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なつかし劇場/アルマウドン

日曜日の池袋、何もやる事が無いのでございましょう。

線路わきの道路に貧乏そうな集団が集まりポケモンGOなるゲームをプレイ。

彼らが、ソープランドに入ろうとしているおいさんを邪魔しているのを見ながら、氷結ストロングをあおりますと。

子供の頃を思い出すものでございます。

池袋西武の屋上、小生の思い出がつまってる、なつかしプレイスでございます。

エレベーターを降り、屋上へ、


「あと20分位だね」


と、親友のこうちゃん。

文芸座でやってる、「黄金の七人」の3本立て映画を300円で見に来た2人。

上映開始時間が噛み合わず、池袋パルコで、時間つぶししていたのです。

立ちっぱなしで、ポストホビーを冷やかしてたので疲れ気味。

たまに昼飯を食べる、手打ちうどんの「かるかや」前の野外テーブルに座り、もらってきた映画チラシを見ていると、かるかやのおばちゃんがカウンターから手招きしています。


「ちょっとアンタ達!」


近くに寄ってみる、ダブル馬鹿中坊。


「アンタ達、これから台風来るんだってよ。もうすぐ、この屋上、大嵐になるよ」


そういや、さっきとんでもない風切り音がしていたような、、、


「屋上、誰もいないでしょ。だから今日は店じまい。ウドン仕込んだの残っちゃうから、コレ食べてきなよ。どんぶりはココに置いといて」


なんと!おばちゃんがウドンをおごってくれるというのです。


「あっ、ありがとうございます!」


早速、七味をかけ、大事そうにウドンを持ち、テーブルに戻る間に、

おばちゃんはそそくさと店を片付け、シャッターを閉めて、帰っていきます。


「おばさん、ありがとう!」


の再度のお礼に、


「こういう時は、おねえさんって呼びな」


ニコニコと手を振りこたえてくれる、おばちゃん。


「得したなぁ、こうちゃん!」


早速食べ始める2人。


かるかやのウドンは手作り感あふれるデコボコの麺。
太さがテキトーでゴツゴツしています。

でも、これがおつゆがからまる秘伝なのでしょう、ウドンの風味とおつゆの味がしっかり感じられます。


「おいしいねぇ!裸族ちゃん」


う〜ん、たしかにウマイ。
タダだとさらに倍ウマイ。

小生がふた口目を食べようと、ウドンを箸で持ち上げた瞬間。


ブバババァ〜ッ!


耳にビンタくらったような、突風の風切り音。

うどんが鯉のぼりの吹き流しの様にはためき、絡まっていた唐辛子入りのアツアツのお汁が、風下にいた、こうちゃんの顔面を直撃。


「うわ!アチチチチ!」


何かふくものは無いかと立ち上がり、ポケットをさぐる2人。

その時。

狙いすましたかのように第2波の突風が、


バッシャーン!


手を離していたどんぶりが、突風をまともにくらって地面に落下。


カラン!カラン!カラン!


うどんを撒き散らし、転がっていきます。

プラスチックのどんぶりを追いかける2人。


「裸族ちゃん、まずいよ。これじゃ、オレたちがウドンぶちまけて帰ったみたいじゃん」


下町気質のおばちゃんの情けを、あだで返す訳にはまいりません。


必死でウドンを拾い集める2人。


その悲しい姿は、ミレーの名画『落穂拾い』に大きく影響を与えたという、かるかやウドンの一席でございました。







最後までお付き合いいただき
ありがとうございました。(*´∀`*)








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