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Vol.2-#38 ハネムーン紀行⑤

キット、首をカットされても大丈夫!


「世界で一番美しい街」と言われるチェスキークルムロフ。
プラハからバスで3時間。膀胱は破裂寸前。

ステキすぎる街並み


ちょうど12時。ランチタイムだ。夫婦はガイドブックに載っているお店に行き、席に案内された。すると同じタイミングで隣の席に一人の男性客が通された。

少しの間が空いた後、先ほどとは違う店員が来て隣の男性客に話しかけた。
恐らく、以下のようなやり取りが行われた。

(店員)「予約していないならこの席は使えないわよ!」
(男性)「ノー!さっき別の店員が通してくれたんだ。勝手に座ってる訳じゃない!」
(店員)「そうなのね、ごめんなさい。今日は忙しくて…」
(男性)「分かってる。大丈夫だ。」

海外で働く人々は、各自の判断で接客している印象がある。その場その場で相手に応じたやり取りが生じるため、主張しなければ生きていけない。
ーーその現場を目の当たりにしたような気がした。

グリル料理に定評があるレストラン


たくましい男だ…。

メニューを見ているフリをしながら、ジャミ子は隣をガン見していた。
だってそのメニューに写真はなく、英語なのかチェコ語なのかも分からない文字が躍っていたんですもの。

グーグル翻訳を駆使して読み解こうとしていると、そのたくましい男に日本語で話しかけられた。
「お手伝いしましょうか?」

日本人だったのか!ジャミ子は即答した。「お願いします!」
ガイドブックに載っている料理と、チェスキークルムロフ産のビールを注文してもらった。

豚ヒザ肉のロースト(左)と牛肉ステーキ(右)。
左の肉にナイフがブッ刺さっている。


男は20年以上、海外で生活しているという。
日本で大学を卒業後、自衛隊で少し働き、台湾の大学へ。そしてチェコ、フィンランド、ポーランドの大学院でそれぞれ1年ずつ学んだ後、ドイツのIT企業で働いていたものの、最近、クビになったそうな。

(男 性)「僕は年中フリーランスみたいなもんですよ」
(ジャミ)「お~良いですね!」
(男 性)「良くないですよクビになったんですから!」
(ジャミ)「ほぅ…クビになったのに旅行ですか」
(男 性)「クビになる前に予約したんですよ!」

そんなやり取りをした。

500グラムのステーキを特大ビールで流し込みながら、男は色んな事を教えてくれた。
”ポーランドはビザなしで長期滞在でき、チェコより古い建物も残っており、旨いラーメン屋もあり、物価も安くてオススメ”とのこと。

食事を終え、一足先に立ち去ろうとする男に向ってジャミ子は叫んだ。
「お待ちください!」

日本から持ってきたキットカット抹茶味を渡した。

友好の証、キットカット。


食後はお城で熊に会ったり、教会で聖歌隊のコンサートに出くわしたり、色々と遭遇したのだが、、この男ほどのインパクトはなかったため割愛しよう。

城とクマと聖歌隊と城

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