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「最終回のストーリーは初めから決まってたとしても 今だけはここにあるよ」アニメ『平家物語』と2022年大河ドラマ(三谷幸喜は監督ではなく脚本)「鎌倉殿の13人」

わりかし似通ったテーマで書かれている方も多いので、
私もこのあたりで1本書いてみようかと。

「鎌倉殿の13人」に関しては2年ほど前から楽しみには
していました(朝日新聞の夕刊で三谷幸喜の連載は当初から
読んでいるので)。

大河としては「いだてん」以来の視聴。かつ今回は事前番組や
「チャリダー」の特番なんかも視聴済み。
三谷大河は「新撰組!」を観なかったけど、「真田丸」は観ていたと。

基本的には視聴した後「#鎌倉殿どうでしょう」と歴史速報あたりの
感想戦を大体観て過ごす、といふルーティンになるでしょうか。

他方アニメ『平家物語』で山田尚子作品は京都で「寅さん」ならぬ
松竹的な「鳥さん」やってた『たまこまーけっと』以来になるでしょうか。

事前番組もチェックしていましたし、なんとか(遅延・順延はありましたが)全話視聴することは出来ました。

【音響監督】木村絵理子、ではあったのでキャスティングの素養部分に
期待はありませんでしたが、それでも力の入っている作品で、主立った
粗相はなかったような(ただ毒電波ハヤミン、という有害物質を出す人、
がいたりもしたので、その辺りに感情移入する部分が視聴していて
欠け落ちたのは、個人的には「残念」でしたが)。

まあそのあたりの欠落要素は
【キャラクター原案】高野文子【脚本】吉田玲子と、
びわ◆悠木碧(プロ・フィット)→[青二(2022.01.01-)]
で十二分にお釣りが来るほど満たされたので。

やはり同じ「あっぱれさんま大先生」組でも大沢事務所に行った
◆花澤香菜(かなちゃん)◆日高里菜(りなちゃん)に比べて
近年ではプロ・フィットの継承問題に巻き込まれた中青二に移籍した
悠木碧の実力と名演が真に発揮された作品だったともいえる。
(その対比の日常の只中にいる『川尻こだま』が出来ててかつCM
(『平家物語』のCM中)にも流れ出てくるカオスが成立している
のもまた悠木碧の成せる業かなあと)

https://m.youtube.com/watch?v=xBkxgA6Km8I

2つの作品をクロスオーバーしながら観られる時期が長かったので、
一番教養的に栄養になる部分があったとするのであれば、
それはなんとなく覚えていた物事のディテールと解像度が
よりくっきりとしてくること。


後白河法皇の「遊びをせんとや生れけむ」

「今様」を歌うフレーズが「遊びをせんとや生れけむ」。
後白河法皇が編纂したともされる梁塵秘抄に出てくる、とは
一応習うフレーズですが、こう出してくるかと。

「遊びをせんとや生れけむ、戯れせんとや生れけん、
遊ぶ子供の声きけば、我が身さえこそ動がるれ。」

でしたっけ。『平家物語』EDの平家武士ラップともども
こうした形で提示してくるとまた観方が違ってくるなあと。

「鎌倉殿の13人」でいえば昨今話題の「鎌倉幕府成立年」に
関する「年号覚え」という徒労作業の一種が最近変異している、
といふその根本的な理由がちゃんと「鎌倉殿の13人」で提示
されていること。

その前提で「壇ノ浦の戦い」が西暦換算だと1185年になる、
はこの2つの作品でしっかり覚えこまされたような。

で、「いざ鎌倉!」後の1183年、って説が有力説の一つ
になっている、といふことは【第12回・亀の前事件】の際に
出てくる「寿永二年十月宣旨」。

「京都の皆さん、東国からの年貢が入ってこなくてお困り
でしょう。私が代理で徴収をやってさしあげますからお任せ
くださいませ。もし年貢を出さない不埒者がいたら私が
やっつけますのでご安心ください」

といふ宣伝文句で朝廷を動かすツボを会得して東国の軍権の
公認をしてもらう「御題目」が出来たのがこの年。
「壇ノ浦の戦い」で平家が滅び守護地頭を設置した1185年を
成立年にしている勢力が最近強くなってるのでレキシの
サポートで「足軽先生(いとうせいこう)」が「いいハコ
作ろう」とか唱えはじめた、ってのがこれまた一つ。
https://m.youtube.com/watch?v=Ixn3RWMUAh4

それから「独立」を言い始めて平将門が挫折したのを踏まえて
官位コレクションをしていた頼朝の治世時にゲットした
令外官の征夷大将軍が一番効果的だったので、その征夷大将軍を
貰った年が1192年になるから、本質的には1192年説で
別にいいんじゃないかな、とは思うけど、どう揺れてるかの
材料が全て提示されているのはよくわかったな、と。


あとは「鎌倉殿の13人」でいいキャスティングの何人か、を
取り上げてここを締めますか。

声優部門は木村昴から始まって何人かいますがやはりここは
「おがちゃん」かな(昔Eテレでもおがちゃん、で出てたこと
はありました)。ところどころ裏被りでもあるんだけど、
(ポツ一でキートン山田から引き継いだナレーション担当)
◆緒方賢一[BAO]の僧侶役がなかなか良かったような。

お笑い部門はやはりティモンディ高岸。
仁田忠常役は美味しいだけでなく「やればできる!」まで
まんまやらす胆力の特徴的な声質は流石。

往年の三谷俳優部門ではココリコ田中(田中直樹)でしょうか。
九条兼実役は適役。昔は「みんなのいえ」で主役に抜擢
されたり、映画「逆境ナイン」とかにも出てましたが、
「最近はめっきり呼ばれない」ってコメントもあったので、
ここでの起用はなかなかいい感じだなあと。

まあぼちぼち大泉頼朝はウイリーしそうですけれども、
そこからの小栗義時の覚醒がこれからの見どころにはなるかと
思うので。なんとか完走はしたいかなと思っている次第。

因みに冒頭に入れたのはアニメ『平家物語』OPの「光るとき」
に描かれたフレーズ。同じソニーの連綿からPSY・Sを
想起する人もおられたようですが、そのくらいの瑞々しさは
あるなと。

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