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「インクルーシブな飲食店づくり」研修 HALUさんを迎えて

いつも鳥善noteをご覧いただきありがとうございます。静岡県浜松市でレストランやウエディング事業を運営しています、株式会社 鳥善と申します。noteでは会社の取組みやスタッフ紹介を広報担当が発信しております。

プロローグ〜始まり〜

2023 年11月某日、株式会社 Halu(ハル)代表の松本友理さんをお迎えし、ジ・オリエンタルテラスにて、障害児の外食機会をつくるインクルーシブな飲食店づくりの研修を行いました。インクルーシブとは「誰もが一員として、みんな一緒に」という意味があります。

以前、松本さんは浜松へ来た際、いろいろな企業や人にエネルギーを感じ、この場所ならインクルーシブな社会の土台をつくって行けるかも!と感じたそうです。

その第一歩として、私たちと共に障害児の外食機会をつくる取り組みをスタートする運びになりました。

弊社 社長の伊達、経営陣、現場スタッフを交え、障害児を受け入れる際の心構えや必要な対応。株式会社 Haluが企画・開発の障害児・健常児がレストランで使える「IKOU(イコウ)ポータブルチェア」の導入に向けての実習。障害児育児に深い知見を持ち、さまざまな家族のニーズを理解する第1回目の研修です。今回の取り組みに共感いただいた「株式会社 春華堂」の皆様にも、ご参加いただきました。

障害児を取り巻く外食事情

まず始めに、松本さんから障害児を取り巻く外食事情のお話を伺いました。ベビーカーや子ども用車椅子で入店可能か、子ども用のチェアはあるか、動線や食事内容の課題。加えて、子どもが騒ぎ出すのでは?お店のスタッフ、他のお客さまに自分たちが、どう思われるのか?という心理的不安。障害児とご家族にとって、外食は気軽にできるものではありません。

続いて、松本さんの現在小学1年生になるお子さまの食事風景がスライドに映されました。ポータブルチェアを利用して、ラーメン屋さん、お寿司屋さんのカウンターで食事をしています。とっても楽しそうな雰囲気が伝わってきます。自身が障害児育児される中で、もっと気軽に外食に行きたい!現状を変えたい!気持ちが起業のきっかけと話してくださいました。

外食モニターアンケート結果から見えてきたこと

次に、障害児を持つご家族への外食モニターアンケート結果について。ご家族の73%が、飲食店でストレスを感じるそうです。 例えば…

・店内に車椅子のスペースがなく、入店を諦めた
・バリアフリーでなかった
・バギーで入店できますかと聞いたら、スタッフに嫌な顔をされた
・キッズチェア(数、サイズ)がなく、子どもを抱っこして食べさせるのが辛かった
・子どもが大声を出してしまい、周囲の視線が気になった

反対に、ご家族の79%が飲食店で嬉しい経験もされていると分かりました。

・入り口が階段で、車椅子を持ち上げるのを快く手伝ってくれた
・言わなくてもベビーカーの為に、場所を空けてくれた
・「騒いでも気にしないでね。」「お手伝いできることは何でも。」「また来て下さい。」等、親の気持ちへの理解や寄り添いを感じた
・子どもの名前を聞いて「○○ちゃん」と呼んでくれた
・子ども向けアイテム、キッズカトラリーがあった

障害児を持つご家族にとって、外食はマイナスばかりではない!と、私たちが希望を感じた瞬間でした。本来、外食は日常での気晴らし、特別な思い出として、豊かな時間を生み出すもの。貴重なお客さまの声は、これから何をすれば良いのか考える機縁となりました。

改正障害者差別解消法について

2024年からは、改正障害者差別解消法が施行されます。民間事業者も合理的配慮の提供が「できるだけ努力」から、法的義務に。障害者対応はCSR(Corporate Social Responsibility 社会的責任)からコンプライアンス、これらがベースとなり、皆が同じ空間にいるのが当たり前の社会になります。 中でも外食は障害者にとってハードルが高く、特に障害児を抱える子連れ家族層にとって、気軽に入れるお店を見つけることは困難です。

さまざまな課題で外食を諦めてしまっているご家族が多い現状。いつも周囲の視線を気にしながらプレッシャーを感じ、肩身が狭い思いをされていると痛感しました。 では私たちは、どんな環境を整えていけば良いのでしょうか。気軽に外食に行ければ、障害児とご家族にとってステキな経験、好きな場所が増えます。松本さんは「まず、障害を受け入れる」から始めましょうと。

