経済/民主主義 LVIII 更新

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経済

[1] 前回も取り上げたが改めて:ガソリン価格推移グラフ 最近1年間のレギュラー価格 - e燃費 (e-nenpi.com)

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ガソリン補助金上限、23年1月から引き下げ 毎月2円ずつ=経産省 | ロイター (reuters.com) 2022.12.21

  1. 政府はガソリンなどの燃料価格の上昇を抑えるため、石油元売り会社に補助金を支給(燃料油価格激変緩和策)している。現在は1リットル168円を基準価格とした上で、それを上回る分について35円(上限額)までは全額を、上限を超えた分についてはその半額を支給している。2023年1月から5月にかけて、この35円の上限額を毎月2円ずつ引き下げる。6月以降については段階的に縮小する方針を示している。欧米や中国などの景気後退懸念を背景に足元の原油価格は下落、経産省によると、補助支給額はここにきて25円を大きく下回り、22日から適用される直近の補助金は15.6円となっていた。

燃料油価格の高騰を抑制する対策が始まっています (meti.go.jp) 2023.02.01

  1. 燃料油価格激変緩和対策事業とは? コロナ禍における「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」(令和4年4月26日 原油価格・物価高騰等に関する関係閣僚会議にて取りまとめ)に基づき実施する施策であり、原油価格高騰が、コロナ下からの経済回復の重荷になる事態を防ぐため及び国際情勢の緊迫化による国民生活や経済活動への影響を最小化するための激変緩和措置として、燃料油の卸売価格の抑制のための手当を行うことで、小売価格の急騰を抑制することにより、消費者の負担を低減することを目的としています。

  2. 燃料油価格の仕組み 緩和措置期間中、全国平均ガソリン価格が1リットル170円(※1)以上になった場合、1リットルあたり5円を上限(※2)(※3)として、燃料油元売りに補助金を支給します。※1:支給開始後4週間は170円、翌4週間は171円など。令和4年4月25日の週からは168円程度。※2:令和4年4月25日の週からは上限を35円に拡充。更なる超過分についても1/2を支援。※3:上限は令和5年1月からは33円、2月は31円、3月は29円、4月は27円、5月は25円と減少させていく。なお、上限を超過した分への1/2支援は維持する。

  3. 消費者に直接補助金を支給する制度ではありません。また、小売価格の高騰を避けるための制度であり、価格を引き下げる制度ではありません。

  4. 緩和措置の対象となる燃料油 ガソリン/軽油/灯油/重油/航空機燃料

  5. 燃料油価格激変緩和措置の期間 令和5年9月末まで

2021年から発動:ガソリン補助金、軽油・灯油も対象 最大5円抑制 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

  1. 経済産業省は19日、ガソリン価格の上昇幅を抑える対策を発表した。小売価格の全国平均が1リットル170円を超えた場合、石油元売り会社などに補助金を支給し、値上げ幅を最大5円抑制する。軽油や灯油、重油も対象とする。12月中に始め、2022年3月末までの期間限定措置とする。

批判も有った:「ガソリン補助金は効果ゼロ、業者の懐を潤すだけ!」エコノミストも新聞も猛批判する理由: J-CAST 会社ウォッチ【全文表示】 2021.11.18

  1. 「元売りの関係者は、『補助金を卸売価格に反映せず、懐に入れているんじゃないかと消費者から言われるのが一番怖い』と話す。最終的に小売価格を決めるのは全国のガソリンスタンドだ。元売りの関係者は『卸売価格に反映させても、小売店がそのまま反映させるかどうかもわからないし、強制もできない』と打ち明ける。小売価格は店ごとにバラバラで、卸売価格だけでなく、輸送費や人件費も影響する」

  2. 「ガソリンスタンドの経営者は『無理筋の愚策だ。我々にとっていいことは何もないです』と話す。小売価格は地域によって差があるのに、『170円』という発動条件が独り歩きする懸念があるからだ。補助金が出た後に170円を超える価格をつけていると、税金でもうけていると誤解した消費者から苦情を言われる可能性もある」

