Vol.2-#18 ある出来事
兄が家を出た。
これまで兄と2人で使っていた部屋にはジャミ子1人となった。
母親の再婚相手ベジータとのいびつな共同生活も、気付けば6年目を迎えようとしていた。
母とベジータが再婚したとき12歳だったジャミ子も今では17歳。少女から女へと、大人の階段を登る君はまだシンデレラさ。
そんなピチピチはちきれそうな17歳の夏の夜、ある出来事が起こった。
夜、寝ていると、人の気配を感じた。
暗闇の中で目を開けると人影が自分に近づいてきた。静かに、静かに、その人物はジャミ子の履いているズボンに手をかけ、両手で脱がし始めた。
このとき、
ジャミ子は非常に冷静だった。
「起きてるけど、何してるん?」
ベジータは凍り付いた。
かの有名なイチローは言った。
「冷静な人間には絶対に勝てない」
全米を骨抜きにしたイチローと同じかそれ以上の冷静さを持って、ジャミ子はベジータを見据えた。
動揺するベジータ。冷静なジャミ子。
慌てて部屋を出ていくベジータ。ズボンを履き直すジャミ子。
トイレに駆け込み心臓バクバクのベジータ。そっと目を閉じ再び眠りにつくジャミ子。
…大事な事なのでもう一度言おう。
冷静な人間には絶対に勝てない
もし、ジャミ子が動揺したり声を上げていたとしたら、、ベジータは力づくでジャミ子を黙らせ襲っていたかもしれない。
決して相手を刺激してはならないのだ。
ジャミ子は自らの冷静さを持って、男に強姦される事なく朝を迎えた。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?