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ICLの手術を受けました

少し前にICL(有水晶体眼内レンズ)の手術を受けました。おかげさまで術後も順調です。
術前に色んな情報を見たんですが、どんなものかなかなか想像がつかなかったこともあり、せっかくなのでその経過の記録を残しておこうと思います。
これからICLを受けようと思う方がいたら、一つの参考事例になればと思います。
※なおこの記事はあくまで僕の個人的な体験に過ぎず、普遍性や医学的な正確性を保証するものではありません。実際に手術を検討している方は必ず医師と相談の上、ご自身で判断をお願いします。

0.術前の状況

  • 現在42歳、コンタクト歴約30年弱(ここ15年ほどは使い捨てソフトコンタクトレンズ)

  • 視力は裸眼で左0.6、右0.02程度

  • 日常はデスクワーク多め、運転やスポーツ等は少なめ

1.術前1ヶ月

元々気になっていたレーシック or ICLを受けることを検討。
レーシックとICLどちらにしようか迷っていたが、Facebookで知り合いのICL経験者が絶賛していたため、ICL優先にすることを決定。
手術病院は同じくFacebookの知り合いで経験者が多かった&施術数も豊富ということで、品川近視クリニックで行うことを決意。

予約受付のフリーダイヤルに電話して簡単な電話問診のあと、事前検査の前には数日間(3日だったかな?)はコンタクト無しで生活する必要があることを告げられる。普段メガネを持っていない&裸眼では全く生活ができないため、急遽この検査用にメガネを作ることに
すぐに新宿の某激安メガネチェーンにてメガネを製作して、事前検査を予約。
※なお余談だけど、メガネ製作時にショップで色々なことを聞かれたんだけど、メガネの日常知識が全然ないので受け答えに非常に困った。メガネ屋さんの客は大抵はメガネユーザーだと思うんだけど、僕みたいにおっさんでもそうではない人も来ることはあるので、そういう人にはもうちょっと説明がわかりやすいととてもありがたい。

2.術前2週間

この日の検査結果次第で、ICLかレーシックかが決まる。レーシックになった場合即日手術ということだったので、念のため仕事は一日休みをとった。

視力だの眼圧だのいろいろな検査を受けて、なんだかんだ所要時間は2,3時間くらい。手術内容によって担当者が入れ代わり立ち代わり変わっていくんだけど、どの人も基本的に親切。

検査の結果僕は極度の近眼だったことが分かり(知らなかった)、むしろレーシックは無理でICLしかできないとのこと。元々そのつもりだったので、それは好都合。
眼の状態的には、中に入れるレンズは国産のものですぐ手に入るということで、検査後一週間程度で入荷したらすぐ手術できると言われた。ここが国産のものが調達できないと海外からの輸入になり、場合によっては数ヶ月かかるらしい

中に入れるレンズも決まり、支払いは50万円のコースで決定。
なお僕は知人からの紹介があったのでここから3万円割り引かれ(これを読んでいる人でどなたか手術受けたい方いたらご紹介しますよ。何もしなくて3万円割引は大きい)、さらには後日加入している生命保険からの還付もある。還付金額は契約している生命保険次第だが、僕は5万円戻ってきた。なので、このあたりを活用したらMAX10万近くは圧縮することが可能。
検査終了後着手金を支払い(約20万)、その日は帰路につく。

3.術前5日

クリニックから連絡があり、無事入れるレンズが入荷したとのこと。
さっさと手術してしまいたいので、仕事の兼ね合いを見つつ最速に日程で予約する。
なおこの日くらいから、手術までに目の雑菌をなるべくなくす目薬を毎日打つようになる(手術5日前からか3日前からかは忘れたけど、そのくらい)。

4.手術当日(朝~手術まで)

前日まではコンタクトOKだったのだけど当日はNGなので、メガネでクリニックに向かう。
簡単な検査の後、すぐに手術の準備に。
待合室に移動した後にすぐ呼ばれて手術の事前準備へ。
この当たりの手際の良さは本当に素晴らしいけど、かなりシステマチックで流れ作業的な感じなので、そういうのが苦手な人はダメかもしれない。僕はこういう時には特に人間味ある対応とか不要でサクサク進めてもらいたいタイプなので、全く気にならなかった。

いざ準備が始まると、とにかく5分おきくらいに目薬をうち続ける。
中には結構しみるやつがあってちょっときつい。途中で麻酔の目薬も打たれるので以降はしみるのはなくなったけど、とにかく合計10回くらい目薬打たれるので、エンドレスな苦行のようだった。

大量の目薬を打って時間ほど経つと、いよいよ手術室に呼ばれる。
僕はかれこれ40年ほどの人生で一度も手術を受けたことがなく、入院すら幼稚園の時に一度あったきりの、完全な手術童貞である。これから何をするか、もちろん分かっているが、それでもビクビクする。
なんてったって、意識ある状態で目ン玉触られるのだ。恐怖やん。