  3. 「ガソリンの高騰が家計を圧迫しているのは確かだが、価格上昇はガソリンだけではない。大正大学の小峰隆夫教授は『ガソリンだけ特別扱いをするのは疑問だ。これが広がれば大雨で野菜価格が高騰したときも補助金が必要になる』と指摘する」

  4. 「これが岸田文雄首相の描く『新しい資本主義』のかたちなのか。いまのエネルギー価格の高騰は、脱炭素社会に至る『生みの苦しみ』といってもいい。再生可能エネルギーを十分に確保できない段階で、化石燃料への投資を絞ろうとすると、原油高などが頻発する可能性がある。小手先の補助金ではなく、脱炭素の目的に反しないポリシーミックスが必要な局面である。先の衆院選では、大盤振る舞いを競う野党の多くが国民の厳しい審判を受けた。岸田政権にも安易なバラマキのお墨付きを決して与えたわけではあるまい」

  5. 「①第1に、ガソリン以外にも輸入を通じた価格高騰は、エネルギー関連、食品関連など既に幅広く及んでいる。電力・ガス料金の値上げも同様だ。他の業界からも同様な補助金の導入を求める声が高まり、収拾がつかなくなることはないか。②第2に、この補助金制度は最終需要者である個人や運輸業者などを支援するものだが、一方で中間段階の企業を支援しないのは不公平になるのではないか。輸入原材料価格が高騰する中、最終財の生産者物価や消費者物価は比較的安定を維持している。これは、輸入原材料価格高騰の影響の相当分は中間段階で吸収され、既に中間段階の企業収益を圧迫していることを意味する。③第3に、ガソリン価格高騰の影響は、かなり広範囲な国民に及ぶ。他方、それを財政資金で支援することは、将来世代も含め国民全体の負担となる。補助金や給付などの制度は、本来、少数の企業や国民を、幅広い国民の負担で支援するものであるはずだ。④第4に、ガソリン価格が170円を超えることを補助金制度発動のトリガーとした制度設計が検討されているが、170円を基準とする根拠がわからない。⑤第5に、補助金の上限を5円とすることが検討されているが、それでは、ガソリン価格がさらに上昇していけば、補助金の効果は薄れていってしまう。⑥第6に、補助金の分だけ元売り事業者が小売業者への販売価格を抑えても、ガソリンスタンドなど小売業者が値下げをせずに、その分利益を得る可能性もあるだろう。当初の狙いとは別に、小売業者を支援することになってしまう可能性がある。⑦第7に、本来自由価格によって成り立つ市場を、政府が補助金制度によって歪めてしまうことにはならないか。現在、11月19日の経済対策取りまとめに向けて、各省庁は多くの対策案を政府、与党に集約することを求められている。財政資金は国民の負担によって成り立っていることから、1円たりとも無駄にしないという姿勢のもと、経済対策の策定に向けて、政府には費用対効果の高い政策を厳選して欲しい」

