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相続対策も家族の信頼があってこそ!

第22回 相続対策会議

相続関係のお話しをすると、多くの方は「財産の分け方」についてイメージします。「だって、そうでしょ・・・。」と呟きが聞こえてきそうですが、少し、この考え方を変えていただきたいと思います。

以前、とある家族が相続について相談。奥様、子供が3人です。ご主人様が亡くなられたということで、遺品の整理をしていたときに「遺言書」が出てきました。しかも、「公正証書遺言」という「遺言書界最強の遺言書」が出てきました。
ご家族は、この遺言書について「法的な対応」の相談に来たのです。
というのも、ご家族は、初めから、この「遺言書界最強の遺言書」として作成された遺言書に従いたくないと申し出たのです。

「なぜですか?」とお尋ねすると

奥様が代表して、次のようにお答えしたのです。
「主人は、元気なころから自分中心で物事を考える人でした。私や子供ことを考えていると言っても、自分が自慢したい、体裁を気にする、自分の手柄にあする、という感じでした。
子供たちも、自分の勧める学校以外は行かせたいと無理やり学習塾や自宅での勉強をさせていました。
とにかく、家族中が、主人に反発的になっていったのを実感していました。
しかし、主人は暴力こそ振るわないのですが、ひどい言葉の連続でした。
病気になってからは、通院、入院、手術などもあり体力的にも落ち込んでいたのですが、口だけは変わらず・・・。」
長らく辛抱されていたのでしょう、一言が出たとたんに多くの不満を述べられました。
私も聞いてはいましたが、同情することも多くあり、遺言書の件について、家族皆さんの希望を尋ねました。
「遺言書に従わなければならないのか否か」という内容の話しをされました。
簡単な話しですが、遺言書を守らないと法的な対応などがあるのか?というもの。
結論としては、遺言書の内容を相続人全員がNOであれば、「遺産分割協議書」による財産の分割が可能なのです。
その点を説明させていただきました。
その説明を受けて、ご家族はホッとした様子でしたが、草葉の陰ではご主人さんは嘆いているかもしれません。
しかも、このご家族は、父の名前が付いたものは要らないと主張。しかし、奥様の今後の生活を考えてくださいと説明したところ、不動産等を換金し、そのお金で、新たな住まいを見つけるという流れへと変わりました。

家族に対し良かれと思う行動が、すべて良い結果につながっているかと言われれば、そうではありません。
今回の話しのご家族は、父親への不満を持ち始めたことを解消せずに長らく過ごしてきた結果、父親の言動すべてを拒絶するような事態に至ったのだと思われます。
遺言書を作成したことは、家族のためにと思っての行動であったと推測します。また、遺言書の内容は、いろいろとお考えになったものと思いますが、家族全員がNOを突き付ける結果になったのは残念です。

「家族で仲良く」というのが、非常に難しい今日ですが、家族であっても一方的な振る舞いは許されない時代であるとも考えます。
家族内でのDV、ハラスメントも起きているようでは、家族からの信頼など得られません。

相続対策を検討している方へおススメです。
相続対策の内容を外部の方から進言される前に、家族内の信頼関係について確認しませんか?
どこかで、綻びはありませんか?
長らく連絡が取れていない家族はいませんか?
年末年始には、家族と集まり、いろいろなお話しをしてください。
孫ばかりに、時間とお金を使うのは止めて、子供にも意識を向けてください!
お金ばかりではなく、本当の信頼関係の構築も相続対策のひとつ!

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