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初めてのナンパ

小学生から中学2年生まで
夏休みは毎年、千葉県の鵜原海岸というところへ家族旅行へ行っていた。

正確にいうと、家族旅行ではこの海にしか行ったことがない。
当時、江東区の推薦の民宿が鵜原海岸にあり
もう江東区に住んでいる庶民の夏は
鵜原海岸から始まると言っても過言ではないくらい
それくらい賑わっていた。

正直な話、中学生の私は
家族と旅行なんて行きたくない
普段、家族の中がぎくしゃくしていても
そのときばかりは、なんとなく空気を読んで
楽しい。
楽しんでいる子供。を演じなければいけない気がしていたからだ。

中学生の時に学校指定の紺色の水着を購入していたから、胸のところに
白い布を貼り、名前をマジックで書いてあるもの。

それを旅行へも持って行くしかない。買ってもらえなかったからだ。
でも、それを着たくないから海には入らない。という選択肢もなく私は妹を連れて海に行く係。
あの水着は本当に恥ずかしかった。
でも、こんなのなんとも思わない。人がどんな好奇な目でみても気にすることない。とずっと心の中で呟いていた。

中学二年生の夏休み。
鵜原海岸について、妹と3人で海を見に行くことになった。
宿から海までは坂を降りていく一本道。
その道の両脇にも民宿が並んでいた。

私は、宿についてからビーチボールを膨らました。それを両手にかかえ、妹と海への道を歩いていた。
するとどこからか
「かわいい~‼️」という声が降ってきた
思わず声のする方、左の頭上を見上げるとまた
「かわいい~~‼️」とさっきより大きい声が。
大学生くらいの男性2人と目が合った。

キョロキョロ見渡しても私と、小学生の妹二人の他にはいない。

私のこと??まさかね。

まっすぐ前を向いて海への道を降りていった。
恥ずかしかったからだ。
まだなにか声がする。でも後ろは振り返らなかった。

私は、左目はパッチリとした二重なのに右目は、一重のような奥二重のようなかんじだった。

でもその日、寝すぎなのか、寝なすぎだったのかわからないけれど
私の右目がパッチリ二重になっていたのだ奇跡的に。
だから可愛かったみたい(笑)

人から可愛いなんて言われたことがないし
家のなかで誉められたこともない私は
いつも自信がない

可愛い?可愛い。。。可愛い??
ずっと頭の中で繰り返しすこしにやけていたような気がする
なにもなかったように振る舞いつつも。

その翌日の夜、海岸で花火大会があるということで
また妹二人を連れて海岸へいき
砂浜に降りる所にある広い階段に腰をかけ花火をみていた。

すると、どこから来たのか
男性4人が近づき、その中でもイケメンの二人が私の両隣に座った。

???なにこれ。
心臓がドキドキした。
なにか話しかけられ、あ~昨日、上から声かけてきた人たちだ。とすぐに気づいた。

色々話をふってくるのに私は緊張して頷くくらいしかできない。
一緒に花火しない?と言われたけれど
したい。ともしたくない。とも
なんにも言えない。
ただただ緊張して固まってしまった。

私からは、なにも話しかけなかった。
一番身近にいる男性があの、父親なのだから、私は男性が怖かったのだ。

花火の音だけが高々しく聞こえ
私は口を真一文に結び。一言もでない。
すると隣にいるイケメンがぼそっと
だめか。といい
離れていった。

たったこれだけのことなのに
もう何十年も経っているのに
私はこのときのことを鮮明に覚えている。

そして奇跡の二重はというと
翌朝起きたらみごとに一重に戻っていた。

まるで魔法にでもかかっていたかのようにあっけなく

でも私はこの初めてのナンパにより
一つ決めたことがある。
絶対二重になる!

そしてそれから、毎晩、綿棒にベビーオイルを浸して
それで右目の上を擦る
それを毎日やるようにした。
どのくらいの間、それをしていたのか記憶が定かではないのだけど
本当に右目も二重になったのだ。
私は諦めなかった。
また可愛いって言われたかったのかもしれない。
決めると叶うのかもしれない
疑わずに決める。
絶対になる。

拙い文章ですが楽しみながら 続けていきたいと思っています🍀感謝です☆