  6. 「法律があるのに政府はなぜガソリン減税をしないのか」 一方、ほかのエコノミストたちからは「トリガー条項」の発動を求める意見が目立った。「トリガー条項」とは租税特別措置法第89条に基づき、「レギュラーガソリン1リットルあたりの価格が3か月連続して160円を超えた場合、ガソリン税の上乗せ分(旧暫定税率)25.1円の課税を停止し、その分だけ価格を下げる」というものだ。 J‐CASTニュース会社ウォッチでも、「えっ! 急騰中のガソリン価格を安くできる? エコノミストが指摘する『とっておきのカード』を政府が切らないワケ」(11月5日付)で取り上げた。 その中でも指摘しているが、岸田文雄政権は「トリガー条項を発動すると、ガソリンの買い控えの動きが加速し、返って経済が混乱する」として発動しない方針なのだ。しかし、エコノミストのあいだでは、補助金よりもガソリンの減税のほうが効果ははるかに大きいという見方が強い。ヤフーニュースのヤフコメ欄には、こんな意見が相次いでいる。 エコノミストで経済評論家の門倉貴史氏は、「ガソリン価格の高騰は実質的に増税しているのと同じで、家計の可処分所得を目減りさせてしまう。ガソリン価格の高騰が続く間はガソリン税の暫定税率分(1リットル当たり25.1円)を一時停止にして、実質的に減税し、家計の可処分所得を下支えるべきではないか。ガソリン税の暫定税率分を一時停止にすれば、1か月あたり約1000億円の税収減となる。仮に3か月間、一時停止とすれば約3000億円の税収減となる。ただ、2兆円もの財源を使って(緩い所得制限で)0-18歳の子どものいる世帯に10万円相当を給付するよりは、経済対策としての費用対効果ははるかに大きい」と指摘した。 ソニーフィナンシャルグループのシニアエコノミスト、渡辺浩志氏も、「これ(補助金)でガソリン価格が5円下がるわけではなく、効果は不透明です。ガソリンスタンドの減少で価格競争が不活発となったため、最近のガソリンは値上がりしやすく、値下がりしにくくなっています。政府の補助金は元売りや小売り業者の懐に入ってしまい、恩恵が消費者に届かない恐れがあります。25.1円の上乗せ課税を停止するトリガー条項の発動のほうがわかりやすい策ですが、政府はこれを行わない方針。理由に『ガソリンの買い控えと反動による流通の混乱、国・地方の財政への多大な影響』を挙げています。しかし、クルマ社会の地方や灯油消費量が増える寒冷地の一般家庭はすでに困窮しており、即効性と透明性のある確実な対策を切望しています」と、やはり「ガソリン減税」を求めたのだった。

トリガー条項 - Wikipedia

  1. トリガー条項(トリガーじょうこう、英: trigger clause)は、ガソリン価格が3カ月連続で1リットル160円を超えた際に、日本国政府が租税特別措置法に基づき揮発油税や地方揮発油税を引き下げる特別措置である。

  2. 概要 2009年衆院選で、民主党はガソリン税暫定税率廃止をマニフェストに掲げて圧勝したことで、民主党が政権を獲得し、民社国連立政権を樹立した。しかし、鳩山由紀夫内閣は、国際的に発表した温暖化対策や赤字国債発行を制限する財政収支の問題が出たため、ガソリン税率の暫定税率分を撤廃することによるガソリン値下げが困難となった。そのため、ガソリン税の暫定税率を廃止すると同時に、ガソリン税の本則税率を引き上げ、国民の実質的な税負担を現状維持させた。この決定は『マニフェスト違反』として、世論から強い批判を浴びたため、2010年(平成22年)5月11日、民主党はマニフェストからガソリン税など暫定税率廃止を正式に削除した。2010年(平成22年)3月31日、租税特別措置法を改正したことにより、ガソリンの3か月の平均小売価格が1リットル当たり160円を超えるに至った場合は、暫定税率の適用を停止する「トリガー条項」が設けられた。これは、レギュラーガソリンの全国平均価格が3か月連続で1リットル160円を超えた場合、ガソリン税の暫定税率分の1リットル25.1円を減税し、3か月連続で130円を下回れば税率を戻すというものである。また、トラックが使う軽油に課税される軽油引取税も連動して17.1円が減税される。2011年(平成23年)4月18日、日本国政府は、特別措置による税収減により、東日本大震災の復興財源の確保が困難になるとの理由でトリガー条項を凍結する方針を示し、東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律第44条で、4月27日より東日本大震災の復旧及び復興の状況等を勘案し、別に法律で定める日までの間、その適用を停止することになった。

既に税金燃やして走っているようなものだが:★ガソリンの税金★ | 彩の国リオネットセンターグループ補聴器ブログ (sainokuni-rionet.jp)

