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『一斉授業をハックする』から④

 『一斉授業をハックする :学校と社会をつなぐ「学習センター」を教室につくる』において提案されている「振り返りと修正センター」を、定期考査終了後の「テスト直し」の時間に使えないだろうか。そういう記事を書きたい。「振り返りと修正センター」は、本書で提案されている「学習センター」という授業方法の一環であり、バリエーションの一つだ。

 二十一世紀に入ってから二十年以上が経過した。いまでも「テスト直し」という時間はあるのだろうか。私の理解が正しければ、テスト直しとは、教員が採点したテストが返却され、一喜一憂し、その後教師の解説やプリントなどで正答や採点基準が示され、それにそって自分の答案を確かめるという時間である。少なくとも私はそのように理解している。もちろんテスト直しの進め方には教員によってちがいがあるだろう。もしかすると、現代のテクノロジーを駆使した効率的な方法が普及しているのかもしれない。テスト直し、いまどんなふうに行われているのだろうか。

 そんなテスト直しを、生徒たちどうしの創意工夫による時間にできないかというのがこれから私の書きたいことなのだ。その手立ての一つとして「振り返りと修正センター」を使えるのではないかと思う。

 修正プロセスについて、生徒は二つのことを学びました。つまり、診断の機能を果たす「振り返り」と、改善の機能を果たす「修正」という二つの共生的な関係です。学習センターは、自分の作品について熟考したり、修正したり、改善したりするための時間を確保するためにつくられました。振り返りコーナーを選ぶか、修正コーナーを選ぶかにかかわらず、このプロセスは、チーム(誰と組むか)、時間(どれぐらい時間をかけるか)、そして課題(何を振り返るか)という点において高度な自立性を生徒に与えています。

p.207

 この詩的の特徴的なところは、「振り返り」と「改善」を区別している点にあると思う。日本の学校教育における「振り返りの時間」も、こういうふうに機能別に整理すると、その目的が透明化されるのではないか。これを応用すると、試験終了後の「振り返り」と「修正」を生徒たちが意識的に取り組めるようになるような気がしないでもない。

 「振り返りと修正センター」は、生徒たち自らが、総括的評価に備えて他者と協働しながら「自分の作品」のブラッシュアップを図り、学習成果を明確化する時間であるといえる。これを定期テスト終了後のテスト直しの時間に応用すれば、その時間はもっと「高度な自立性を生徒」に与えることができ、生徒の学ぶ力を育てることができるのではないか。テスト直しの時間を、教師主導の一斉授業ではない方法で進めることもできるのではないか。その方法のほうが、単純に学力が身に付くのではないだろうか。

 「振り返りと修正センター」の具体的方法については改めて述べたい。

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