バツイチ/恋愛中/営業職/洋服/ハイヒール/美味しいもの/年下と仲良くなることが多い・…

バツイチ/恋愛中/営業職/洋服/ハイヒール/美味しいもの/年下と仲良くなることが多い・・・ 拙い文章ですが、たくさんの方に読んでいただけたら嬉しいです。

最近の記事

恋の味は何とおりでも ①〈 オシャレ計画 〉

重力にほぼほぼ逆らった寝癖のまま、生真面目にデスクワークを続ける目の前の杉田をぼんやりと見つめていた。 今日は酷い雨のため作業が中止になり、作業着のままオフィスに戻ってきたのだけれど・・・ 顔は決して悪くない。うん。悪くない。 むしろ着こなしや髪型にもうちょっとひと工夫すれば、女性社員の目に止まるくらいの逸材ではある。 あ、あと改善点といえば 必要以上に女性と話さないところと、絶対に目を合わせない、というか話す時に斜め下を向いている。なぜ?そんな、取って食べる訳では無いぞ

    • 〈 短編小説 〉明太フランス 第4話(最終話)

      明太フランス 第3話→ https://note.com/toru_5/n/nb9d9e3be4449 「まいちゃーん!私会計終わったから出てるね!お客さんに電話もしなくちゃならないし!」 意識が飛ぶほどの感覚に見舞われていた私を正気に引き戻してくれたのは、いつも必要以上に大きな声を出す先輩だった。普段だったら恥ずかしくて仕方ないところだけれど、今日ばかりは心の底から感謝した。 コクコクっと頷き、彼女がドアから出たのを見届けてから彼を見上げた。 「それはないっしょ」

      • 〈 短編小説 〉明太フランス 第3話

        明太フランス第2話→ https://note.com/toru_5/n/n53c3f422fb38 「いい宿だったよなぁ、ただちょっと遠いな。往復5時間で滞在4時間ってのしんどいわ。」 「ごめんね、運転もお金もいつも・・・」 「うるせーな、いいんだよ俺は男だし、まいは甘やかすって決めてんだ」 すっかり暗くなった帰り道、高速道路を走りながらたわいも無い話を続けていた。 聞きなれた愛しいはずの声は少し遠くに響いて、私は窓の外に見える都会とも田舎とも言えない街並みの灯りをみ

        • 〈短編小説 〉明太フランス 第2話

          明太フランス 第1話→ https://note.com/toru_5/n/n928f743bc006 結婚していることはわかっていたし、していても関係なかった。 タカシはいつでも私の欲しい言葉をくれて、熱くなるほどみつめてくれて、痛いくらいに愛してくれたから。 ただ、それは月に1日程度取得できるタカシの平日休みの日に限るけれど。 その「お楽しみデー」は朝から彼の車で出かけて、ドライブしながら美味しいランチをとり夕方まで愛し合うのが定番だった。 その度に彼は 「奥さんとは

        恋の味は何とおりでも ①〈 オシャレ計画 〉

          〈短編小説 〉明太フランス 第1話

          「まいちゃーん、ねぇ寄っていい?お腹すいたしさ、奢るよ」 いつも必要以上に大きい声の先輩が私は嫌いだったのでできればさっさと帰りたかったのだけれど、ピンクがかったレンガづくりの建物を見て 「あー、いいですよ。自分で買いますし、ここのパン美味しいから寄りますか」 とハンドルを左に切った。 天気のいい土曜日10時に先輩と仕事が入り渋々得意先に向かったのだが、一応話はいい方向に向かったので機嫌は少し直っていた。 ただやはりこの先輩はどうしても苦手なので、終わったら早く別れようと思っ

          〈短編小説 〉明太フランス 第1話