問題も有った:ガソリン補助金「価格に全額反映されず」 財務省指摘 - 日本経済新聞 (nikkei.com) 2022.10.07

  1. 財務省は7日、予算執行調査の追加報告を公表した。ガソリン価格の抑制に向けて石油元売りに配る補助金事業で「販売価格に補助金の全額が反映されていない可能性がある」と指摘した。抑制に使われた金額は支給総額を110億円下回っていたと推計。事業者の利益に回ったとみられるケースもあった。3月から7月に支給した補助金と販売価格の動向を分析した。同期間に累計で5577億円の補助金を支給している。関東財務局が管内の294事業者に、価格の決定方法など実態を調査。回答した155事業者のうち「補助金全額分が抑制されている」と回答したのは45.2%にすぎず、「全額は抑制されていない」「分からない」がそれぞれ23.2%、31.6%だった。理由として「近隣店舗の市況を見て判断したため」が最も多く、「過去の価格変動による転嫁不足が生じていたため」「複数週に分けて卸売価格の変動を反映させたため」が続いた。「自社の利益(赤字補塡など)に充てたため」との回答もあった。政府は2022年1月にガソリン補助金を導入。全国平均のガソリン価格が1リットルあたり168円程度になるよう35円を上限に支給し、35円を超える分は半額を上乗せしている。これまで3度延長しており、12月末分まで措置した予算額は累計で3兆円を超える規模となっている。

もっとも税金はこんな使われ方をしている:税金が驚くほどムダに…大震災から9年、「復興予算流用問題」を問う(福場 ひとみ) | 現代ビジネス | 講談社(1/6) (gendai.media)

  1. 私たちの税金はどこへ? 私たちの税金はどのように使われているのだろうか?納税者なら一度ならず考えてしまう疑問だ。どうせ税金として取られてしまうのならば、ちゃんと然るべきところで適正に使ってほしい。そんな納税者のささやかな期待が国家が見事に打ち砕いてくれた経験として、東日本大震災の復興予算流用問題というものがあった。復興予算の大部分が被災地とは全く関係の無いところに流用されたのである。増税した途端に、派手な流用が繰り広げられていたのだから、納税者の怒りを買ったのだ。

  2. 震災の直後、津波により数々の家が流れてしまったこと、そしてあの原発事故……。思い出すだけでも心が締め付けられる情景はあの時、間違いなくあった。被災地の人たちを支えようと、25年間に渡る所得税増税と10年間の住民税引き上げを受け入れた。今も、そしてこれからも増税分を私たちは毎年コツコツと支払い続けていく。私は復興予算の流用問題について追及し、『国家のシロアリ』(小学館、2013年)という著作にもまとめている。2011年の東日本大震災から9年が経った今、改めてこの問題を振り返りたい。

  3. 「復興予算の流用問題」とは 私がいわゆる「復興予算の流用問題」に気づいたのは2012年の夏。復興2年目に、特別会計予算を見たのがきっかけだった。ネットで見つけた予算書を開いてみると、ほとんどが被災地ではない事業の羅列。霞が関の担当者を取材しても「復興基本方針に書かれているのだから、全く問題ない」「なんで疑問に思うのか、不思議だ」などとスルーされていた。だが、何度か書いた記事の内容を国会で質問に取り上げてもらったりしたことで、結果的に国民の目に留まり「流用問題」として、結果的に一部(といってもたったの2%だけ)の予算執行が停止となった。

  4. 当時の経緯については、現代ビジネスでも長谷川幸洋氏が何度も取り上げてくださったので、覚えている方もいるかもしれない。「沖縄、北海道など全国の道路改修・新設」「南極でのシーシェパード対策費」「クールジャパンの推進」「検察運営費」「荒川税務署の改修」「東京スカイツリー開業プレイベント」「航空機購入費」「米国での戦闘機訓練費」「ODA」「小型衛星局」……数え上げればきりがない。いずれも予算名には「復興道路」など、もっともらしい名前が冠につけられていたりする。聞いてみると「普通の道路です。道路のないところに道路ができると、防災に役立つでしょ」などといった、雑なものだった。

  5. 広範囲かつ派手に流用が行われていた 復興予算の流用があったのは、全体のうちごく一部だと思われていた方もいるかもしれない。しかし、当時は実際のところは取り上げきれないくらい広範囲かつ派手に流用が行われていた。例えば、復興2年目の2012年の復興予算は4兆円弱だが、半分の約2兆円が霞が関各官庁の予算として全国にばら撒かれている。例えば、被災地向けの新規事業であった経産省の「国内立地補助金」 でさえも、被災県の企業は全体の5%もなかった。1年目は復興庁が存在せず、各官庁から復興予算が支出されていた経緯があったため、2年目に復興庁が設立された際に被災地に関係するものは復興庁、被災地と関係なく全国的なものは他省庁という変な「縄張り」が形成されたのだ。