松本さん自身、お子さまに障害があると分かった時「・・・ショック、そんなはずない。」と、心がとてもしんどかったそうです。前向きな気持ちになるまでには、親それぞれ、いくつかの段階と時間が必要。どんな気持ちかを想像し、寄り添う心を持って欲しい。そして、お店が歓迎してくれたら嬉しいと話してくださいました。

障害児の食べる機能

また、障害児の食べる機能について教えてくださいました。食物を上手に噛んですりつぶすのが難しかったり、食塊を作れなかったり、丸呑み、口を開けすぎて食べてしまうことも。口を開ける、閉じるも大きな運動になるそうです。

松本さんのお子さまは「きざみ食」なので、提供された状態のお子さま料理は食べられません。外食時には必ずmyきざみハサミ、myカトラリーを持ち歩き、細かくきざんで食事をします。障害児が外食へ行くために、さまざまな工夫をしているとスタッフに知って欲しい。また、医療ケア児については、親が胃につながるチューブに直接スープを入れる行為もします。どうか驚かずにあたたかく見守って。その状況を私たちスタッフが知っているだけで、親は「安心」しますと。

すると弊社 社員から「こんなに準備されて、お店に来ていただいていると知り、胸が熱くなります」と気持ちが思わず溢れる場面も。 想い同じく、私は息子の乳幼児期を思い出していました。出かけるときは、ミルク、離乳食、おむつ、着替え、タオル、絵本やおもちゃ・・・etc、鞄にぎゅうぎゅうに詰め込んでいたなぁ。飲食店では、急に大声で泣いたらどうしよう?といつも不安で、料理を楽しむ余裕なんて全く無し。せっかくの外食も、帰宅後はグッタリでした。同じような経験の記憶が蘇り、胸がギュッとなりました。

障害児とご家族を迎えるときの心構え

ここからは、松本さんのお子さまの誕生日のお話に。毎年行かれるレストランでは、お店の方がいつもあたたかく迎えてくれ「ごはんと混ぜると、おいしく食べられるよ。」と声を掛けてくれたりするそうです。実際に障害児とご家族をお迎えした際の、心構えを教わりました。

①喜んで欲しい、楽しい時間をすごして欲しい気持ちが何よりも大切
②ハード面で対応できなくても、力になりたい、お手伝いしたい気持ちが伝わるように
③障害の特徴や種類は人それぞれ、ひとりひとりに向き合う、分からないときは本人、ご家族に聞く
④お客さまからのフィードバックを大切に、経験を積み重ねる
⑤更に良くするためには?を常に考える

この5つのポイントは、より多くのお客さまを歓迎することへつながります。

IKOU ポータブルチェア

心構えを学んだら、いよいよ「ポータブルチェア」の登場。実物を目の前にレクチャーが始まりました。

背もたれは角度を変えられ、正しい姿勢を保ちながら食事を楽しめます。誤嚥しやすい障害児にとって、姿勢を保つことは最も重要です。 障害児の課題を起点に、座位の安定しない乳幼児(身長97㎝、体重16㎏、~3歳児位まで)が安全・快適に座れる機能性を兼ね備えています。

お子さまが前に滑り落ちていかない安心設計。大人用椅子や、床・地面等への直置きも可能。500mlのペットボトル6本分と軽く、どこでも気軽に持ち運べるのが大きな特徴です。

ベビーカーやバギーでの入店が困難と分かった時点で、外食をあきらめてしまう障害児とご家族。ところがポータブルチェアの用意があれば、それだけで「歓迎しますよ」と気持ちが伝わります。幅広いゲストに豊かな時間をお届けできそうと、私たちも胸が弾みました。次回の研修では、障害児とご家族をお客さまとして招待し、実際に接客の実習を行う予定です。

エピローグ

今回は座学を中心に、障害児を取り巻く外食事情、外食への想い、食べる機能、お迎えする心構え、ポータブルチェアの必要性について、大変多くのことを学びました。

私はスタッフとして、障害児とご家族の想いや状況を知るのはもちろん、プライベートで飲食店を利用するときも思いやりを持ち、あたたかい心で見守ろうと改めて思いました。このnoteから、ひとりでも多くの方に実情を知っていだだき、みんなが一緒にいて当たり前の社会が実現するようお手伝いしていきたいです。

今後もジ・オリエンタルテラス一同、ますます学びを深めインクルーシブな飲食店作りに力を注いでいきます!それでは次回、お会いしましょう。

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