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なつかし劇場/チャーリーと自転車工場

昭和の高校時代。

学校帰りに後楽園球場までチャリをこいで遠出する、クマと小生。

スキー用品の特売会があり、スキー用のレザー手袋が数百円と激安。

バイク用の手袋として流用するため、わざわざ買いにきたのです。

安さにのせられ、いりもしない防寒靴下や、当時流行ってたヘッドホンみたいな、

『イヤーワッフル』

なども購入。

小腹が空いて、立ち食いそばを食べると2人とも、ほぼ持ち金ゼロの状態。

帰ろうとチャリを止めた道路脇に来ると、クマの愛車、ブリヂストンのユーラシアがパンクしているではありませんか。

仕方なしに、チャリを押して帰る2人。

30分位チャリを押していると、
自転車屋を発見。

自転車屋のガラス戸の張り紙を見ると、


『パンク修理、五百円』


2人の持ち金を合計してみると150円。

うーん、、修理用のパッチを売ってもらって、作業場をかりようかなどと相談。

とりあえず聞いてみよう。
腹を決めるクマ。


「すいませーん。自転車がパンクしちゃって、お金が150円しか無いんですけど、、」


熱心に相撲中継を見ている、小太りのおいさんが振り向き、


「カネねえのか、そこに道具あるから、おめえらで直してみな」


「ハイ!すいません」


再び相撲に集中する、おいさん。

2人でパンク修理です。


「寄り切りかよ!しっかり投げろ!」


熱く叫ぶ、おいさん。

修理が完了した途端、振り向くおいさん。


「その手際なら大丈夫だ。ついでに、そこの赤い自転車のパンクも直してみろ。ツルじゃねーけど恩返ししてけよ」


「ハイ!」


「コイツも寄り切りか、バカヤロウ!」


どうやら、決まり手が寄り切りなのが気に食わないようだ。

上手投げや、うっちゃりなどが決まると、力士に関係なく喜び、歓声をあげ手を叩くおいさん。

おいさんの脇のストーブの上には、小さなヤカン。

日本酒を入れ、ダイレクトに温め、サキイカで酒が進むおいさん。

店内には正月三が日レベルの、めでたい酒の香りが漂っております。


修理が終わると、、


「ウチの販売機で、あったかいコーヒーでも、ガッチャンしてけ」


200円を渡してくれる、おいさん。


「ありがとうございました」


自転車屋に併設した自販機で、あったかいジョージアを購入。

コーヒーを飲み干し、チャリをこいで帰る2人。

結局、あのおいさんはいくら儲けたのか?

儲かったのは我々なのか?

疑問が去来し、議論する中、


『アンチ寄り切りおいさん』


というあだ名だけが確定した、真冬の帰り道でございました。














最後までお付き合いいただき
ありがとうございました。(*´∀`*)







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