  6. 「東日本大震災再出歳入予定額各目明細書」https://www.soumu.go.jp/main_content/000145872.pdf これが私が最初に流用に気づいた予算書である。復興2年目となる2012年度復興特別会計の予算書なので、すべてが復興財源である。しかし、復興庁の予算以外は、ほとんどの事業がまるで無関係であるということが見えてくる。予算書では子供手当などを含んだ公務員の人件費がやたら目立っているが、これは1年で合計791人分の人件費131億円、7億円分もの退職金が復興予算から付け替えられている。これを当時各省予算担当者に問うと「特別会計から人件費を持ってくるなんて別に問題ないでしょ」などと言われたものだ。確かに過去には道路特定財源から国交省職員の人件費が出ていた先例がある。しかし、被災地のために増税までした資金を公務員給与に使っているのは意味合いが違うのではないだろうか。また、北海道大学から沖縄大学まで全国各地の国立大学の改修が復興予算で行っていることもわかる。被災地の大学へは46億円だが、389億円は被災地でない大学にばら撒かれている。

  7. 隠れた流用事案も多かった 取材を進めると、予算書の「等」といった表記に隠れて、明記されない流用事案も多く見つかった。例えば国会議事堂のシャンデリアのLED取替えや、内閣府の霞が関合同庁舎4号館の建て替え費用など、永田町・霞が関を始め全国で潤沢に復興予算が国家機関の総リフォームに使われていたのである。これらのとんでもない流用への隠れた意図は、震災から間もない2011年7月、復興に関する基本方針を決めるために開かれた「復興構想会議」の初日にはすでに顕在化していた。

  8. 当時の菅直人首相から五百旗頭議長へ渡された諮問書には、「被災地域の復興なくして日本経済の復興はない。また、日本経済の再生なくして被災地域の真の復興はない」と記載されていた。韻を踏んだポエムのような一節ゆえに、一見、深い意味がなさそうに見せながら、この後、この一節が政府の復興基本方針のひとつとして正式に採用され、いわゆる流用を正当化する免罪符となっていた。流用したくてたまらない彼らにとって最も重要な一節だったわけである。その証拠に、復興構想会議を経て増税がなされた後、これを財源とした2011年の三次補正の概要説明書にいたっては「被災地域の復興なくして日本経済の復興はない」の一節は完全に切り捨てられ、景気対策としての国内空洞化対策を正当化するために「日本経済の再生なくして被災地域の真の復興はない」の言葉だけがアピールされていた。

  9. 税金は「当事者」に届かない 税金の使途を取材していると、いつも思う。残念ながら、税金は「当事者」のところにはほとんど届かない。税金を引き上げたいとき、新規事業を作りたいとき、そのダシとして彼らが利用されることはあっても、税金が困っている当事者に届くまでに大半は中抜きされ、跡形もなくなっている。「当事者に届かない」例として言えるのは、復興予算には当事者を直接支える予算は圧倒的に少ないということ。復興予算のうち、唯一個人に出るものとして家を建てるために被災者への住宅再建支援という制度があるが、最大でも300万円(全壊)しかない。これは復興予算19兆円で計算しても全体の2%に満たない。対象となるのは全壊と半壊だけで「一部損壊」は対象にすらなっていない。

  10. それでも、300万円でももらえるのはまだマシだ。震災直後にオープンしたての店が被災し、二重ローンに苦しむ被災者から聞いた話だが、一度でも過去に税金の滞納があれば、被災者であったとしても、そもそもあらゆる助成の対象外なのだという。経営に苦しんだことが一度でもある人はそもそも救済の対象とならないということだ。復興交付金も5省40事業に限られていて使い勝手が悪い。例えば、限定的に2~3軒家だけで嵩上げするような予算はない。あっても、崖が近くなければもらえない「崖近接事業」などしかないのだ。復興庁にこれを聞くと、個々の家の嵩上げのような事業は「個人資産の形成」につながるため、原則的には使えないのだという。国は個人への保障を手厚くせず、インフラ整備に何兆円もの復興予算が投じてきた。しかし、区画整備事業に指定されたエリアは何年間も建設禁止区域にしてしまうので、街の機能が事実上停止してしまっていた。造成が終わるころまでには、人口が減って、そこには住民がいなくなるのではないかと思っていたが、どうやら思ったとおりになっているようだ。被災3県では、嵩上げが終わった造成地は3分の1が未利用のままとなっているという。そもそも何年も待った上、何もない更地が提供されても、家を建てる費用が十分になければ建てることなどできない。嵩上げして造成した土地は津波にも弱いだろう。

