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浜松市の小学校へ課外授業「夢に向かって」レポート 

鳥善noteをご覧いただき、ありがとうございます。静岡県浜松市でレストランやウエディング事業を運営しております、株式会社 鳥善と申します。noteでは会社の取組みや、スタッフ紹介を社内広報 松野が発信しています。

さて今回は、鳥善を飛び出し竜禅寺小学校へ!智さん(鳥善シェフ 前川智裕)の職業講話に同行し取材を行いました。
筆者の子も小学生、他の小学校に入れるなんてワクワク、初めて聞く講話もワクワク、子どもたちの反応もワクワクと、前日から楽しみが止まりません!笑 
どんな課外授業が始まるのでしょうか?早速ご紹介しましょう。

1、職業講話のスタートは、小学校の「旗当番」

なんと、智さん!竜禅寺小学校での職業講話、今年で7回目なんです。ということで、話は7年前にさかのぼります。始まりは、お子さんの旗当番!(解説1、旗当番とは子どもたちが安全に学校まで行けるよう、保護者が黄色い旗をふって交通をサポートする当番です。)
その際に、当時の校長先生とお話しする機会が生まれ、講話の実現に至ったそうです。

ちなみに竜禅寺小学校は、今年で創立100年!航空写真を撮影したり、全校児童で壁画をリニューアル予定と記念イベントが目白押し。
盛り上がりの最中、6年生の総合学習「夢に向かって」の授業として、職業講話を取り入れられています。

講話が始まる前、矢野校長先生は「子どもたちに好きなことを見つけて欲しい。小学生のうちに、いろいろな選択肢があると知って欲しい。」と思いの丈を話してくださいました。
また、筆者たちの世代は「職業」を知らずに大人になりました...。現代っ子がうらやましい!なんて、校長先生と話を弾ませたところで、子どもたちの待つ教室へ向かいました。

2、人は、どうして働くの?ステキな働き方とは?

子「こんにちは!」
(解説2、今回は会話調が多いので、智さん=智、子どもたち=子と表記いたします。)

元気な挨拶で、次々と入室してくる子どもたち。言われなくても自分から挨拶できる竜禅寺小の6年生、さすが!
さて、いよいよ授業開始です。智さんがコック帽をかぶると...

子「うわぁ~!おぉ!!カッコイイ!

子どもたちの大歓声が。笑 帽子の高さは、なんと35㎝もあります。(調べました。笑)
準備も整い、まずは食リポワークにチャレンジ。テーマは朝ごはん。
どの位おいしかったか、子どもたち同士でプレゼン開始です!

子「卵焼き」
 「ごはん」
 「ぱん」

単語は聞こえてきますが、何せ60人の子どもたちが一斉に話しているので、き、聞き取れない!涙 
ですが、どの子も表情ゆたかで、楽しんでいる様子。

智「おいしさは伝わったかな?味を言葉で表現するのは、むずかしいよね。
食べ物レポーターの人は、言葉でおいしさを伝えるために、実はすごく勉強しています。
私は、味のバリエーションを広げて、料理をつくり、お客様にどうですか?と聞く仕事をしています。」

もしかしたら、子どもたちは今まで「料理人=料理を作る人」と簡単な解釈だったかも知れません。
このワークを通して、子どもたちの心に「変化」がスッと入り込む、そんな感じがしました。子どもたちの掴みも上々、そこで智さんが問いかけます。

子供達に優しく言葉を投げかけるシェフの智さん

智「人は、どうして働くの?

子「社会の役に立つ!」
 「頑張って、お金を稼ぐ。」
 「人を笑顔にする。」
 「国民の義務!」

答えが、次々と勢いよく飛び出しました!

