけで突破できている人たちも少なからずいますが。そしてこれは木立徹さんの100%主観で、かつ不勉強なのかもしれませんが「お互いに出向者を出し合う」とか以上の連携の仕方というのはまだまだ発展途上なんじゃないでしょうか
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こんな素敵な賞をいただけたのは多くの協力者がいたからだという点もありますが、こうした考え方をもっと世に広めて知ってもらう使命を新しく与えられたと思っています。
割と無茶苦茶なこと書いてるなぁと思う人もいるかもしれません。でも会ったことある人はわかると思いますが私、無茶苦茶のところあるんです。
インバウンドが復活して嬉しいことですが、観光業の人手不足、地域経済への波及、ちゃんとDMOが自立する道をつくるなどまだまだ課題と伸びしろや山積みです。
一緒に乗り越えていきましょう
そして一つでも多くインバウンドの公共事業で意味と成果が生まれることを願っています。
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