  11. 国は「身内」、個人は「他人」 被災地の話は、私が東京で聞いていた復興予算の話とはあまりに雰囲気が違った。銀座で会った会社経営者は「私は被災地ではありませんが、地震で自社工場が一部破損したんです。それを申請書に書いたら通るよと聞いて、言われるがまま書いてみたら、復興予算から3000万円がもらえた。本当にラッキーでした」と言っていた。被災地の個人はダメだが、被災地ではない法人なら青天井でOKということなのだろうか。「わたしは商社マンですが、あの頃は申請さえすれば復興予算と関係なくても、あらゆる補助金がもらえるらしいと業界では随分話題なりましたよ」など、被災地の深刻さとは全くの別世界で喜んでいる人たちがいた。復興予算流用事例で見られる国家のロジックは、「復興予算はあくまで国のカネ」であるということ。国は「身内」であり、個人は「他人」なのである。他人が自分の財布を使うのはひどく厳しい条件をつけるが、自分の身内なら、海外のイベントに使っても宇宙事業に使っても差し支えないということのようだ。

  12. 税金は困っている人に届くのではなく、受給テクニックに手慣れている人たちに貪り取られている。残念ながら、これがこの国におけるあなたの税金の使われ方の現実なのだ。

もっとも税金はこんな使われ方をしている2(2014年とだいぶ古いが):国民がきちんと知らされていない消費税増税使途 - シェイブテイル日記2 (hateblo.jp)

  1. で、現実に新年度で増加する費目を書き加えたのが図表1右です。

  2. ひとつは国家公務員などの給与大幅増に使われます。

  3. ”国家公務員給与の特例減額、14年度は延長せず 日本経済新聞 2014年11月7日”

  4. これは東日本大震災の復興財源を捻出するため、国家公務員給与を平均7.8%減額していた特例措置を2014年度以降は廃止するというお話です。 民間給与が400万程度で、それが更にデフレで年々下がっています。福利厚生まで入れればほぼ2倍の国家公務員給与を更に一挙に7.8%上げようというのですから、お手盛りもいいところですね。

  5. またもうひとつは輸出戻し税です。

  6. ”戻し税 −どこか腑に落ちない輸出企業への消費税の還付 President Online 2013年2月4日号”

  7. これは輸出戻し税という制度の存在自身は致し方ない面はあるものの、消費税率が上がれば上がるほど輸出企業への還付が増えます。現在の5%税率で3兆円の戻し税とすれば、8%なら4.8兆円、10%なら6兆円もの金額が社会保障費とは関係がない輸出企業の懐に入ります。 消費税が上がれば上がるほど輸出企業の懐が潤うのですから、輸出企業トップが消費税増税に熱心なのも肯けます。トヨタ自動車など輸出比率が高い企業に至っては、消費税は制度開始以来、実質まだ1円も払ったことがなく、常に数千億円もらう立場などといわれています。

  8. いずれにしましても、これら2つの使途、公務員給与と輸出戻し税を、「社会保障費に充てる」と言うのはいかがなものでしょうか。

  9. もうひとつ、消費税増税分を国債費に充てていることも報じられています。これもまた「国庫負担」の話と同じく、増税分を社会保障費に充てるという約束に反していますね。