5.そして手術本番

手術台に乗っていざ手術スタート。この時点でもはやまな板の上の鯉なので、ジタバタしても無駄である。
片目ずつの手術で、顔の半分を変な布で覆って手術は行われる。目は強制的に開けさせられる器具みたいなものをつけているので(「時計じかけのオレンジ」のルドヴィコ療法のようなものをイメージしていただくといい)、術中にうっかり瞬きしてしまうみたいなことはまずないと思って良い。

手術中は絶えず消毒液的なもの&20秒に1回くらいの頻度で点眼される目薬のおかげで、水の中で目を開けているような感じ。つまり、視界はかなりぼやけているので、何をやっているかはよくわからないし、ずっと水の中にいるようで溺れているような感覚すらあった。
手術されている最中は、麻酔がかかってはいるものの目玉を触られている感触ははっきりわかる。これはなんとも形容しがたい感覚なのだけど、普段絶対触ってはいけない部分をグイグイ触られている感じ(実際そのとおりなのだが)。痛みともまた違っていて(ドクターは「重い」という言葉で表現していたけど、それともちょっと違う気がした)、一言でいうとただただ不快な感覚であった。

片方の目で10分ずつくらい、合計20分ほどで手術は終了。手術台から降りるとたしかに視力はめちゃくちゃ良くなっているのが分かるが、とにかく焦点が全く合わない。視界は歪んで、ベロベロに酔っている時の気分。
とりあえず術後1時間ほどは安静にしないといけないらしく、術前にそれを聞いた時にはスマホやTVもない状態でどうやって時間を過ごすのかと思っていたけど、実際その場面になるとそもそも何もできる状態でない。とりあえずやることがないので、案内されたリクライニングチェアで眠る。

6.手術当日(術後)

仮眠していたところを声かけられ、そのまま診察。取り立てて異常なしということで、保護眼鏡と当面の注意事項を聞いて帰宅への帰路へ。

術後数分の状態よりはだいぶ視覚はしっかりしてきたけど、それでもかなりの違和感。
焦点をあわせるのが難しいため、遠方はわりとはっきり見えるが、近い距離だと殆ど見えない。
帰り道の感覚的に言うと、

  • 駅の路線案内→見える

  • 電車内の次の駅の表示→見えなくはないがかなり見にくい

  • スマホの画面→見えない

という感じ。

あときつかったのは、瞳孔を開く目薬を打っていたため、とにかく眩しい
この辺は結構個人差あるかもだけど、僕の場合はかなり眩しさがきつくて、具体的にどのくらいしんどいかというと、

  • 横断歩道の白線が飛び出してくるように見える

  • 正面から歩いてくるおばちゃんの蛍光色の上着が眩しくて目をそらしてしまう

  • 西日が車に反射する光が眩しくて前を見ることができない

この辺の感覚は初めてだったので、自分としてもかなり驚いた。
おそらく道中歩いているときや電車に乗っているときも瞳孔開きっぱなしでガンギマリのシャブ中みたいな容貌だったろうから、周りの人も顔見てビビらせてしまっただろう。申し訳ない。不審者ではありません。

無事に家に帰り着いたけれど、何もできる状態ではない。
手術を受ける前は、家に帰って暇だったらAVでも見てシコるかくらいに思ってたけど、とてもじゃないけどそんな事ができる状態ではない(そもそもする気も起きない)。
この日は仕事休みとってはいたけど、PCで作業することもまず無理。
仕方ないので、録画を録りためていた関ジャムを大量に一気見した(TVは意外に見るのが苦ではなかった)。

7.術後の制約

  • 保護眼鏡の着用&目への接触厳禁。これは特に術後一週間は絶対守るようきつく言われる。傷口が治癒するのにも時間がかかるし、セットしたレンズもまだ不安定なので、とにかく触ってはいけないらしい。日常でメガネを全く使わないので保護メガネ装着も相当不快だったが、それでもこれを怠るとこの努力(&お金)が全てパーになるのでなんとかしてなるべく守った。

  • 飲酒一週間禁止。とにかくきつかったのはこれ。まぁ手術をしたんだから当然といえば当然なのだけど、体調が悪いわけではないのに禁酒というのは、僕的にはかなりしんどかった。酒を飲んでいけない理由はアルコールが手術直後の目に悪影響というのもあるのだけど、酔っ払って目に衝撃を与えてしまうことを避けるためという理由もあるようで、これは結構納得感あった(酔っ払うと保護用メガネとかどうでも良くなりそうだからな)。なんにせよ、こればかりは我慢するしかない。