智「私の働く鳥善では、生活するための手段ではなく、誰かの役に立ち、自分の人生を豊かにするための必要不可欠なものと捉えています。

例えば、みんなの先生。先生の仕事は、みんなのためになっているよね。
私は、お客様のために料理をつくります。お客様のおいしかったよ!の言葉が、喜びです。」

ジ・オリエンタルテラスのスライドを上映しながら「自分たちの仕事が人や街のしあわせになるように。」と想いを添えて、子どもたちに語りました。

智「そうそう、働くならステキな働き方したいよね。まずは、仕事を楽しもう。
調理場では火を使うから暑い!苦しい、辛いって思うときもある。だけど、この仕事が好き!...だから頑張れます。

それから、自分はこの先どうなりたいか?目的を持ちます。だから小学校の勉強も目的を持とう!笑 

次に自分から動く。動けば、たくさん吸収できる。それが、必ず誰かの為になる。教室にゴミが落ちていたら、拾いますよね。キレイになります、みんなが気持ちよく過ごせます。いろんな人がしあわせになります。」

うん、うん、思わず頷きながら、私は聞き入っていました。
人は、どうして働くの?どうしたらステキな働き方ができるの?智さんはマインド部分に焦点をあて、分かりやすく説明をしていました。


心から楽しむことが大切とメッセージ

3、仕事って何だろう?


続いては、趣味の話題へ。「生き物観察です!」と答えてくれた男の子。するとシェフは、

智「私は、料理をつくるのが好きです。好きだから30年も調理の仕事を続けられているんだよ。
料理をつくるとハッピー!好きなことを仕事にするって良いよね。
生き物観察が好きなら、将来、研究者になる可能性もあるね。じゃあ、この写真を見てみて。」

画面にはレンガを積み上げている男性の姿が写されました。
壁?家?何かをつくっている様子。さて、この人は何をしているのでしょうか?

智「この人は、目的を持ってレンガを積み上げてる?それとも、ただ、積み上げているだけ?
何のために?家をつくりたいから?みんなの学校、勉強、部活は何のため?目的を考えて生活し続けると、人生が面白くなる。
それが仕事にもつながって行くんだよ。」

智「言われたことだけやるのは作業です。お金をもらっている人はプロ。自分で考えて動くのが仕事です。

じゃあ、仕事と趣味の違いについて。仕事は、世の中の役に立ち、お金を稼ぎます。趣味は自分のため、人に左右されず無償です。

大切なのは両方とも心から楽しむ!

好きだから頑張れます。楽しい=仕事=しあわせな人生。だから好きなこと、たくさん見つけて欲しいんです。」

続いてジ・オリエンタルテラスのメンバーの写真が!
運動会やバーベキューの様子が映し出され、とびきりの笑顔が輝いています。

智「遊びも一生懸命やるから、仕事が楽しい!

智「まとめると、まずは好きなことを見つける→それを楽しむ(努力)→だから続けられる→練習になる→上手くなる→仲間が増える→成長してスキルUPする→人や街の役に立つ!
これらはループしています。好きだから努力する!は、趣味に置き換えたら「凝る」になるね。辛い修行も「楽しく感じる」。これが、働くということです。」

シーン...。
教室は静まりかえり、子どもたちは真剣なまなざしに。

智「みんなの家族も、仕事で辛い、苦しい時があるんだよ。
今日、家へ帰ったら、お疲れさまと声を掛けてあげてね。」

こうして学校に行けるのも、働いてくれる家族がいてこそ。
将来の話だけではなく、子どもたちの現状に目を向け、家族への感謝を交えながら話す姿...シェフの人柄を感じました。

興味を持ち、積極的に質問をしてくれる子供たち

4、鳥善が目指す「最幸のお店創り」

智「みんなは食べるの好き?何が楽しみ?」

子「見ため!」
 「味」

智「私の働く鳥善では、ステキな場所、居心地、空間、おいしい食事、景色、音楽、人。この7つを、どうしたら生み出せるか...いつも考えて仕事をしています。
料理をつくっているだけではありません。空腹をみたすだけでもありません。食事から心を満たす感動を与えること。
お客様から感動したよ!と言われたら、私は涙が出ます。感動は、満足の上の言葉ですから。」

料理の写真が続きます。

智「私たちは、最幸のお店創りを目指しています。
鳥善では、最高は最幸。作るは創ると表現します。創るには、創造していく意味を込めて。
街や店の価値を上げて、お客様が最もしあわせな気持ちになるように...。」

子どもたちは鳥善の想いに触れて、職業を知る、探す段階から、もう一歩先に踏み込んで、考えるヒントを授けられた気がしました。
自分たちが憧れの職業についた、その先。どんな社会人になっていきたいのか...。
大人になったら、絶対に思い出して欲しい!と強く願うお話でした。