  10. その上、増税して得られた歳入をいきなり国債費に充てるならば、国債が民間を循環するマネーの裏付けになっているのですから、増税分を民間マネーを直接減らすために使うことにもなります。家計や企業が折角稼いだマネーが消費税として国に支払われるところまではまだ良いとしても、その使途の一部がマネーを無に戻すこと、というのはいかがなものでしょう。デフレ脱却に必要なのは民間に回るマネーを増やすことです。それとはまるで逆の目的に私達の消費税の一部が使われてるということにもなります。個人的には消費税そのものに対して必ずしも反対はしませんが、新聞報道内容などをみると、本当の使途を国民に知ってもらってその是非を問うという民主主義的手順が踏まれているのか、極めて疑問です。

  11. まあ、日本が壊れていっていた時期なので。

減税はしませんが補助金出します(税金から):「悪い経済対策のお手本だ」ガソリン補助金に批判 激変緩和策が一転 [ウクライナ情勢]:朝日新聞デジタル (asahi.com) 2022.04.23

  1. 物価高騰への緊急対策で、政府・与党が拡充の方針を決めたガソリン価格を抑える補助金。一時的な急騰を和らげる制度だったはずが、夏の参院選を前に「値下げ政策」に様変わりした。需給で価格が決まる市場の仕組みをゆがめ、脱炭素の流れにも逆行しかねない。バラマキだとの批判の声も続出している。自民党本部で22日にあった非公開の会合では、補助金の拡充を歓迎する声が相次いだ。党経済成長戦略本部長の小里泰弘氏は会合後、「いまはまさに緊急事態。通常にない対策が必要だ」と意義を強調した。拡充案は、補助金を1リットルあたり最大25円から35円に引き上げ、価格を抑える目標を1リットル172円程度から168円程度に引き下げるというもの。4月までだった期間も9月まで延ばす。2月24日に始まったロシアのウクライナ侵攻で原油価格が高騰したことで、ガソリン価格も各国で上昇している。英国では、侵攻前の約227円から1カ月で約27円上がった。


by T. H.

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[1] Materials/Electronics

[2] Electrochemistry/Transportation/Stationary Energy Storage

[3] Power Generation/Consumption

[4] Life

[5] Life Ver. 2

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[1] Materials/Electronics

(1) Dynamic Narrow Depletion

  1. Fermi Level | LinkedIn

  2. 経済/民主主義 VII | LinkedIn

  3. 経済/民主主義 VIII | LinkedIn

  4. 経済/民主主義 IX | LinkedIn

2004年の仕事だが、

  1. Charge Neutralization Levelより深いDeep Midgap Statesからの逆バイアス下でのelectron detrappingによるDynamic Narrow Depletionと

  2. その結果であるTunnelingを扱ったのであった。

バイアスがかかる前にはイオン化されていない深いDonor-Like Statesは例えば半導体内の格子欠陥である。ペロブスカイト型酸化物の場合は、FujishimaがLower Hubbard Bandの前駆体と呼んでいる状態が有るが、ここに酸素欠陥の電子欠損を中和する電子が入ると文字通りのDeep Donor Statesになる。

(2) 光誘起XY型超電導相転移

  1. Vacuum Polarization, Polaron, and Polariton | LinkedIn

  2. 経済/民主主義 I | LinkedIn(LaAlO3/SrTiO3界面の二次元電子ガスの話。極低温だが、超電導/強磁性/スピンー格子結合に言及。)

  3. 経済/民主主義 VII | LinkedIn(極低温だが、ヘリウム薄膜の 2次元 XY 系BKT 相転移(Berezinskii-Kosterlitz-Thouless transition)の話。)

  4. 経済/民主主義 VIII | LinkedIn(2022年にやっと二次元半導体MoS2への光誘起超電導相転移の可能性に言及されるようになってきたって話。)

  5. 経済/民主主義 XI | LinkedIn(2016年にDavid J. Thouless、F. Duncan M. Haldane、J. Michael Kosterlitzのトポロジカル相転移がノーベル物理学賞受賞となったって話。)

2005年に俺の提唱していた処方は以下のようになる:

