〈短編小説 〉明太フランス 第1話
「まいちゃーん、ねぇ寄っていい?お腹すいたしさ、奢るよ」
いつも必要以上に大きい声の先輩が私は嫌いだったのでできればさっさと帰りたかったのだけれど、ピンクがかったレンガづくりの建物を見て
「あー、いいですよ。自分で買いますし、ここのパン美味しいから寄りますか」
とハンドルを左に切った。
天気のいい土曜日10時に先輩と仕事が入り渋々得意先に向かったのだが、一応話はいい方向に向かったので機嫌は少し直っていた。
ただやはりこの先輩はどうしても苦手なので、終わったら早く別れようと思っ