メモもしっかりと

5、料理人を目指したきっかけ、忘れられない人との出会い

さて、ここからは智さんが料理人を目指したきっかけをご紹介していきます。

智「私の叔父さんが、大阪で料理人をしていました。まず、コック服、帽子がカッコイイ!なって。格好から入るタイプです。笑 
学校では家庭科の調理実習、野外活動の飯ごう炊さんが大好き!みんなと「おいしいね。」と伝え合うのが嬉しくて。
小学校6年生の頃には、料理人になりたいと思っていました。」

智「それから農業高校へ進み、大阪の調理専門学校へ行きました。
ちょうど専門学生のとき、阪神淡路大震災にみまわれ、ひとり暮らしで被災してしまいました...。
そこで、専門学校のみんなと神戸へ炊き出しに。400個のおにぎりと、200杯分の味噌汁をつくりました。」

智「おにぎり2個と味噌汁1杯を、ひとりずつ配りました。「どうぞ。」と言い、励ましの言葉を添えて。
すごく長い行列ができていました。8時に始まって10時には、最後のおにぎり2個と味噌汁を配り終えてしまいました。
次に並んで待っていたのは、おばあちゃんでした。」

地震が起きたのは1995年1月17日。寒い冬の時期、朝6時から並んでいたおばあちゃん。
シェフは、食事を渡せませんでした。おばあちゃんは「仕方ないね...。」と悲しい顔で、ただトボトボ歩いて帰っていったそうです。

智「私は、その方の顔、声、一生忘れません。
食事を配った人は、みんな笑顔になりました。でも、おばあちゃんは悲しい顔のまま...。 

一食の重みに、胸が締め付けられました。

智さんの原点となる体験談に教室の空気が変わります

だから私は、ジ・オリエンタルテラスで食事して良かった!楽しかった!と思ってもらいたい。料理を通して、しあわせになって欲しい。

智「厨房が暑かったり、先輩に厳しいこと言われたり、嫌だなと思うこともあります。
だけど、あのおばあちゃんがいたから...今も、ずっと頑張れます。
あの経験があったから...30年も料理人を続けられています。」

教室が再び、静寂に包まれていました。

料理人になるきっかけから、想像だにしない「一食の重み」を知った子どもたち。
これから苦手な食べ物が出ても、チャレンジしてみようって心に響いた子もいるはず!

智「最後に、これからみんなが進学するときは、この学校好きかな?とか。この仕事好きかな?って考えて欲しいです。そして、好きなことたくさん見つけて欲しい!

智さんのスマイルに、ほっとした様子で、子どもたちにも笑顔が広がりました。
これから10年、どんな経験や成長をとげるのかな?鳥善で一緒に働く子もいたりして!?
なんて、私は未来に想いを馳せていました。

6、まとめ

いかがでしたか?ジ・オリエンタルテラス、シェフ智さんの職業講話をお届けしました。
講話後に、子どもたちからの質問タイムが設けられたのですが...その数、なんと16人!あまりの多さにビックリ!思わず数えてしまいました。笑 

特に印象的だったのは「メニューは、どう考えていますか?」という質問に対する智さんの返答。「色」から考えるそうです。夏は、元気なビタミンカラー、赤、黄色、緑。赤は...オマール海老、トマト!という感じで、メニューを創るそうです。

また、希望者の子どもたちは、コック帽をかぶりシェフと記念撮影を行いました。撮影が始まると...なんと全員並んでいました!智さんは某テーマパークのキャラクター状態に。笑

その後、子どもたち代表から「楽しい人生をおくるために、仕事が必要だと分かりました。」「心から楽しむ、仲間を一緒につくる、スパイスが料理をおいしくすると知りました。」と感想をいただきました。
智さんの想いは、子どもたちにしっかり伝わっています!!

シェフは「とても楽しかったです。自分も料理と向き合う時間を過ごせられ、子どもたちからパワーをもらいました。
これからも、たくさんのお客様を笑顔にしたい。」と話してくれました。

私自身も、マインドや仕事の捉え方、ものすごく勉強になりました!ありがとうございました。

そして智さん、実は小学校だけではなく、中学、高校も職業講話へ行かれています。
しかも、子どもたちの年齢に合わせ、内容が違うそうです!気になります、ぜひ聞きたい!その際は、同行よろしくお願いします。
それでは、次回をお楽しみに。

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