  • 洗髪三日間禁止、入浴一週間禁止。洗髪禁止は、目を触ってはいけないからというもの。髪の毛は一日は美容院に行き、残り二日は奥さんに洗ってもらった(上向きなら洗髪OKらしい)。入浴できないのは仕方ないけど、なにせ寒い毎日だったのでしんどかった。夏なら全然余裕だったと思う。

  • 激しい運動やプールしばらく禁止。まぁ特にスポーツ何もやってないし、プールも別に今行かなくていいので問題無し。

  • 手術当日喫煙禁止。とっくにタバコやめてるので問題無し。

  • 一日5回の目薬。目薬は苦じゃないんだけど、術後しばらくは目の焦点合わせるのが難しいので、とにかく目薬打つのが下手糞になる。結構ミスって貴重な目薬をかなり無駄にしてしまった。

8.手術翌日~一週間

目の焦点のあわせやすさなどは、日を追うごとにグングン良くなってくる。やはり人体の調整能力はすごいんだなと感じざるを得ない。
思えば中年になって体調が良い方向に日に日に変わるという経験はなかなかしなくなるため、自覚できるレベルで身体の感覚が変化していくのは新鮮であった。
改めて感じたのは、視覚障害者でない僕らは視覚から得ている情報量というのがものすごく大きくて、中途半端に目が見える状態だと不自由さをものすごく意識してしまう。いっそのこと全く見えない状態だと、また感覚も違うのだろうが。なので、日に日に視覚情報の精度が上がっていくのを体感するのは、自分自身の身体性を再認識するいい機会になった。

翌日検診も一週間後検診も全く問題なく、術後二日後からはほぼ日常生活に戻った。仕事もほぼ影響なし。引き続き目を触らないようにだけは気をつけるが、それ以外は元の生活に完全に戻ったといって良い。いや、視力が大幅に改善されたので、元の生活に戻ったのでなく元の生活より遥かに快適になったといういうべきか。

9.手術後一ヶ月

見え方は安定してきて、違和感もほぼなくなった。
一ヶ月後の検診も順調で、ほぼ問題無しとのこと。
夜になると結構目がしばしばするんだけど、これは同時期に花粉症が本格化してきた事もあって、そっちのせいじゃないかと思う。

10.手術を受けてそれまでと変わったこと

  • とにかく良く物が見える。当たり前の話でありをそれを目的にしていたわけだが、改めてものが見えることのありがたさを実感する。個人的には、メガネよりも視界も広く矯正力高い気がする。

  • コンタクトを持ち歩くことに気を使わなくて良い。これは今まで地味にかなりストレスだったと思う。特に僕は出張がすごく多い仕事なので、今後出張の時にいちいち忘れることに気を使わなくていいのはとてもありがたい。

  • 最初は見え方にかなり違和感あるけど、すぐ慣れる。完全に定着するには2週間位かかった気がするけど、とりあえず手術翌日くらいからは最低限の生活には支障なくなる。なお、コンタクトであるような目の内部の異物感は皆無。

  • ハロー・グレア現象は結構出る。強い光源に対してまわりに輪っかのようなものが見える現象なのだけど、現時点ではかなりはっきり見える。この辺は徐々に慣れていくものらしいし僕自身は今もあまり気にならないのだけど、夜間運転したりする機会が多い人は、もしかしたら気になるかも。

11.かかった総額

手術代50万円 ※これは手術内容によってかなり変わります
知人割引-3万円
生命保険還付-5万円
総額:42万円

12.割いた時間

  • 事前検査(3時間ほど)

  • 手術当日(半日)

  • 翌日検査(1時間ほど)

  • 一週間後検査(1時間ほど)

  • 一ヶ月後検査(1時間ほど)

手術当日以外は拘束時間はさほど長くないけど、なんだかんだ一ヶ月半くらいの間でこれくらい時間をとる必要がある。地味に、これが結構ハードル高いかもしれない。
僕は割と自分の仕事の融通を自分の裁量で決められるタイプだけど、そうでない人にとってはこれが大変かもなと思った(別に僕も仕事をサボって病院行ってたわけではないですよ)。

【総括】手術を受けての個人的結論

あくまで僕の場合だけど、手術を受けてめちゃ良かったと思っています。
後遺症に悩まされることもなく(ハロー・グレア現象はあるけれど)、基本的に受けたことによって良かったことしか起きてません。術後直後はややめんどいこともあったけど、十分耐えられる範囲のものでした。
ただ、ネックはやっぱり値段。絶妙な価格設定で、問答無用で諦める値段ではないものの、結構躊躇してしまう金額だと思うので…。
ただ上にも書いたように多少還元方法もあるし、何よりその辺を踏まえても、僕としてはやった甲斐はあったと思います。
なお、術後一ヶ月の視力は…
左0.6→1.5
右0.02→2.0
となってます!

やったぜ!ICL!

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