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#オリーブストーリー 早摘ノベッロへの想い

こんにちは!南イタリアでオリーブオイルを作っているYurie(@YurieAdachi)です。今日の #オリーブストーリー  は、明日から今季の予約が始まる私たちのノベッロ、ORIGINについてです。

ノベッロって?

まずは簡単にノベッロについて説明します。ノベッロはイタリア語で「新しい」という意味があります。ワインに例えると簡単なのですが、ボジョレーヌーボーと同じで、その年の初モノのオリーブオイルになります。

通常、ノベッロはオリーブオイル生産者ぐらいしか味わうことができないのです。それもそのはず、その年の初摘みなので、皆さんの手に届く頃には、ノベッロのオイルと1月など後期に収穫したオイルがミックスになってしまっているのです。ノベッロを味わえるのは、ノベッロの季節、つまり早摘みの季節にオリーブオイル工場にいて味見ができる人、つまり生産者ぐらいなのです。

言葉ではお伝えできないのがもどかしいんですけど、ノベッロの季節にオリーブオイル工場に入ると、すっごい辛くて目を開けることができないんです。本当にゲホゲホむせる。これは私の作っているオリーブオイルの品種だからなのかもしれませんが、ここは四川料理レストランか?!ぐらい辛いのです。

ノベッロって、はっきり言えばただのオリーブオイルなんですけど、本当に普通のオリーブオイルとは味が違う気がするのです。多分それは、1年待って初めて味わうオリーブオイルだからなのかなと思います。きっとボジョレーヌーボーと同じように、長い1年を待って、やっと新しいワインが楽しめる、そのワクワク感がイタリア人のオリーブオイル魂にもある気がします。

なぜノベッロを作ろうと思ったのか

ノベッロを作ろうと思ったきっかけは、とってもシンプルで、この生産者しか味わえないオイルを、遠くにいる家族友人に届けたいと思ったからです。このノベッロを作ろうと思ったのが、コロナでした。イタリアでも感染者が確認され始めてきた時、ノベッロのイメージは少しづつできていたのです。でも本当にやってみようとなったのは、イタリアがロックダウンしていた3-5月。5月の日本への一時帰国を断念しました。そんな中、オリーブオイルは問題なく輸出できていて、もし人の流れが止まったとしても、オリーブオイルを届けることはできる、この味を遠く離れた愛する人まで届けたい、そう思ったのがきっかけでした。

ノベッロは通常濾過はしません。オリーブオイルジュース本来の味をお届けするために。でも私たちは濾過することを選びました。それは濾過することによって、ただただ呑んだときにパワフルなノベッロではなく、香りも楽しんでもらいたいと思ったからです。濾過前のオリーブオイルには、土や水分なども含まれています。そのため、味には雑味が出ます。そして色はどうしても濁りがち。私たちはプロジェクト当初から、透明の瓶を使いたいと願っていました。

通常、透明の瓶を使うことはオリーブオイル業界ではタブーです。それはオリーブオイルの宿敵は光だからです。光や日光は、オリーブオイルの最大の敵、酸化を進めてしまうからです。

でも、私たちはどうしても透明瓶で作りたかった。オリーブオイルの常識を覆したかった。ノベッロ本来のエメラルドグリーンを、たった短い期間でも、箱を開けた瞬間に楽しんでいただきたかったのです。

3つの笑顔

私たちがノベッロを作ったときに、一番願っていたこと。それはこのノベッロが愛する人のところに届けるということ。コロナ禍で生まれたこのオリーブオイルを、今は会いに行けないけれど、遠くにいても美味しさを一緒に分かち合える、それを目標に作りました。

会うことができないからこそ、次の「3つの笑顔」を頭に浮かびながら作りました。

1つ目の笑顔は、箱のデザイン。オリーブオイルの瓶には、大体オリーブの絵があったりするのが普通だと思います。私たちのノベッロには、なぜかオリーブの花が。それは名前ORIGINにも由来していますが、オリーブオイルの始まり「開花」をイメージしてオリーブオイルを作ったからです。オリーブは見たことがあっても、オリーブの花を見たことがある方は少ないと思います。だから見た瞬間、オリーブの花ってこんな可憐なんだな、と笑顔にできたらと想いデザインしました。

2つ目の笑顔は、箱を開けた時のオリーブオイルの色。前の章でもお話ししたように、普通オリーブオイルの色は瓶を開けるまで見えません。箱を開けて、なんて綺麗な自然の色なんだろう、そう笑顔が溢れてくれたらな、と思って透明瓶にしました。

3つ目の笑顔は、オリーブオイルを味見したとき。今まで食べてきたオリーブオイルをイメージを覆すそんなオリーブオイルをお届けできて、そして味見して、このために1年待って幸せだ、と笑顔をお届けできていたら、私たちのプロジェクトは成功です。

初めてのオリーブオイルへの挑戦

実はこの”ORIGIN”は私が携わった初めてのオリーブオイルです。Le Petrulleというオリーブオイルは、私がラベルを作ったわけではなく、元々あったプロジェクトを私が引き継ぎ、最大限クオリティを上げただけにしか過ぎません。でもORIGINは、オリーブオイル作りはともかく、デザイン、イメージ、ラベル作り、全ての工程を私が担当しました。だからすごく思い入れがあります。

全て手摘みで行い、朝日が登る時間から4時間ほどしか収穫をしません。そのたった4時間で収穫したオリーブで作るオリーブオイルが私たちのORIGINです。いろんな人から反対を受けました。イタリアで手摘みなんて本当に馬鹿げてる、とか、透明瓶なんてすぐ劣化するからやめておけ、とか、そんなに早く収穫してもオイルは取れない、とか。普段働いてくださっている長年の従業員の皆さんにとっても、初めての経験で、指導することも正直すごく難しかったのです。これだけ努力しても、オリーブオイルはほんの数滴しかできない。効率が悪すぎると。

でも出来上がったノベッロを味見してもらったときに、こんなに美味しいオリーブオイルは、200年の歴史で初めてなんじゃないか。こんなオリーブオイルができるのなら、来年はもっと頑張ろう、と最高の褒め言葉をいただきました。

今年もきっと同じようにいろいろな苦難が待ち受けているはず。でもできたノベッロを味見すること、そして遠く離れた皆さんのところに届けることの方がワクワクで楽しみでたまりません。

今年の予約開始は9月21日。お届けは11月上旬を予定していますが、オリーブは農作物。気温が下がらないとオリーブオイルはできないので、こればかりは天に祈るのみ。皆さんも一緒に祈ってくださいね。

ご予約はツイッターにまずご案内します。私のアカウントをチェックしていてくださいね。

長い文章になりましたが、最後まで読んでいただけて幸せです!

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