  1. ポーラロン直径と同程度のスケールの膜厚を持つ薄膜を相転移後の導電層として形成する。

  2. エピタキシャル成長させる基板が必要だが、薄膜よりバンドギャップの大きな材質とする。

  3. 薄膜のバンドギャップを超えるが、基板のバンドギャップを超えない程度の波長の光を照射して薄膜だけに電子ドープする。

  4. 同時に薄膜の特定格子振動を励起するような遠赤外線を照射する。この特定格子振動が、二次元平面内でrotationalなlattice vibrationであれば二次元平面内で渦状の適度なサイズで協奏的なlattice vibration(s)を励起できるのではないか?これと光ドープされた電子とが結合すればXY型の超電導相転移を起こせるのではないか?ということを検証したかったのである。

  5. 基板は薄膜に反強誘電性が生じやすいモノにして、電子励起によってこれを「融かす」とさらに良いのではないかと考えていた。

経済/民主主義 VIII | LinkedIn(2022年にやっと二次元半導体MoS2への光誘起超電導相転移の可能性に言及されるようになってきたって話。)が本物の二次元であるのに対し、俺のはポーラロン直径とだいたい同じくらいの膜厚にしたってだけの疑似・二次元なんだが、わりと疑似ってところに却って萌えるところが俺には有る。まあ、変態さんの素質は有るのかもしれない。

[2] Electrochemistry/Transportation/Stationary Energy Storage

(1) リチウムイオン電池工学§0

  1. Electrochemical Impedance Analysis for Li-ion Batteries | LinkedIn

さて、§0としたのは基礎の基礎って意味だが、

  1. インターカレーションマテリアル(活物質)の固体内拡散は十分速い。

  2. 電極内空隙を埋める電解液中のリチウムイオン拡散が律速段階となっている。

  3. linearな劣化はSEI形成による不可逆容量だが、正極にリチウムイオンが返ってこないので正極が劣化してnon-linearな劣化が始まる(HEVの場合は特に正極活物質粒子表面がabuseされがちなので表面相転移が劣化原因となる。ゆっくりとたくさんのリチウムイオンを引き出せばもちろん粒子内部まで劣化する。負極でリチウムデンドライトが析出するのは黒鉛粒子変形による電極空隙閉塞が原因だ -- Vehicle Electrification & Renewable Energy Shift I-LXXXI (2022)で説明しておいた。)。

  4. 電解液よりイオン伝導度の高い硫化物固体電解質を使えばインターカレーションマテリアルの早い応答性能をもっと引き出せる。SEI形成も無くなり寿命も基本的には伸ばせるはず。

あたりをおさえておけばよい。以上だ。

新しい動向については経済/民主主義 I | LinkedInから続くシリーズでも時々説明している。

(2) 燃料電池にはあんまり興味がない

  1. Electrochemical Impedance Analysis for Fuel Cell (2020).

  • 一応、基礎は説明しておいた。まあ、どうしたって制御のほうが大事になるがな。

  • それよりは、ほぼ全量輸入している天然ガスを改質して使う燃料電池を普及させようとしている馬鹿をどうやったら駆除できるかなって考えてた。

[3] Power Generation/Consumption

(1) 再エネは2019年レベルの規模を維持するだけで、省エネ技術と人口減少(と言ってもまだ人口過密ですが)により2050年には電力の40%を供給できるんだが・・・

  1. Electric-Power Generation, Power Consumption, and Thermal Control (2020).

  • ついでなんで熱力学解説もやっといたわ。ところで、中国製超小型パソコン、性能は悪くなかったんだが排熱設計がイマイチで電池が恐ろしく膨れ上がったわ(笑)。排熱設計もちゃんとやってください。

(2) 再エネを60%にするっつーから「じゃあ、グリーン水素・アンモニア生産と水素・アンモニア火力発電やれ!」ってことで・・・

  1. H2 & NH3 Combustion Technologies (2020).

  • とにかく、やれ。

[4] Life

(1) 家電はひたすら中国に期待しとるがね。

  1. Home Appliances I (2021).

  • ついでにu-BEVと家庭用蓄電池もよろしく。馬鹿高いものは要らない。

(2) コールドチェーンはしばらく日本に商売させてあげて。

  1. Home Appliances II (2021).

  • 家庭用冷蔵庫なんて中国が100%でもいいから。日本のゾンビが煩わしくてな・・・迷惑なんや。


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